見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

東海岸見聞録(5):ニューヘブン探訪

2006-11-24 23:45:09 | ■USA東海岸見聞録2006
 明けて11月15日。朝食もとらずにボストンのホテルを後にする。昨夜、ネットをつないでいた上司が「松坂、レッドソックスだって」というので、街売りの新聞をチェック。「ボストン・グローブ」の1面に写真が載っていたので、買ってお土産にする。

 サウス・ステーションでアムトラック(長距離列車)の切符を買ったあと、ようやく朝食。しかし、目ぼしいレストランがないので、上司が「マックにしようか」と意外なことを言い出す。ええ~アメリカのマックなんて...と恐れたが、モーニングプレートは日本の商品とあまり変わらなかった。もっとも、アメリカ人は、このサイドディッシュにハンバーガーとかを付けるんだろうな。

 ニューヘブンまでは約3時間の鉄道旅。車窓には、冬枯れの森林地帯が続く。どの木もすっかり葉を落としていて、裸の幹の列がさびしい。なだらかな草地の丘、時折見える湖沼の風景には、猟犬を連れた鴨打ちの姿が似合いそうだ。左手は海岸線で、曇天の下、不思議に明るい海が続く。ふと長崎県の諫早湾を思い出した。

 お昼前にニューヘブンに到着。とりあえず、ホテルにチェックインし、今日のお仕事、イエール大学に向かう。イエール大学は、ハーバードと並ぶアイビーリーグの名門であり、ゴシック風建築の立ち並ぶキャンパスで有名である。なぜ「ゴシック風」であって「ゴシック様式」でないかというと、建てられた年代は1917-1930年代と、比較的新しいのだ(本来のゴシック様式は、12-15世紀の教会建築をいう)。それでも、英語版のWikipediaなどを見ていると、なかなか麗しい写真が掲載されていて、興味をそそられていた(特に、Sterling Memorial Libraryのページは必見。下方のサムネイルを拡大して楽しまれたし)。

 ホテルを出て、数分も歩いていくと、突然、クリーム色の石積みでできた巨大な建造物が現れた。それも1つだけではなく、道の両側に同じ様式の建築が並んでいる。ぱっとしない北国の田舎町から、別世界に迷い込んだようだ。「ここですよ、ここが大学構内なんですよ」と言って、あたりをキョロキョロ見回す。「ふーん。すごいねえ」と感心して、観光客よろしく2人で写真を撮りまくったが、だんだん何かがひっかかってくる。

 「でもね」と私。「ちょっとディズニーランドっぽいですよね」。いったん気づいてしまうと、底の浅い作りもの臭さが鼻につくのだ。「うん、確かに」と上司。「ゴシック様式特有の、どこまでも天に伸びていこうとする霊的な意志が感じられない」。他人の大学に、ここまでケチをつけなくてもいいものを、と苦笑してしまった。しかし、今、思い出してみても、やっぱり私はこの大学のキャンパスが好きになれない。あまりにも拙劣な、歴史と伝統の偽りかたが、私をいらだたせるのである。

 この日は、スターリング記念図書館の中にあるEast Asia Libraryを訪ね、ほかいくつかの部署をまわって話を聞いた(途中は通訳なしで緊張しました)。

 夕食は、トラディショナル・タイ・レストランで。なぜかホテル周辺の一角には、東南アジア料理(特にタイ料理)のお店がひしめきあっていた。明日はニューヨークに向かう。
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