参議院選挙が終わったと思ったら今度は東京都知事選挙。都民ではないのであれこれ言う資格はないが、とにかくテレビがいろいろと喧(かまびす)しい。
昨日(15日)の民放のモーニングショーで、選挙の街頭宣伝カーに乗って27年という超ベテランのウグイス嬢が候補者の分析をしていた。
☆ 当選するタイプ
・ 日頃から地域と交流 ・ 欠点があっても改善しようとしている ・ とにかく明るい
☆ 落選するタイプ
・ 仕事はできるが付き合いをしない ・ コミュニケーションが下手で改善する気がない ・ 常に上から目線で有権者を見ている
何だか一般社会で出世する人、しない人の区分にも適用できそうな分類だが、これからすると、自分は当選するタイプにはほど遠いようだ(笑)。
他人から面と向かってネクラと言われたことはないが、自己分析ではどちらかというと悲観的に物事を考えるクセがあって少なくともネアカではないと断言できる。
たとえばアンプに使う真空管の話をすると分かりやすい。
まず使ってみて、出てきた音が悪い場合はガッカリして無駄遣いをしたと腹が立つ。その一方、メチャ音がいいとなると手放しで喜ぶものの、そのうち今度は真空管の寿命が尽きたらどうしようかと不安になり、スペアを確保しなければと焦ってしまう。
つまりどちらに転んでも精神の安定性を欠くのだからどうしようもないタイプだ(笑)。
こういう中、このほど「音が良くて丈夫な」真空管に巡り会って、しばし「魂の平穏」を得たので経緯を述べてみよう。
7日(木)のKさん宅の「245シングルアンプ」の音に痺れて、改めて我が家のアンプテストをした結果、前回のブログで述べたように「171シングル」がとても良かったが、実はこれと負けず劣らずだったのが「PX25シングルアンプ」。
この両方のアンプはその日の気分次第でどちらでもヨロシだが、強いて言えば前者はボーカルや小編成向き、後者はオーケストラなどの大編成向きという面がある。
日頃は球のお値段が手頃な「171」を使い、お客さんが見えたときは「鬼面人を驚かす」ではないが(笑)、冒頭の迫力勝負でもって結着をつけたいのでPX25を使うといったところだろう。
さて、このPX25アンプだがこれまでのブログでも繰り返し述べているように前段管次第で音質が千変万化する。
いろんな種類の球があって、「いずれアヤメかカキツバタ」で甲乙つけ難しだが、一頭地を抜いているのが英国の名門「STC」ブランドの「3A/107B」。やや力強さに欠けるものの繊細な表現力はAXIOM80にもってこいだろう。
これで十分だと思ったが、いつものように欲が出て来たので顧問弁護士(?)の「北国の真空管博士」にお伺いを立ててみた。
「PX25アンプですがいろいろ差し替えてみましたが3A/107Bでようやく落ち着きました。しかし、もっと音のいい真空管はありませんかね?」
すると次のようなメールが返ってきた。
「3A/107Bはミューが7ですが、もう少しミューの高い直熱管がSTCにはあります。3A/110Bという球です。内部抵抗は3A/107Bや3A/109Bとほぼ同じでありながらミューは12あり繊細な表現を得意にしています。」
さっそく某ルートをつかって暗躍したところ、運良く測定値付きの新品「3A/110B」が手に入った。
それも次のような解説付きだった。
「STCの3Aシリーズはとても丈夫なことで知られています。これまで故障したという話を聞いたことがありません。中には <真空管を入れ替えて気分転換したいのにSTCの球は故障しないので困る> という苦情までありますよ。」
STCとは略語で正式には「Standard Telephones & Cables」という。そもそも通信用ということなので極めて丈夫に作ってあるのだそうだ。
音がいい上に丈夫とくれば、まず理想的な真空管である。これで3Aシリーズのうち3系統の球が揃った。
左から「3A/109B」(増幅率=4)、「3A/110B」(増幅率=12)、そして「3A/107B」(増幅率=7)。これから3種類の球のμ(ミュー:増幅率)の違いによる微妙な音の変化を楽しむことができるのはありがたい。
これだけあればPX25アンプの前段管は命尽きるまで大丈夫だろうが、その一方ではあまりに丈夫過ぎるというのも何だか「虚しい」気分にさせてしまうのは贅沢な悩みだろうか。
名句「面白うて やがて悲しき 鵜舟かな」(芭蕉)をもじって、「面白うて やがて悲しき 真空管」(笑)。