「音楽&オーディオ」の小部屋

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学力日本一「弱小県」福井の不思議

2015年08月30日 | 独り言

テレビでは連日、いろんな催しの放映が非常に多いがそういうときのインタビュー取材に応じる子供たちがいずれも物怖じしない態度でハキハキと答えていることにいつも驚かされる。一昔前の団塊の世代が育った頃に比べると、随分違うのでおそらく2~3年ほど進歩の差がありそうな気がする。

つまり昔の小学校六年生時の学力と今の小学三~四年生時ぐらいが匹敵かも?

先生の目が行き届やすい小人数学級の効果、それにパソコンなど先進教材の積極的な活用などが原因だろうが、日本の将来からするととてもいいことに違いない。

文部科学省はこの8月25日、今年(2015年)4月に実施した全国学力テストの結果を各県別に発表した。

《全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)》の概要

小学校6年と中学校3年を対象に今年4月に実施。国公私立の小中学校計約3万300校、児童生徒約210万人が参加した。基礎知識をみる「A問題」と、応用力をみる「B問題」に分けた国語と算数・数学に理科を加えた計3教科10科目で実施された。児童生徒へのアンケートで学習環境や生活習慣も調べる。 

上位県の中で目立つのが何といっても福井県と秋田県。こういう言い方は失礼だが両県とも地方の弱小県に過ぎない。もちろん我が大分県もそれに輪をかけたような弱小県だが(笑)。

それにしても多人数との競争の中で揉まれ、かつ豊かな文化程度に恵まれている筈の「都会っ子」が「田舎っ子」に学力の面で後れを取るのはなぜ?

こういう素朴な疑問について、実は今から8年前の2007年の当ブログでも、当時学力日本一を達成した「福井県」についてその理由を記事にしていた。折角なので再掲させてもらおう。
 

通販専門の月刊誌「選択」12月号に「学力日本一、弱小県福井の不思議」という記事が掲載されていた。副題に~まともな環境が育む「学力日本一」~とある。そのまともな環境とはどういう内容か覗いて見よう。

文部科学省が10月末に発表した「全国学力・学習状況調査」(本年4月実施)の結果は多くの教育関係者に意外な事実を告げた。

対象の小学6年生、中学3年生を合わせた正答率の総合成績で福井県が都道府県別全国トップとなったのである。

大学の数は少なく、受験重視の私学も少ない人口80万人足らずの弱小県である。同県の教育委員会でさえも「何も特別のことはしているわけではないのに」と不思議がる。この学力検査だけで、各自治体の教育成績を正確に評価できないことは無論である。福井県自体が成績の序列化には警戒的な態度を示している。

しかし、文部科学省が学力テストと同時に実施した「生活習慣調査」を合わせて見ると、そこには地域社会環境と学力の間の無視できない因果関係が浮かび上がってくる。

まずこの「生活習慣調査」を通じて「早寝早起きが得意で朝食もしっかり食べる福井っ子」の姿が見えてくる。というのは「毎日朝食を食べる」」「午前7時前の起床」「午後10時前の就寝」はいずれも全国平均を上回っている。

さらに福井県には特徴的なデータがある。携帯電話を持たない小学6年、中学3年ともに全国平均を大きく上回る。

こうしたデータと成績を短絡的に結びつけるのは危険だが、福井の子どもたちは友達との接触もジカ接触が多く生活リズムが安定した環境にあるといえる。

経済的要因も無視できない。就学援助を受けている子どもの多い学校ほど平均正答率が低いが、福井では同学校の割合が全国平均の半分以下。

しかも、夫婦の共働き世帯割合は全国第一位で、一世帯あたりの貯蓄残高は全国三位、失業率は全国最低、大きな住宅が多い傾向にあり、大家族主義で三世代同居率は全国二位。

共働きが出来る背景に祖父母の子育てへの協力が伺える。放課後子どもの勉強をみたり、学校行事に参加する祖父母の姿は家族の絆(きずな)、地域社会の絆を髣髴(ほうふつ)とさせる光景だ。

一方で、福井県の子ども達は恵まれた環境の中でよく勉強をしているかというと実際はその逆である。課外学習時間は全国平均以下で学習塾へ通う割合も低い。その分、「勉強は学校で」と公教育の比重が大きいのが福井県の特色。

中学3年生は毎日午前7時50分から30分間のセミナー、放課後に補習。夏休みにはどっさり宿題が出され「学校の勉強さえしていれば大丈夫」との教師の話の一方で、塾に通う生徒からは「両立は大変」との声も聞こえてくる。塾があるから宿題をなるべく出さないようにしている都会の学校とは大違い。

福井県政の柱「未来を託す人づくり」のもとで、一般会計に占める教育費の割合は伸び続け、小学生1人あたりの教育費は全国平均を19%弱上回っている。

教員の資質も今回の好成績と無関係ではない。2008年度採用教員試験の倍率は12.6倍で、教職を「最高の仕事」と考え子弟の進路を早くから公立学校教員に定めている家庭が少なくない。

さらにボランティア活動にも熱心で「行動者率」全国四位、登下校時の見守りなど「子どもを対象とした活動」は全国一位。

大雪の冬が長く、土地も山がちで生産性が低いうえに、戦後、繊維産業から転業を強いられた結果、特殊技術を持つ中小企業の創意工夫、独立独歩の企業風土の中で福井県は人口10万人あたりの社長輩出率は全国トップである。

皆が勉強し、コツコツ働くという弱小県ならではの必要性が「勤勉・好学」の風習を培い現代の教育風土にも影響を与えている可能性が高い。これが学力日本一の大きな要因。

しかし、モノゴトは光が当たれば影ができるもの。
たとえば、小中学生の成績がいわゆる難易度の高い大学への受験成績に結びついていない、さらに気になるのは全国調査で「将来の夢や希望を持っている」小6児童が全国平均を下回っていること。

祖父母世代や親たちがつくってきた恵まれた環境が、逆に子どもたちにどこか「受け身の姿勢」にしているのかもしれないと結んであった。

とまあ、以上のような内容だったが、福井県は当時から8年経っても堂々と学力上位県にランクしているのだから恐れ入る。好成績がけっして“フロック”ではないし、付け焼刃式に学力が向上しているわけではないことが分かる。

子供の学力は家庭環境や地域の風土に大いに左右されるが、地方と都会のいいところをさらにミックスさせていけば日本はもっとバランスの取れた発展が出来そうな気がする~。

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