「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

幻の超銘球 「P.A.40」 DA30系

2017年01月07日 | オーディオ談義
昨年末(2016)に「幻の銘球 V503 DA30系」を登載したところ、通常を上回るアクセス数に恵まれ、いまだにその余波が続いている。

大きな反響と言っていいようで、今さらながら読者の方々の「稀少管=銘球」に対する興味の高さを思い知らされた。

真空管アンプは整流管や電圧増幅管、出力管などの球を質のいいものに差し替えることで音がコロッと変わり、TRアンプと違って簡単に音質向上が図られるところに魅力があるので、おそらくこのブログの読者の大半の方々も真空管アンプファンに違いない。

それにしても、稀少管を愛して止まない「北国の真空管博士」がよくもまあこれほどの銘球を手放される気になったものだと、いささか気になっていたのだが、このほど次のメールが届いてようやく疑念が氷解した。

「V503は今や幻の銘球ですから通常は出品しないのですが、実は幸運にも数年前V503より100倍入手が難しいといわれる上位球P.A.40を所有するに至りましたので出品した次第です。

これが英Ediswan社のP.A.40です。

イメージ 1
イメージ 2
 
この写真を見てV.503そのまんまじゃん!と思った人も多いと思います。私も初めて見た時はV.503のセレクトチューブなのでは?と思いました。仔細に現物を観察してそうではないことを確認し、いったいこれは何なのだ!と唸ってしまいました。

写真では判りませんが、ステムを見るとPA40bと書かれており、組み立て前にPA40専用のステムがあった事がわかります。V.503とはプレート損失、同一条件のPP時の出力以外の規格、定数、電極とバルブのサイズに至るまで全く同じです。

GECにはPX25Aに対してDA30がありますがそれと同じ関係のようです。DA30属の中では最大のプレート損失40Wを誇り、WE300Aにも匹敵する球です。目視ですがWE300Aとはプレートの縦、横、厚さのサイズが殆ど同じです。
 
WE300Aと動作例を比較してみよう。
 
   WE300A   P.A.40
Ef  5.0V      4.0V
If   1.2A      2.0A
Ep  400V      400V
Eg  -89V     -85V
Ip   50mA     50mA

EpMax 450V    450V
Pd    40W     40W

殆ど誤差の範囲といって良いくらいの動作例である!
最大定格も同じですから興味は尽きませんが、P.A.40の発表年に関する資料を発見できずどちらが先に発表されたか特定できませんでした。
写真のP.A.40は、トップマイカに長方形のマイカを使用していることから、1930年代の中ごろの製品であろうと思います。」

はたして銘管「WE300A」(アメリカ)と「P.A.40」(イギリス)のどちらが先に作られたのか?言い換えるとどちらが真似をしたのか(笑)。ことはアメリカ管と欧州管の技術力の差にまで及んでくる。

ただし、これでようやく博士が「V503」を手放した理由が分かった。要するに「V503」よりももっと稀少な管を持っておられたというわけだ!

ヨーロッパはアメリカと違って第二次世界大戦の主戦場になったので度重なる爆撃などの破壊が繰り返され随分貴重な真空管が失われてしまったのは周知のとおり。

その点、アメリカ球は「WE300B刻印」(1940年代)をはじめとして、今でも往時の銘管がまっさらの新品で出てくることがあるから戦禍を直接蒙らなかった国のメリットは計り知れない。

真空管アンプにも夢が必要だとすると「WE300B刻印」はやや食傷気味なので、さしずめ「P.A.40」あたりは代表的な「手に入りにくい」真空管として有力な候補にあたるのは間違いない。

DA30系のアンプを所有されている方はすぐに差し替えが利くので垂涎の的だろう。

それにしても、もしオークションに出品されたらどのくらいの落札価格になることか・・。いや、お値段で測れるものではなく持ち主の心を動かす熱意こそが必要なのかもしれない(笑)。

それよりも、いったいどういう音がするんだろう?

なお、文中の「トップマイカに長方形のマイカの使用」は思い当たる節がある。


我が家の出力管「PP5/400」(最初期版3本)、電圧増幅管「AC/HL」(2本)は、いずれも「英国マツダ製」だがトップマイカが長方形になっている。とすると、1930年代の中ごろの製品かな。

いずれも滅多に手に入らない稀少管なので、出番となると「お盆と正月」だけに決めているのは言うまでもない(笑)。
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