「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~黄金の組み合わせ~

2012年03月29日 | オーディオ談義

今年の2月からメールのやり取りをしている新潟のSさんから、先日「黄金の組み合わせ」と題する一文が届いた。

ご本人の了解なしだが、匿名だし別に差し障りがないと思うので勝手に要約して紹介させていただこう。

オーデイオ機器の組み合わせ例は無数に存在して、それにアンプの自作を加えると、一つとして同じ音はない。

「直熱三極管シングルとコンプレッションドライバーと高能率ウーハー」の組み合わせで黄金の日々というのが夢だったが、ようやく実現したように思う。

40年前に製作されたONKYOのユニットとエレクトロボイスの30cmウーハーの組み合わせがそれ。

ONKYOのドライバーが106dB、ツイーターが100dBある。これに見合ったウーハーとして98dBのエレクトロボイスを組み合わせた。これでウーハーがドライバーのスピードに追随できるようになった。

この能率であれば8Wの300Bシングルで悠々とドライブできる。

ちなみに、PX-25シングルの音も自作仲間のアンプで聴いたことがある。300Bが王様でEL156が皇帝とか聞いたことがあるが、PX-25は女王様といった風情だった。○○さん(自分のこと)のブログもPX-25で検索していて、たどり着いたように思う。 

これまでオーデイオ復興とか大げさに書いてきたが、「直熱三極管シングルとコンプレッションドライバーと高能率ウーハー」という組み合わせこそ「復興」ではないかという気がしている。

300Bの中国・ロシア製が出回ることで直熱三極管シングルは身近になったが、「コンプレッションドライバーと高能率ウーハー」を
本気でやるメーカーは現在ない。エレクトロボイスのPA用ウーハーとONKYOのユニットの組み合わせで成功した。

これで「黄金の組み合わせ」にたどり着いたと思っている。

以上のような内容だったが、Sさんの現在のシステムに対する満足感がひしひしと伝わってくるようで、まったくご同慶の至りである。

「黄金の組み合わせ」で思い出すのが、ずっと昔にオーディオ専門誌「ステレオ・サウンド」で推奨していたラックス社の「SQ38F」真空管アンプとタンノイ「ⅢLZイン・キャビネット」(スピーカー)との組み合わせ。

この組み合わせは「五味康祐」さんの「オーディオ巡礼」にも出てくるほどの折り紙つきだったので、自分も”なけなし”のお金をはたいて同じ組み合わせにしてしばらく楽しんだが、そのうち「SQ38F」のトランスが頻繁に故障するし、音のスケール感にも不満が出てきてスピーカーをタンノイの38cmシステムに入れ替えたりしていつの間にか発展的に消散してしまった。

当時はまだオーディオ初心者のような段階で、これはお仕着せの「黄金の組み合わせ」だったが、本来はSさんのように自ら時間をかけて発掘し独自の「黄金の組み合わせ」を創造して満足すべきものだろう。

さて、そこでだが自分独自の「黄金の組み合わせ」となると、現在使用しているシステムということになるがまだ「黄金」とまでは自信を持って言える段階ではなく、まあ80点程度には満足している。日頃、万事70点主義がモットーなので完全に合格圏内には入っている状況。

基本的にはSさんと同様に「直熱三極管シングルとコンプレッションドライバーと高能率ウーハー」の思想にはもろ手を挙げて賛成で、高能率のSPユニット(中高域用)と真空管アンプの組み合わせの魅力はスピード感や繊細さにおいてとても捨てがたい。これははっきりと、未来永劫に変える積もりはないと断言できる。

現実にも第二システムの中域用ユニット「JBLのLE85」にPX25・2号機を、高域用のユニット「JBLの075」に2A3シングルアンプを使っているが、そのメリットは計り知れない。

しかし、ウーハーについてはやむなくトランジスターアンプを使っている。我が家の手持ちの真空管アンプではどうしても出力不足を感じるので仕方がない。何せウーハーの能率が低いのが悩みの種で、たとえば10db違うだけでアンプの出力が余分に100ワット必要になる世界だからたまらない。

これまでの経験から言えば、SPユニットの能率が90db以下になると真空管アンプにはちょっと厳しい。

ただし、真空管アンプといってもいろいろあって”ひとくくり”にはできない。プッシュプル方式により馬力のあるアンプもあるし、
同じシングルアンプでも電源対策や回路を工夫することでまったく次元が違う「超弩級アンプ」を知っている。

それは湯布院のAさん宅のアンプ。とにかく夢のような「黄金の組み合わせ」である。

               

以前にもこのブログで紹介したことがあるが、「ウェスタンの15Aホーン+555ドライバー」専用のアンプである。WE300B真空管を使用したシングルアンプだが、出力用、電源用に左右各1台、トランス類のカバーは磁気がこもらないようにすべて北海道産の木でカバーしてある程の凝り様。

出力はたかだか数ワットなのに聴いてみて、野太い音とともに力が無尽蔵に湧いてくるようで驚く。アンプは数値上の出力は当てにならず電源対策次第でいかようにもなるとつくづく感じる。

このアンプは大宰府にお住いのMさんの製作だが、つい先日(26日)、Aさんと会った折に伺った話として、海外にも広く知られたオーディオ評論家がこのたびAさん宅や、Mさん宅を相次いで訪れて試聴され、感心のあまりこのアンプによるフランスでの試聴会を開催する話が持ち上がっているという。

自分もこういう次元の違うアンプを一度使ってみたい気がするが、何事もバランスの問題でそうなるとスピーカーシステムについても特段の配慮が必要になるし、それに何といってもこれまで長年使って手の内を知り尽くしている機器への愛着がある
。簡単にポイするわけにはいかない。

現在のシステムの範囲内でいかに「黄金の組み合わせ」に向けて磨きをかけていくか、もうこれしか残された手段はないと思っているが、オーディオ人生にとって「夢を持つこと」の大切さも分かるし、はてさて。


 

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