「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

3つの「甲乙つけ難し」

2013年12月20日 | オーディオ談義

18日(水)は朝から猛烈な寒波が日本列島へ押し寄せてきた。南国の地である九州も例外ではない。

普段なら寒波なんてまったく気にしないのだが、当日は福岡からオーディオ仲間のKさんがお見えになる日で、山間部を突き抜ける高速道の積雪状況が非常に心配。ずっと昔、雪道をクルマで走っていてスリップしたため命を落としかけたことがあり、その怖さは身に沁みている。

仕事ならともかく、趣味のために無理したうえで事故ったりすると目も当てられないので、「訪問中止」を視野に入れながら早朝からパソコンを開いて「ハイウェイ交通情報」のマップを覗いたところ、高速道の一部が「凍結防止剤散布中」とのことで、通行止めまでには至っていなかった。

9時半ごろにKさんから電話があって「今から出発します。今日はよろしくお願いします。」

「まだチェーン規制にはなってないようですが、くれぐれも雪道には気をつけてくださいね。慎重に運転してきてくださいよ。」

ようやく11時過ぎに予定の時間よりも10分ほど遅れて到着したKさんに「道路の状況はどうでしたか?」

「途中までは何てことはなかったのですが、山間部に入った途端に雪景色になりました。これは中止したほうが良かったのかなと一瞬後悔しましたが、低速運転でどうにか乗り切りました。夕方になると凍結しそうなので今日は早めに切り上げる予定です。」

「そうですね。今日の試聴は効率よく進めましょう。」

今回の試聴を振り返ってみるとハイライトは次の3つのバーサスだった。それでは順番に~。

☆ 「JBL375ドライバー」 VS 「AXIOM80」

はじめにJBLの3ウェイシステムから試聴した。中音域(800~9000ヘルツ)を担当しているJBL「375」ドライバーを駆動している真空管「2A3」の球転がし用としてKさんが持参されたのは次の4種類。

           

左上から「シルヴァニア刻印」 「エレクトロ・ハーモニクス(エレハモ)」(ロシア) 「ヴィシュー刻印」(フランス) 「アクチュラス刻印」

名にしおう古典管が3種類もあってなかなかの好勝負でいずれも捨てがたい持ち味があった
が押しなべて他を圧していたのは予想どおり「アクチュラス」。しかし、近代管の「エレハモ」も値段の割には善戦でなかなか好感が持てた。

それにしても「375」の再生能力はさすがで、口径10.4センチのダイアフラムはけっして伊達ではない。二人ともすっかり聴き惚れてしまった。

「AXIOM80(以下「80」)と比べると、原音を忠実に再生するという点からは375の方が上かもしれませんね。米良美一さんが唄う“うぐいす”では口から出す声と鼻にかかった声の微妙な使い分けを見事に再現できています。80ではとてもこうはいきません。」と、Kさん。

「そうですね。いい勝負です。80は“薄化粧美人”のようにうまく装飾して騙すところがありますからね。ま、甲乙つけ難しといったところでしょうか。」

☆ 「オリジナル・エンクロージャー」 VS 「自作のエンクロージャー」

昼食をはさんで午後からは本命の二つの「80」の比較試聴に入った。グッドマン社指定のオリジナル・エンクロージャー(以下、「オリジナル」)に入った「80」と自作のエンクロージャー(以下「自作」)に入った「80」。

                   

両方、みっちり聴いていただいた後でストレートに「いかがでしたか?」とKさんに訊いてみた。

「いやあ、どちらがいいとか悪いとか、これは難しいですね。もう好き好きの問題でしょう。自作の方ですが低音域の充実度はたしかに目を見張るものがあります。通常の80ではとても出せない音です。この点では我が家の80を上回ってますが、200ヘルツあたりがちょっと薄くなっているような気がします。まだエージング不足ではないでしょうか。その点オリジナルはグッドバランスですが自作と比較すると少し力感に欠けますね。」

というわけで勝負は「引き分け」ということに。メデタシ、メデタシ(笑)。

☆ 直熱三極管「WE300B(オールド)」 VS 「PX25」

現在「オリジナル」の「80」を駆動しているアンプの出力管は「WE300B」(アメリカ)、そして「自作」の「80」を駆動しているのは「PX25」(イギリス)。両方とも1950年代の古典管。

            

真空管の種類は数あれど、巷間、音が良いとされているのは「直熱三極出力管」だが、その中でも双璧とされているのがこの「WE300B」と「PX25」である。

「いやあ、今回の試聴でWE300BとPX25の個性を十分堪能できました。両方とも素晴らしい球ですね。これはまったく、甲乙つけ難しです。」と、Kさん。

「近年、やたらにWE300Bが値上がりしてますが、PX25は実力のわりに置き去りにされているようでちょっと可哀想です。ただ、ちょっと球切れしやすいのが難点ですが・・・。」

そうこうするうちにあっという間に時間が経って、「年内はもう訪れる機会がないと思います。どうかよいお年を・・」との言葉を遺してKさんが帰途につかれたのは予定の15時半きっかりだった。

心配していたところ17時ごろに「無事到着しました。」との一報が入った。


ああ、よかった。今日も素晴らしい一日だったなあ。なんて人生は楽しいんだろう(笑)。
 

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