「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオの深くて暗い闇

2021年06月11日 | オーディオ談義

自分の気に入った音で(家庭で)本格的に音楽を聴こうと思ったら、「泥沼」を覚悟しなければならないというのがこの世界の相場である。

そのぐらい「気に入ったシステムの構築」となると一筋縄ではいかない。

お金の威力に任せて実現した高価なシステムといえども万事解決といかないところがその困難さを物語っている。

程度の差こそあれ、我が家でも50年近く悪戦苦闘してきた。

言い換えると、きりがない世界なので長く続けられる魅力があるともいえそう。

そういう悪戦苦闘する中で大切なのは「いかに有益な情報を効率よく取得するか」に尽きるが、オーディオ評論家などの話はあまり当てにならないので、やはり実際にやり取りする「生の情報」が大いに頼りになる。

そういう意味でオーディオ仲間はありがたい。

去る5日(土)は久しぶりにオーディオ仲間が3名加わって賑やかな試聴会となった。

対象となるシステムは次のとおり。



この薄い板(1.2mm)の二つの箱を製作したときに加勢してもらった「N」さん(大分市)も参加されている。

このシステムの概要は前々回のブログ「弦楽合奏が聴きたくなる音」で紹介したので省略。

「やはり黒色はいいですねえ、落ち着きます」が、仲間たちの第一声だった。

ちなみに、オーディオ界では「見た目と音質は比例する」という伝説がある。我が家にはまったく当てはまらないが(笑)。

この日はモーツァルトの試聴から始まった。

「ディヴェルトメントK136」(コープマン指揮)、「ヴァイオリンとヴィラのための協奏交響曲」(五島みどり盤)など。

駆動するアンプは次のとおり。

「AXIOM80」(フルレンジ)には「WE300Bシングル」を、低音域用のスーパー10」(ワーフェデール)には質感を重視して「PX25シングル」を充てた。

直接対面での評価なのでいささか割り引くとしても、「とても美しい音ですよ」と好評だった。まあ、ツボにハマったときの「AXIOM80」が奏でる弦の音をおかしいという人はあまりおるまい(笑)。

ジャズ好きの方には力感、迫力、切れ味といった点で物足りないだろうが、ことクラシックの鑑賞となると相当なレベルだと自画自賛しておこう。

2時間ほどで大分組のお二人は別府市内の別の愛好家の元へ行かれて、後はいつものとおりYさんとの二人だけの試聴に移った。

「久しぶりにウェストミンスターを聴いてみませんか?」「いいですね」。



フルレンジの部分を「WE300Bアンプ」で、ツィーターを「6098シングル」で聴いていただいたが、両方のユニットの繋がりにまったく違和感は無しとのことだった。

次にフルレンジだけ「KT88プッシュプル」のアンプに切り替えた。

「とてもゴージャズな音ですねえ、低音域もハイカットを100ヘルツにしたときとそれほど変わりませんよ」とYさん。

ただし、最後になって「やはり以前のウェストミンスター+AXIOM80で聴いたときと比べると一枚ベールが被ったような音になりますね」(笑)。

「そりゃあ、AXIOM80と比べるとどんなユニットだって可哀そうですよ。コーン型であれば俗にいう紙くさい音になって1枚も2枚もベールを被った音になってしまうのが関の山でしょう。太刀打ちできるのは金属のダイヤフラム+ホーンぐらいでしょうがこのタイプは弦楽器には向かないですからね」と、自分。

実際にフルートを演奏され、現場の「生の音」そっくりの再生に拘られるYさんの耳はまことに鋭くて尊敬に値するが、ここで、はたして「ベールを被った音」が悪いのだろうかという疑問に突き当たる。

タンノイの音なんか「ベールを被った音」の最たるものだが、物は言いようで表現を変えると「いぶし銀のような音」になり「こういう音じゃないと人生の悲哀は伝わってこないし癒されない」として、その昔、随分もてはやされたものだった(笑)。

グッドマンの「トライアクショム」や「150マークⅡ」の音はタンノイほどひどくはないが、それでもAXIOM80と比べると「半枚」ほどベールを被った音になるが実に味わい深くて何だか思索的な気分にさせる。

はたして何もかも”あっけらかん”と「白日の下」にさらす音がいいのかどうか、オーディオの深くて暗い闇は一層濃くなり広がっていくばかりだ(笑)~。



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