「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

仏作って魂入れず

2021年04月02日 | オーディオ談義

ウ~ン、口惜しい、口惜しい、口惜しい!

それに「都会のチーム」に負けたのがいっそう口惜しい。

人間のエネルギーの源は「怒り」「不満」「劣等感」そして「欲望」だと思っているが、このエネルギーをそっくりオーディオに向けるとしよう(笑)。


さて、「仏作って魂入れず」
という言葉がある。

その意味は、ご存知の方も多いと思うが
「仏像を作っても魂を入れなければ、単なる木や石と同じである」であり、そこから転じて「せっかく良いものを作っても、大事なものが抜け落ちていれば、作った努力もむだになる」とある。

そこでだが、ずっと昔に読んだオーディオ雑誌にこんなことが書いてあった。

「人間にたとえるとスピーカーは容姿にあたり、アンプはそれに魂を吹き込む役割を担っている。」

賛否両論あると思うが自分は賛成派である。何といってもスピーカーとアンプは車の両輪なんだから~。

何しろスピーカーはアンプ次第で「聖者」になったり「悪人」になったりするし、そういう体験をこれまで嫌というほど味わってきたが、つい最近も得難い体験をしたので記録しておこう。

✰ EL34プッシュプルアンプについて



我が家のオーディオは小出力アンプで能率の高い昔のSPユニットを鳴らすというのが基本的なポリシーである。

したがって、手持ちの真空管アンプ群はせいぜい出力5ワットもあればいい方で中には1ワットクラスもあるほど。

ところが彗星のように現れたこのプッシュプル・アンプにはほんとうに驚かされた。

30ワットのパワーに裏打ちされた力まかせの低音域の鳴りっぷりに、ついフラフラッと誘惑されてしまった。謹厳実直な生活ばかりしていると、たまには浮気心を起こしたくもなりますよねえ(笑)。

このアンプを手に入れた顛末はつい最近のブログ記事「これ以上道具を増やしたくなかったのに」に記しておいた。

その末尾に「(EL34と交換可能な)KT88(4本)余っている方はありませんかね」と、あつかましく記載しておいたが、もとよりダメ元のつもりだったところ快く反応してくれたのが横浜在住のKさんだった。

ときどきメールの交換をする方だったが、
「KT88(4本)余ってます。これから使う見込みがありませんので譲っていいです。ただし、真空管の寿命が定かではありませんので、ご自宅で試したうえで好きな値段を付けられてください。」

実に気前のいいお申し出にKさんの「おおらかさ」を感じたが、自分で値段を付けるほど難しいものは無い。もろに本性が露わになるのが怖い(笑)。

そこで、曖昧模糊は悪いのではっきりさせておこうと「破格のお値段で恐縮ですが、4本で1万円ではどうでしょうか。」と、事前に申し出ると「ハイ、それでいいですよ。一応使ってみて納得されたら振り込んでください。ご不満のときはそのまま返送せずに持っていて結構です」

これまた非常にありがたい成り行きとなった(笑)。すぐに丁寧な梱包とともに我が家にKT88が到着した。

そこで、27日にこのアンプの元の持ち主だったオーディオ仲間のYさんに来ていただいてアンプの説明書を見ながら「EL34からKT88」への「バイアス調整」を4本とも行った。想像していたよりも比較的簡単に終了した。



さあ、どんな低音(150ヘルツ以下)が出るか、Yさんともども固唾を呑んで耳を澄ましたところ、荒々しくて雄大な低音に二人とも度肝を抜かれた!

フラメンコ・ダンサーの床を踏み締める音が「ドスン・ガツン」から「ドド~ン、ガッツ~ン」と迫力が2倍になった感じ。

「EL34」が分をわきまえた上品な低音だとすると、このKT88はリミッターを外した野放図な低音とでもいえそうで、パワーはおそらく「片チャン30ワット」から「50ワット」ぐらいに増えたように感じた。

新たな「魂」を吹き込まれたウェストミンスターも、きっと「己にふさわしい低音」だと喜んでいるに違いない(笑)。

これでようやく「ワーグナー楽劇」を心ゆくまで堪能できそうだ。



Kさん、どうもありがとうございました。たいへん満足です。すぐにお金を振り込みますからねえ(笑)。



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