「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

二兎を追うもの一兎を得ず

2015年03月17日 | オーディオ談義

オーディオ仲間のGさん(福岡)が製作されたアンプ(以下「Gアンプ」)が我が家にやってきてから早くも1週間あまり。

         

いろんなCDをとっかえひっかえしながら聴くものの、専ら音楽の方に関心が行ってしまい、音質の方はつい二の次になってしまう。もちろん、試聴する方の耳もあまり当てにならないのはいつものとおり(笑)。

その点、オーディオ仲間と一緒に聴いていると不思議と冷静になって正常な判断がくだせるのが不思議。

そこで、強力な応援隊のご登場である。

同じ「AXIOM80」仲間のKさん(福岡)が試聴にお見えになったのは去る12日(木)のことだった。以前のブログに記したように、このアンプはすでに8日(日)にKさん宅で鳴らして好評を博していたが、機器の周辺環境が変わると音質が一変するので、我が家ではどういう鳴り方をするのかKさんも興味津々。

当日、
11時ごろにお見えになったKさん、ひとしきり聴いていただいた後に洩らされた言葉は次のとおり。

「とにかく静かで音がスッと立ち上がる印象」「音を散らさないで克明に鳴らす」「細かい音をよく拾う」「音の消え入りどきが実に美しくてトランスドライブの良さが出ている」など、耳当たりのいいことばかり仰ったが、世の中に100%完全なオーディオ機器なんか存在するはずがないので、きっと意識して言葉を選ばれているに違いない(笑)。

もっとホンネを引き出す必要があるが、こういうときは具体的なテーマを設定してヒアリングテストするに限る。

そのテーマとは次の二つ。 「プリアンプとの相性を探る」 ☆☆ 「ベストマッチの整流管を探る

まず☆「プリアンプとの相性」から行こう。これには今のところ4つの選択肢がある。

(1) プリアンプ1号機、(2) プリアンプ2号機、(3) トランス式アッテネーター、そして(4) DAコンバーター(ワディア:ボリューム可変)との直結

機器によってそれぞれ得るもの、失うものがあったりしていつものとおりプラス、マイナスの差引き勘定となったが、結論から言えば一番相性が良かったのは(3)だった。

Gアンプの入力トランスのインピーダンスは600Ωと低いが、「トランス式アッテネーター」の送り出しが600Ωなので、やはりインピーダンスがマッチングしているのは非常に強い。

試聴盤の一つとして使ったのは村田英雄(歌謡曲)のCD。エッと驚く向きがあるかもしれない(笑)。

         
 

何しろKさんの愛聴盤なのでこちらも自然に感化されてしまったが、彼の声の再生はなかなかの難物である。

あのチカラのみなぎったダミ声をきちんと再生するにはシステムの方にかなりのエネルギー感が要るが、その点で(3)が図抜けていた。「声に張りが出てきましたね」とKさん。

「中音域」にエネルギー感が充満している気配があって、これだと低音不足や高音不足をあまり感じないのがとてもいい。しかし、当然失うものもあって、プリアンプを通したときの雰囲気の柔らかさ、奥床しさなどは望むべくもないが、こればかりは仕方がない。

「力感」と「エレガンス」の両方を得ようとするのは、ちょっと虫が良すぎる。「二兎を追うもの一兎を得ず」なんだから(笑)。

こうしてGアンプの接続が決まったところで、次に☆☆の「整流管の相性探し」へ移った。真空管マニアにはこたえられない「球転がし」である。今回Kさんが持参された真空管は次のとおり。

          

ちなみに画像右側の2本の大型の真空管はカニンガムの「50」(ナス管)である。このGアンプは出力管のWE300Bと「50」についても能力的に6割程度なら鳴らせるとのことで、Kさんからわざわざ持ってきてもらったもの。

この「50」はヒーター電圧が7.5Vなので能力全開とはいかなかったが、もしGアンプを「50」専用に改造すればさぞやと思わせるような豊かな音質の片鱗を感じさせた。

次に、整流管だが左からSTCの「5R4GY第3世代」、レイセオンの「5Y3G」、シルヴァニアの稀少管「大型GT」。ヒアリングテストの結果いずれも甲乙つけ難しで、それぞれに良さがあったが、総合的には「大型GT」が一番気に入った。

繊細さが身上の「AXIOM80」から豊かさを引き出せれば、それだけで合格だがこの球はその点で一日の長があった。今回この球に接したのは初めてだが、自分を含めてほとんどの方がご存知ないに違いない。

総じて言えば、自分も含めて市井の真空管マニアはどうしても多くの真空管に接する機会が無いので購入するにしても選択肢が限られているのが非常に淋しい。したがって評論家の記事を鵜呑みにしたり、名の通ったブランド球を選択してしまい「まあ、いいか」になりがちだが、まだまだ世の中には埋もれた名管が数知れずあることをKさんを通じてこの2年間しっかり学んだ。

それにいくら真空管を知っていても実際に試聴出来る環境にないと意味がないのだが、Kさんのおかげで数々の名管を実際に鳴らすことが出来たのは大きな収穫だった。それに有名ではない球なのでオークションでも比較的安価に手に入るのだからたまらない(笑)。つまるところ、オーディオはマンパワー(人的資源)だとつくづく思う次第。

「アンプの性能がいいのでどの整流管を挿しても見事にその差を明らかにしますねえ」とKさん。

「今度オークションでこの球を見かけたら絶対に私が落としますのでどうか邪魔しないでくださいね」と、Kさんに強く念を押したのは言うまでもない(笑)。

ところが、昨日(16日)ふと思いついて、市内在住の真空管収集家Mさんに大型GT管の在庫を照会したところ、次のようなメールが返ってきた。

「△△さん、シルバニア製大型GT管は元箱品在庫有ります。これは〇〇の高信頼管となります。つまり最高級品という事です!金額は@¥0000です。在庫は複数あります!今ではUSAでも殆ど出て来ませんし・・・出たら高くて買えません。」

ラッキー!すかさず2本ゲット(笑)。


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