先日のこと、オーディオ仲間のAさん(湯布院)からご連絡があって、「ハートレーのユニットをナショナルの8PーW1(通称ゲンコツ)と入れ替えたところ、ピアノの左手側が実にいい音で鳴りだしました。一度、聴いてみませんか。」
こういうときに、矢も盾もたまらず一目散に駆けつけるのがオーディオ・マニアのマニアたる所以で、あいにくの梅雨空だったが、クルマで35分ほどの道をひた走り。
画像をご覧のとおり、かって一世を風靡したハートレー(イギリス)の口径25センチのユニットと、同じく口径17センチのユニットを中高音域に使用されている。ウーファーは往時のナショナルの名ユニットとして知られる30センチ口径のもの。
クロスオーバーは400ヘルツ(6db/oct)、2000ヘルツ(6db/oct)のハイカット無しとのことで、変則4ウェイ。
いかにもAさん好みのずっしりとした重量感のある音というのが第一印象だった。Aさん宅の位置づけとしては第4システムになるが、第1システムにしてもいいくらいの音で、うまくまとめられており長時間でも聴き疲れしないのがいい。
今後、ウーファーを「SLE-20W](フォステクス2発)に替えたり、ハートレーを真空管アンプで鳴らす計画をお持ちのようだが、とにかく「スピーカー周りの作業は楽しくて仕方がありません」とのことで、まったく同感。
この作業は汲めども尽きない泉のようなところがあって、コイルやコンデンサーの材質、クロスオーヴァーの変更、吸音材の材質や詰め方、エンクロージャーの材質や容積、そしてユニットの選択など音質に関わる変数が限りなくあってまるで「オーディオの宝庫」。
2時間ほど聴かせていただいてから、1階に降りてかねてお願いしていた「AXIOM80」を拝見させてもらった。残念なことにAさんはこの稀少なユニットを現在使っておられないが、それ以前は20年間ほど骨の髄までしゃぶり尽くすように使い込まれたそうだ。
このユニットは我が家にある復刻版と違ってオリジナルである。ただし、いつぞやのブログでも触れたように、オリジナルといっても1期~4期ぐらいまであって、その道の専門家でないと何期に当たるのか区別がつかない。
磁界処理対策としてユニット裏側のマグネット部分を「油粘土」で包んであり、銅板でくるんでアースを取る方がいいとのことで、実にユニークな方法をとられていてこれは初耳。
正直言うと、このAXIOM80を使わないまま寝かしてあるのはもったいないので、当方としてはAさんに対して具体的な商談に持ち込む腹積もりなのだが、「ヴォーカルとヴァイオリンの再生だけはダントツですからねえ」と、今一つ手放す決心がつかないご様子。そりゃそうでしょう!
したがって、未だ(商談が)“まな板”の上さえも乗っていない段階(笑)。
長年のお付き合いなので何とかなりそうな気がするものの「果報は寝て待て」という諺もあることだし、Aさんの心境の変化を焦らずにじっくり待つとしようかな~。