「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

小人閑居して不善を為す

2013年08月03日 | オーディオ談義

「暑さ寒さも彼岸まで」というが、2日に発表された気象庁の1か月予報では日本列島はこの上なく猛暑になるという。これじゃあとても我慢の限界を越えそう。

あっさりと自然冷房主義を放棄して一日中エアコンをフル稼動させ、このところずっとオーディオ・ルームに閉じこもって、オーディオ三昧、音楽三昧の日々を送っている。

こういうときに、昔の人は実にいいことを言っている。そう、「小人閑居して不善を為す」(笑)。

そういうわけで我がオーディオシステムにも動きがあったので述べてみよう。

発端はワディム・レーピンのヴァイオリン演奏だった。

去る7月上旬に我が家に来てくれたオーディオ仲間のS君(福岡)が愛聴盤として持ってきてくれたのがこれ。

        

このCDにはヴィオリン技巧の頂点を極めたパガニーニ(1782~1840)をはじめバジーニ、ウィニアスキーなどの曲が収めてあり、レーピンのあまりの名演ぶりに一同、試聴しながら息を呑んだものだった。

たしか自分も同じCDを持っているはずだがと、探してみると以前購入した10枚セットの中入っていた。

            

そこで、最近試聴にお見えになるお客さんたちに、ことごとくこのCDをお聞かせすると、異口同音に「凄い演奏ですね。ヴィオリニストは誰ですか?」

「ワディム・レーピンです。ロシア出身ですがあの(往年の名ヴァイオリニストとして名を馳せた)オイストラフと肩を並べるほどの逸材なのは間違いありません」。

さて、これまで積読状態だったレーピンの10枚セットを改めて仔細に眺めてみると、7枚目にモーツァルトのヴァイオリン協奏曲「2番、3番、5番」が収めてあるのを発見した。指揮はユーディ・メニューイン。

モーツァルトのV協奏曲といえば、音楽評論家推薦のベスト1の名盤として君臨しているのが「グリュミオーとデービス」盤だが、これは別格として、このところ聴くことが多いのは「パールマンとレヴァイン」盤だが、この「レーピンとメニューイン」盤にも大いに興味を引かれて聴いてみた。

ところが、「?」

「レーピンの演奏にしてはどうもイマイチ乗れないなあ。バックのオーケストラと何だかバラバラの響きに聴こえる。録音が悪いのか、それともオーディオ・システムに問題があるのか?」

録音の方はどうしようもないので、システムの方に疑惑の目を向けてこの際いじってみることにした。

使用していたのは「AXIOM80」の2ウェイシステムで、これまでボーカルやヴァイオリン・ソロだと目立たないもののオーケストラなど大編成となるとクロスオーバー付近の200ヘルツ前後で音が希薄になる傾向にあるのがそれとなく気にはなっていた。低音部と中高音部との繋がりをもっと滑らかにしよう。

このCDを聴いてようやく気持ちが固まった。よし、実験あるのみ。な~に、悪いときは元に戻せば済む話。

対策の第一番目は「AXIOM80」を200ヘルツ付近でローカットしているコンデンサーを思い切って外して、フルレンジで鳴らしてみることに。第二番目は裏蓋を外して、羽毛の吸音材をぎゅうぎゅう詰めにしたまま後面開放にする。

ニッパーとハンダごて、カッターナイフ、ドリルドライバーを持ち出して30分ほどで作業完了。

          

外したのはトリテックとムンドルフの混成旅団のコンデンサー。コンデンサーに極上のマイカコンデンサー(極小値)をパラって繋ぐと音が良くなるという言い伝えを信じて、ウェスタン製の極小値のマイカコンを接続している。

そういうわけで「AXIOM80」をローカットなしのフルレンジで鳴らすとなると、低音部の方はサブウーファーという役割になって従来どおり200ヘルツ付近でのハイカットのまま使用。

これで聴いてみると、音の佇まいが一変した。バランス、音の彫の深さなどなかなかいい。念願だった「AXIOM80」がようやく伸び伸びと“ふっくら”“ゆったり”鳴ってくれた。

ただし、いいことばかりではない。ソースの録音状況によって低音域の音量のこまめな調整が必要になるし、さらに困ったことに低音域をローカットしていないと、極めて繊細なツクリなので大入力のときに壊れやすいのも事実。

これまでに2回ほど失敗して、その都度岡山のSP修理店に助けを求めている。手間がかかるし、修理の金額だってバカにならない。

これから毎日ヒヤヒヤしながら音量を少なめにして聴くことになるが、同じ「AXIOM80」愛好家のKさん(福岡)に言わせると、「俺の言うことを聞かないとシベリアの収容所送りにするぞとばかりに、じわじわエージングを重ねていけばいずれ(ユニットが)慣れてくるものです」との心強い言葉もある。

まったく「虎穴に入らずんば虎児を得ず」のような心境で、しばらくこれで聴いてみることにしよう。

はたして吉と出るか、凶と出るか、こればかりは博打だなあ(笑)。


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