「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ますます面白くなる「半沢直樹」

2013年08月29日 | 独り言

先日のブログ「話題あれこれ」(8月7日付)でも取り上げたが、テレビドラマの「半沢直樹」がメチャ面白い。

娘から「お父さん、評判のいいテレビドラマがあるよ」と教えられて、半信半疑のまま3回目以降から観だしたのだが、去る25日(日)で6回目となり、物語も佳境に入る中、すっかり嵌ってしまった。

現役時代に37年間、上意下達のがんじがらめの組織の中で窮屈な思いをしてきたが、銀行に限らず組織の中に組み込まれて働くとなると、どこの職場でも似たようなものだなあというのがこのドラマを観ての第一印象。

しかし、「やられたらやり返す → 倍返し」は、理想だが現実にはとても無理。

これはドラマの世界の話で、実際にそんなことをしたら組織からシャットアウトの憂き目を見ること請け合いだが、叶わぬ夢のもとでストレス解消になっている方も多いことだろう。

そのせいか、銀行員の9割がこのドラマを観ているという記事も散見した。

あの真面目なコラムで知られる朝日新聞の「天声人語」(2013.8.26付)でも「半沢直樹」が取り上げられていた。ご覧になった方も多いと思うが抜粋させてもらおう。

『~控え目にふるまうのも競争に勝ち残るための戦略に他ならないが、それとは正反対の世界を人気ドラマが描いている。TBSの「半沢直樹」だ。手柄を部下に上げるどころか、自分の失敗の責任を押しつけてくる上司と、主人公は激しく戦う。

番組の公式サイトを開いて噴き出した。いきなり「クソ上司め、覚えていやがれ」とあった。半沢はバブル期に銀行に入った中間管理職である。「やられたらやり返す、倍返しだ!」の啖呵が冴える。

倍返しという言葉、80年代末にバレンタインデーのお返しの常識として使われた記憶がある。あの騒々しかった時代ははるか遠い。同じ言葉が仕返しという物騒な意味合いで再登場したのもご時世か。

「ブラック企業」「追い出し部屋」・・・・・。会社の仕打ちに辛抱ならなくても、現実にはなかなか刃向えない。10倍返しの返り討ちに遭いかねない。せめて境雅人さん演じる半沢の目力(めじから)と行動力に溜飲を下げる。そんな思いの人も多いだろう。

「チャンバラ小説の痛快さ」を狙った。原作を書いた作家の「池井戸 潤」さんはかって本紙にそう語っている。といって単純な勧善懲悪ものでもない。「オレたちバブル入行組」の最終盤の一行に首がすくむ。「人事が全てだ」』

この「人事が全てだ」は、お役人の世界でもよく聞く言葉だが、さぞや抵抗感を覚える方も多いに違いない。

「そんなことを考える暇があったら自分の職務を全うしろ!」
という声が今にも聞こえてきそう。

この言葉からは何だかギラギラしてエゴイスティックな印象を受けるというわけだが、現実には人事の辞令一つで遠隔地に飛ばされたりすると、これまでの生活スタイルが一変するのだから生身の人間にとってこれは凄く切実な話だし、今後の人生設計にとっての大切な指針の一つにもなる。

「はたして組織は自分を必要としているのか、いないのか」それを推し量る重要な尺度になっているので、「人事」は組織で働く人間にとってユメユメ無関心ではいられないはずなのである。

「第6回」のドラマの中で、銀行から中小企業に派遣された半沢の友人(かっての剣道部の同僚)が派遣先の職場のイジメにあって苦労する話が出てくるが、半沢が剣道の練習場に連れ出して猛稽古を通じて「学生時代を思い出せ」と叱咤激励をするシーンがある。

自分だけならまだしも両肩に妻子がドッカリと載っていると、組織の中で働く男性諸氏は無意識のうちにでもつい矛先が鈍って委縮しがちになるもので、それは日頃から十分噛みしめられている方も多いことだろう。そういうときに、「学生時代を思い出せ」は、当時の「覇気」を取り戻す意味でまことにいい言葉だと思う。

ドラマの中ではその言葉に発奮した半沢の友人が苛められた輩たちに逆襲して攻守ところを替えるシーンが出てくるが、まことに痛快そのものだった。

一方では、世の中には一定の組織に属さない自由業の人たちも多い。そういう人たちにはおそらくこういう世界はピンとこないだろうし、伸び伸びとやりたい放題に生きられてほんとうにうらやましい気がする。まあ、それはそれで別の苦労もあるかもしれないが。


そういえばオーディオとか釣りとか時間を多大に必要とする趣味を楽しむ人たちは、どちらかといえば自由業の人たちによく見られるみたいだ。

自分だってオーディオ歴は結構長いが、本格的に「オーディオをやってる」と実感するのはここ数年のことである。現役時代は時間的・心理的にもとてもそんな余裕が無く、たまに息抜きでやるくらいのものだった。

まあ、これは結果論になるがオーディオ機器への中途半端な投資と無駄遣いが現役時代に多かったのも、本腰を入れて実験と研究に割く時間が足りなかったことが大いに起因している。

そういう合理的な視点からすると、現在、組織の中で働くオーディオ好きの方々に対して、「
現役時代はオーディオを半ば封印しつつ、そこそこのシステムで楽しんでおいたほうが無難ですよ」と言えば、これは身も蓋もない話になるかな。

おっと、話が変な方向に逸れてしまった(笑)。


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