「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

~戻ってきたWE300Bアンプ~その3

2012年08月11日 | オーディオ談義

(前々回からの続きです)

長持ちすることで有名なWE300B真空管が、もはや寿命が間近に押し迫っているという報に接して正直いってガックリきてしまった。

この真空管は、過去に軍事用の通信機器に使用されていたこともあり、国策としてアメリカ政府が多大の予算を割いて作らせていたという話を聞いたことがある。

なにせ「敵との交戦中に真空管が故障して通信ができませんでした」とあっては責任重大、何物にも代えがたい多くの貴重な人命が失われる可能性があるので、ツクリは精緻を極め、不良管の選別検査は厳格そのもので普通の民間の真空管とは耐久性のレベルがまったく違う。まあWE300Bに限らず総じて軍事用の製品はハイレベルといっていい。

それにしてもWE300Bは何という優雅な形をしているんだろう。明らかに工業製品の域を脱して、もはや美術品といっても差支えないほどの佇まい。それでいて音が抜群にいいんだから・・・・・。まったく、魂をすっかり吸い取られそうな魅力を放っている!

                   

ウェスタンの世界は真空管をはじめアンプ、スピーカーなど奥が深くて先達も多いし、とても自分ごときが語る資格はない。

以下、伝聞だがこのWE300Bにもピンからキリがあって、「最上の音」とされるのは「刻印」と言われるもので、ロゴが真空管のベースにわざわざ彫り込んであり、「幻の真空管」と称され先ず手に入れるのは至難の業。製造されたのは1940年代で、値段の方も目の玉が飛び出るほど。

これはずっと昔のオーディオ専門誌「無線と実験」に書いてあった記事だが、あるマニアがこの「刻印」をアンプから外して冷たい床に置いた途端、ピシリと真空管のガラスにヒビが入って使いものにならなくなったという逸話が今でも脳裡に焼き付いている。実にお気の毒~。おそらく自分なら、ショックのあまりしばらく寝込んでしまったに違いない。

「刻印」の次に音質が良いとされているのが「オールド」と称されるもので製造年代は「1950~1960年代」のもの、そして一段とランクが下がって1970年代以降のものとなる。(以上、「通説」で実際に確認したものではないので念のため)。

総じて1970年代以降は他の真空管も含めて軒並みダメな方向に向かっていく。これははっきり実体験に基づいた感想だが、そのかわりにトランジスターが台頭していく時代になる。

もちろん現在の技術
でメーカーが本気でかかれば「刻印」以上の真空管が出来る可能性は無きにしも非ずだが、使い道が「オーディオ」程度であれば、儲かるはずもないのでこれはとても無理な相談。                          

現在のWE300Bの手持ちは使用中の2本に加えてオリジナルのスペア(写真:オールド)
を1本だけ保有しているが、とても心細く、20年ほど前に仕事で上京したときに秋葉原に行って購入したセトロンの300Bが生き返ってくれれば、大いに助かる。

このセトロンは、どうやらたまたま不良品に当たったようで購入当初からアンプのスイッチを入れて温もり始めると一時的にものすごい雑音を発し、それが納まると順風運転になる。この際、奈良のMさんに原因を調べてもらおうと、29日(日)の早朝に送付したところ、すぐに翌日、月曜日の午後には到着して、すぐに実験結果の報告があった。

以下、次回に続く~。


 

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