表題とはぜんぜん関係ない話だが、ちょっと一言。
5月31日(月)のテレビのモーニングショーで国交省の「辻元清美」副大臣が社民党の連立離脱に伴い辞表提出の経緯を説明するためゲストとして招かれて一説を講じていた。
そして、丁度、話が一段落したときに党首の「福島瑞穂」さんが更なるゲストとして颯爽と登場して着席された。
爽やかな決断と実行を果たされた、いわば「時の人」である。当然、福島さんの開口一番を期待していたところ、何と隣席の辻元議員が何を勘違いしたのか、党首そっちのけで党の方針など大所高所の話をし始めた。
一体この人、どういう教育と”しつけ”を受けてきたんだろうか。
いくら国会議員とはいえ党首の了解無しで副大臣には就任できまい。いわば党首は上司に当たる存在。その上司が登場して、さあ発言というときに部下がしゃしゃり出て口舌を振るうなんて、通常の組織では絶対ありえない話。ビックリしてしまった。
あまりに福島さんの立場が無視されたようでお気の毒だったので思わずチャンネルを切り換えた。
国会議員なんて「オレが、オレが」という自己顕示欲の塊みたいな連中だと聞かされているが、それにしても時と場所とタイミングをわきまえないと傍から見ていて不快感を覚える。
もっとも、自営業などの方からはそんな些細(?)なことに何もそう目くじらを立てなくてもと軽く受け流されそうな気もするので、長年、組織に従属してきた習性から(自分は)ちょっと神経過敏なのかもしれない。
ともかく、行き届いた統制とは程遠い社民党の現状を垣間見る思いがしたが、そもそも議員の社会的マナーとかの教育は”どこ”の”どなた”がするんだろうか?
閑話休題。(それはさておき)
☆ 「村上春樹さんの人気の秘密」
村上春樹さんの新作「1Q84」が爆発的に売れているそうだ。
この本についてはまだ読んでないので語る資格はないけれども、「ノルウェーの森」をはじめいくつかの作品は過去に読んだことがあるが正直言って期待したほどピタリとはこなかった。
肌合いの違いというか(自分の)読解力不足もあるのだが「村上さんの本はそんなに人気に比例するほど面白いのかな~?」という疑問がずっと晴れないまま今日に至っている。
そして、ようやくその秘密の一端らしきものにめぐり会った。
村上文学とフィッツジェラルドなど近代のアメリカ文学との関係などを論じた「偽アメリカ文学の誕生」(2009.7.10、都甲幸治著、水声社刊)という本の78頁にそれはあった。
~日本近代文学の言語はエリート主義に毒されていると感じていた。高等教育を受け、知識を持った優れた書き手が上から一般大衆に向けて書く。したがって、多少は難解でも構わないといった姿勢に、彼(村上さんのこと)は違和感を持っていたのである。
「書き手・読者という関係も出来るだけ並列的でありたい。他人に何かを教えるというのは好きじゃないんです」(「『物語』のための冒険」より)。~
「モノを教えてやる」という「上から目線の書き方で難解な表現」とくればすぐに連想するのが「評論の神様」と言われた「小林秀雄」さんだが、たしかに村上さんの文体は平易かつ権威的な偉ぶった匂いがちっともしないのが特徴で、読者との並列的な関係に彼の人気の秘密を解く鍵があるのかもしれない。
本書にはほかにも興味深いことが書いてある。
村上さんは昔、ジャズ喫茶を経営していて、毎日ジャズを10時間聴く生活をおよそ10年続けて過ごした程のジャズ好きだが、あるとき黒人兵がジャズを聴きながら「アメリカに帰りたい」と望郷の涙を流した。
その涙を見て、黒人と自分とのジャズの受け止め方の差に愕然として、(限界を感じて)本気になって作家への転身を決意したという。
有力なノーベル賞(文学部門)候補誕生のいきさつには「ジャズと黒人兵の涙」があった!
☆ 頭のでき~決めるのは遺伝か環境か~
この種の論議は果てしないし、関係する著作も沢山あって少々ヘキヘキ気味だが、興味の尽きないテーマではある。
ミシガン大学心理学の教授が書いたこの本は、そういった論争に終止符を打つ書(アメリカの書評)だそうだ。
「頭のでき」(2010.3.10、R.E.ニスベット著、ダイヤモンド社刊)
本書の構成は次の章で成り立っている。
1章 知能の種類は一つではない
2章 遺伝子はどれほど重要なのか
3章 学校は人を賢くする
4章 学校をさらによくするための方法
5章 貧富の差は知能に大きな影響を及ぼす
6章 黒人と白人のIQ
7章 知能の差は縮められるのか
8章 アジア人のほうが賢いか
9章 ユダヤ人の教育の秘密
10章 あなたの子供、そしてあなた自身の知能を高める
項目的に興味事項満載の本書だが、ザット目を通したところ豊富な専門知識と統計数値にしっかりと裏づけされた内容で期待を裏切らないものだった。
学校の1年は年齢の2歳分の知的な成長に相当するなどと学校教育、なかんずく先生の資質の重要性に言及してあるのが印象に残った。
とにかく「遺伝よりも環境が大切」という著者の考え方が終始一貫しており、「自分の知能は自分でコントロールできると信じることが驚くような効果をもたらす」なんて書いてあると明るい展望が見えてくるようで楽しい。
特に10章(229~240頁)などは、小さいお子さんがいる家庭では是非一読しておいたほうが良いと思うのだが、これはお節介かなあ~。