経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

虚実混合の時代

2006年02月06日 | Weblog
日本の不況が深刻化してきた。今から3―5年が山になるだろう。その
間、ゼロ成長以下になることは当然。銀行を含む不動産関連企業、大手流通業
といったところの大型倒産、多量失業、社会変革などが起こる。
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上の文章は、H10.8.24に配信したJ―KA通信(現「白圭通信」10-5号に記載した「冒頭コラム」である。

その間、上に予測した兆候の現実化を背景に、とりわけ流言飛語をとばし、一儲けしようという輩が続出。そして消えていった。
 その中には「これを買うと宝くじの特等が当たる」、といったたぐいのチラシ商法からITの特性と証券法等の時間的間隙を縫ったやりかたで急成長(実は見せかけか)したライフドアみたいなものまである。

 宝くじの特等が、どんなおまじないをしようとたった一人にしか当たらないという事実は変わらない。こんなことは冷静になれば誰しもわかることである。どの世界にも1位は一人、1社しかいないという当たり前のことを"意識して無視、欠いた成功談"は、まず疑ってみることである。

 未来を説き、今を忘れさせる論法者に、今を問いただしてみることである。
 だがヒーローを生み出す者は、大衆である。このことを見逃してはなるまい。大衆は自分の夢をヒーロに委ねる形で、叶わぬ自分の夢を託する。だがそのヒーロが現実に身近にあることは、嫉みになる。その意味でITの世界でのヒーロは、嫉みの対象にはなりにくい。ここにそうした輩を排出させる、土壌があると見ている。

 ヒーロには実像と虚像の二面性がある。実像だけでは大衆は押し上げてくれまい。だが虚像だけでは最初から、賢くなった大衆は警戒するだろう。虚実織り交ぜた世界を容易に可能にするのが、ITの世界ではないか、と思う。

 その意味で、この類の事件、事件にならないことをも含むことは、手を換え品を変え多発してくる、とみている。この場合、いわゆる被害者の大半は泣き寝入りになる。なぜなら現実の進化のスピードは、これまでもそうだったが、そのこれまでに比較し得ないほどのスピードで進化する。対して立法(法整備、法改正を含む)のスピードはこれまでとほとんど変わらない。
 だから常に後追い。これは次の被害者は対象となるが、今の被害者は対象外といったことが、イタチゴッコが永遠に続くことを覚悟しなければならないことを意味する。

 としたらこれは一人一人が、虚と実とを見抜く力を身につける以外にない。虚を剥がせば、実が見える。実を剥がせば虚がみえる。これだけのことだから、決して難しくはない。脳力経営塾では、そのための脳の回線造りをやっている。
 
 2月10日 名古屋カムサ経営セミナーhttp://www.kamsa.cc/training.htmlでそうした話をしたい。
 虚実混合の時代への対応を一緒に学びあえたら、と念じている。