経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

これ以外にないのに、これ以外の対策では

2006年02月25日 | Weblog
「なぜ他人は言うことをわかってくれないんだろう。どうしたらいいだろう。いろいろ対策しているのだが」といった問が多いので、簡単に、ここでまとめておきます。

 考えるべきことは、「自分は一人、他人はたくさん。自分の考えは自分の判断で変えられるが、多くの人の意思決定を変えることは難しい」ということです。
 
 人が思うように動かないといった場合、理由は大きく2つに分けられます。
 1はあなたには重要でも、他者には受け入れがたいといったこと。
 2に他者それぞれ固有の戦略をもっていること。しかも他者の固有戦略が、全部同じということはまず無い。あっても稀有です。

 経営の場合、経営者が戦略、部下が戦術と置き換えてみたらわかりやすい。
 部下が思うように動いてくれないのは、経営者の戦略と部下の戦略が違う。共有されていない。これは経営者が戦略の浸透と共有化のために動いていないからだ、ということが自明の理です。
 
 戦術には良いも悪いも、正しい、間違い、といった概念がそもそも存在しない。メスは医者が使えばメス、恐いおじさんが使えば凶器。水は冬は「冷たい」ですが、夏には「きもちぃー」。子供でもわかることです。
 戦術に良しも悪しもない、のですからうまくいかない元凶は戦略、つまり経営者にあり、ということになるわけです。

 戦略は、こちらの狙いに他者に協力してもらうことです。協力するかどうかは、他者の意思決定です。その意思決定を変えてもらうためには、どうしたらいいか、ということが、経営者の戦略、やるべき事です。

 そもそも、戦略の本質は、そもそも他人は、こちらの思い通りにならないもの。ここから始まるのですが、このことを理解していない。やってない。
 それは戦略を戦術に、戦術を戦略と取り違えているから発生するのです。

 この2点、すなわち戦略と戦術の違いを理解し、行動していただく。これ以外にないのです。これ以外にないのに、これ以外の対策をされてもうまくいかない。当然です。