瀬戸内寂聴さん、99歳で亡くなる。
テレビや新聞でいくつかの特集が組まれている。
小説「夏の終わり」から半世紀、50年以上が経っている。
本人の体験をもとにした小説といわれている。
男女の不倫のドロドロした関係が描かれているが、花冷えやみれん、しだれ桜、静謐な季節の描写のなかで、淡々として物語が進む。そこには社会の規範や道徳から外れる、私たちが到底理解しえないものがある。ある面、女性としての自立へのすさまじいエネルギーが発露しているのではないか。そうした葛藤から出家へと向かったのではないかと思う。
宗教としての仏教は人類の長い生活の中で、人間の生老病死や葛藤に寄り添ってその解決方向を模索してきたのでは。
まさに寂聴さんは「菩薩道」そのものを歩んできたのだと思う。
そして先の大戦を経験している。
日本約310万人、アジア2000万人、世界8000万人とも。
途方もない死者を出した第二次世界大戦。
戦争は自然災害ではなく、人災であり、人類の病だ。
その体験者も次々と亡くなっていく。
日本国憲法9条の大切さを訴えていた「9条の会」の方々も亡くなっていく。
瀬戸内寂聴さんもその一人であった。99歳。
今の自公政権には戦争体験者はいない。
戦争を「軍事プレゼンス」など大国などとの「パワーバランス論」を正面に、軍事力強化こそ平和の道だと思っている。
岸田首相は「敵基地攻撃能力」を繰り返し主張している。
安倍首相以来、どれだけ憲法違反を重ねてきたのか。
憲法9条による「外交」には、まったく考えが及ばない政治家が政権を牛耳っている。それもアメリカ言いなりの「外交」だ。
瀬戸内寂聴さんの「戦争は絶対にダメ」という思いを私たちは引き継がなければならない。
日本人が体験した戦禍のなかの「菩薩道」はごめんだ。