呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

神奈川フィル 特別演奏会 「第九」

2006-12-27 | コンサート・LIVE・演劇などの話

♪良かった! オケも合唱もBravo~!!

冬の嵐の中、びしょ濡れになりながら神奈川県民ホールに駆け込んだ。
席に着いたときにはオケのチューニングが終わり
ピアノのソリストや指揮者が登場する直前だった。

呼吸を整える間もなく1曲目の「合唱幻想曲」が始まった。
この曲を聴くのは、昨年に引き続き2度目。(尤も歌う予定だったのでCDを買ったが)
なんで神奈川フィルは(マエストロは)、「第九」とこの曲を組合せるんだろう。
確かに「第九」の先駆的曲ではあるが、はっきり言って全然いいと思えない。
今回の演奏は、ピアノソリストの「唸り」が大き過ぎて、気になった。

さて、漸く退屈な(失礼!)合唱幻想曲が終わり、15分の休憩後いよいよ「第九」だ!
もうワクワクだ!もうすぐ聴けるぞ!!
チューニングが終わり、マエストロ現田が入場してきた。
ひな壇に合唱団はまだいない。どうやら3楽章前の入場のようだ。

一瞬の静寂の後、マエストロのタクトが振り下ろされ、第1楽章が始まった。
子供の頃から音楽で稼いで家計を支えたり、20代で既に耳が不自由になったり
傍若無人の変わり者で友人も少なく・・・。決して幸福な人生とは言えなかったらしい。
そんなベートーヴェンの苦悩が伝わってくるような第1楽章の主題だ。
エネルギッシュでスピード感溢れるパッセージが続く。
コンマス石田は、もう最初から絶好調で飛ばしている。
大きく開いた足(彼のトレードマーク?)、思わず左足が浮き上がる!
そして時に大きくのけ反って・・・、思わず「のだめ」のR☆Sオケのように
ヴァイオリンを垂直に立てるのかと、ハラハラした。
いいぞ、いいぞ、石田!第1楽章から全開だぁ~!

ティンパニの轟きで始まる第2楽章。
苦悩まみれの中でも、何とか前に前に突き進もうとしているベートーヴェン。
その直向さが、ズンズンと聴衆に響いてくる。
マエストロは、時に激しく時に穏やかに、ベートーヴェンの人生を再現して行く。
そしてつかの間の安らぎの第3楽章。
ベトヴェンだって、夢を見ることがあるんだ!
愛する人に抱かれて心穏やかに過ごす夢?それとも若き日に逝った母の思い出?
この第3楽章を退屈だと言う人がいる。
信じられん!聴いていて、胸がいっぱいになり涙が滲んで来る。

いよいよ第4楽章だ。
「諸君、これから始まる歓喜の歌を聴いてくれ!」と低音弦楽が叫ぶ。
その後、弦楽器から金管を含めた全体合奏に繋がる「歓喜の調べ」へと進む。
弦楽合奏と、その裏で二重奏でファゴットが奏でるオブリガートが美しい。
そしてついにバリトンソロと合唱団が立ち上がり「歓喜の歌」が始まる!
バリトンさん、朗々としたいい声だ。
合唱団、なんと堂々としていることか!素晴らしい!!
マエストロに導かれ、オーケストラとソリストと合唱は一体となってフィナーレまで突き進む。

『お互いに抱き合うのだ、兄弟よ。全世界の人々とくちづけを交し合うのだ!
喜び、それは神が発する美しい火花だぁ~~!!』

とてもいい「第九」だった。
ホールから出てきた観客は口々に賞賛の感想を述べ合う。
時ならぬ暴風雨もあってか、満席とはいかなかったが
聴衆の拍手が、とても暖かくフレンドリーに感じられた。
最後にマエストロが観客席に向かって手を振った。どっと受けた。
やっぱり神奈川フィルは、おらが街のオーケストラだ。


【合唱について】
とても素晴らしい合唱だった。
手前味噌ではなく、贔屓でもなく、とても良かった!
特にソプラノは神々しく、かつ清々と歌い切った。
後半は若干勢いが落ちたものの、高音部もかなりのレベルをキープしていた。
アルトしっかり歌い、女性のアンサンブルはきっちりまとまっている。

男性合唱も素晴らしかったが、やはり若干ボリューム感に欠ける。
自分が途中リタイアしておいて言うのもなんだが、あと10名は欲しい。
今回も数人の「音大トラさん」が参加していたようだ。
それでも弱く感じるとすれば、ある程度の若返りと団員増強が必要だ。
ボリューム感が足りないと、どうしても一人一人が頑張ってしまう。
それがアンサンブルの乱れに繋がるところも・・・。
せっかくのハイレベルの合唱団なので、とても惜しい。
観客席で聴くと、いろいろ分かるね。
それにつけても、ゴメンナサイ・・・。
(まあ父さん一人が居てもいなくても、大勢に影響はないんだけどね・・・)

コメント (4)
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