ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.1.24 保湿ケアに思うこと

2019-01-24 20:56:32 | 日記

 朝日新聞「天声人語」の最新記事が目に留まった。以下、転載させて頂く。

※   ※   ※(転載開始)

(天声人語)ゾウのスキンケア 2019年1月24日05時00分
この冬は乾燥がこたえる。肌で感じるカサカサ度は例年の比ではない。保湿剤や加湿器ではとても追いつかないほどだ。潤いが足りないのは人間だけかと思いきや、この時期、動物たちもかなり困っているらしい▼東京の上野動物園で聞くと、アジアゾウは4頭とも冬の間、保湿処置が欠かせない。飼育係の志田昌信さん(31)は「今年はたしかに乾燥が目立ちます。放っておくとあかぎれやひび割れを起こし、表皮から出血します」。意外な繊細さである▼特に弱いのは、ほお、耳、爪、わき腹、しっぽの先あたり。飼育係は初冬から春先まで毎週、たっぷりのオリーブオイルを刷毛(はけ)で塗る。なめても害はなく、塗るたびくすぐったそうなそぶりを見せる。目のまわりなど塗った跡がくっきり黒ずみ、パンダのようだ。三十数年前から続く冬恒例のお手入れである▼高温多湿の森や密林からやって来た動物たちゆえ、厳しい日本の冬の乾燥になかなか対応できない。ほかに西アフリカが生息地のコビトカバも、頭から足先まで全身にオリーブオイルを塗るそうだ▼さて、この冬は太平洋側で雨が極端に少ない。東海や近畿では河川に「瀬切れ」が起きている。水が干上がり、流れが途切れてしまう現象だ。アユなどの遡上(そじょう)に影響が出ないか、漁業関係者は気をもむ▼大地ですら水分を失い、「乾燥肌」状態を呈するとは、乾きもいよいよ深刻である。やわな人類の一員としては朝晩、クリームやオイルでこまめに自衛するほかないだろう。

(転載終了)※   ※   ※

 あの硬そうな皮膚を持つ象さんがこんなに繊細だったとは。あの硬質な皮膚にあかぎれ、ひび割れを起こして血が滲む・・・。どれほど痛いことか、と思う。動物たちは痛みを言葉で訴えることが出来ないから、余計気の毒だ。オリーブオイルを塗ってもらうときにくすぐったそうなそぶりを見せる-想像するになんてキュート!と一人で和んでしまった。

 さて、自身のこと。分子標的薬ハーセプチン治療を始めて10年半。その他にもタイケルブ等の分子標的薬や、各種抗がん剤により皮膚や粘膜などがすっかり弱くなっている。もちろん寄る年波もあるのだろうけれど、四季を通じて保湿が欠かせない。
 特に今のシーズンはちょっと油断すると、あっという間に手先が切れてくる。ゼローダを中止して2ヶ月半が過ぎ、手先や足先を見る度に落ち込んでいた黒ずんだ色素沈着は大分落ち着いてきた。おかげさまで、かつての皮膚の色に戻りつつある。これについては言われたとおり可逆性だったのだな、とほっとしている。

 一方、弱くなった皮膚はそうそう元には戻らない。乾燥した状態で仕事をしていると、いとも簡単に手先を紙で切る。これは侮れない痛さ。ヒルドイドローションやらワセリンやら、シャワーや入浴の後、手洗いの度に塗りたくって、相変わらず手袋でガードしている。そんなわけで、今のところ肌のトラブルはそれほど酷くなっていない。

 結局のところ、こまめなケアに勝るものはない。自分の身体をよく観察し、自分の身体を労わること。元気なときにはなかなか気が回らないし、母業をしていると自分のことはどうしても後回しになる。その結果、後で痛い目に遭うことに。自業自得というものだ。

 息子も来週には23歳の誕生日を迎える。ようやく子育ても終わりが見えてきそうな気配だ。どんなことであれ、今からでは遅いことはない。ただでさえ、加齢により皮膚だけでなく、もろもろ弱点が目立ってくるお年頃だ。それに加えて抗がん剤治療の各種ダメージを、誰のものでもないこの身体が受け止めてくれている。そのダメージを少しでも小さくしてあげられるように、少しでも長持ちさせてあげられるように、自分の身体をいとおしみたい。  
 さて、今日もきちんとケアしてから休もう、と思う夜である。

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