ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.1.30 採血後腫瘍内科診察、ハーセプチン207回目(3倍量再開18回目)マーカー上昇

2019-01-30 23:00:07 | 治療日記

 昨日は仕事を終え、いったん帰宅。簡単に夕食の支度をして夫の帰りを待ち、夕食を済ませてから病院最寄り駅に近いホテルに向かった。それにしても寒い。

 行きの車内で朱野帰子さんの「わたし、定時で帰ります」(新潮文庫)を読み始めた。タイトルだけ見て、これは面白そうと手に取ったのだが、間違いなかった。出だしから面白い。あっという間に引き込まれた。後から帯を見ると、春からのTVドラマ化が決まっているらしい。主人公は32歳、新卒でIT系企業に入社して十年だ。中堅としてキッチリ仕事をこなしつつ、定時で帰るのがポリシー。皆勤賞女、ブラック上司、ゆとり新人、Mr.非効率、元婚約者それぞれに絡んだ5編から成るが、いやはや今どきのリアルな描写、あるある感満載。
 書評家の吉田伸子さんが解説を書いておられるが、“残業は当たり前と思うこと自体、ちょっとおかしいこと。本書は全ての働く人にとって、お守りのような一冊である。”には膝を打ちたくなった。わが身を振り返れば、原則残業はしない、時間内に片付ける、とこれまで30数年間を過ごしてきた。もちろん部下を持つ身になり、一人だけ帰るわけにはいかないこともあり、子育て中には帳尻合わせの休日出勤等々、やむにやまれぬ時はあったけれど・・・。全部読んでしまうのはもったいなくて、残り2編は明日の待ち時間用にとっておくことにした。ゆっくり入浴していつもより少し早めに眠りにつくことが出来た。

 加湿器の音が気になって何度かお手洗いに起きる。モーニングコールが鳴る前に目が覚める。息子に“誕生日おめでとう”のLINEや週末の事務連絡を入れる。夫も既に起きており、“あの日も寒かった。お母さんのお腹の居心地がよかったとみえて、なかなか出てこなかったね”などと打っている。念のため電話。
 身支度を整えてレストランへ。焼きたてデニッシュや野菜スープでお腹を満たし、部屋に戻って新聞を読み、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。いざ、病院へ向かった。

 今日もいいお天気だが、昨日よりは北風が強くない。予想最高気温は10度。今月2回目の通院である。
 到着すると、IDカードの3台中2台が調整中で長蛇の列だ。ようやく受付を済ませ、採血へ。月末だが、とても混んでいる。20人ほど待っていて待ち時間は12分と出ている。コートやストール等一式をエコバッグに詰め、飲み物を調達しに行っても十分時間があった。予想通り15分ほど待ったところで順番が来る。2度ほどお世話になった女性技師さん。1回目は血液が漏れ、2回目はとても痛かったのでちょっと身構えたが、杞憂だった。今日は全く痛まずラッキー。お礼を言って止血したまま向かいの腫瘍内科へ移動する。
 今日も早くも待合椅子にはたくさんの患者さんが待っている。席について読書の続き。今日は採血結果が出るまでに1時間は待つ筈と落ち着いて読み進める。小一時間すると中待合へどうぞの電子掲示板に番号が出たので、ちょっと慌てて血圧測定。115-74、脈拍は81。

 昨日のお仕事小説を読み終わり、2冊目は朝井リョウさんの「世にも奇妙な君物語」(講談社文庫)。
 帯には「とにかくオチがすごい!あの「世にも奇妙な物語」を直木賞作家が書いたら・・・やっぱり、めっちゃめちゃ面白い!ラストは本当にヤラれます。ニヤッとゾワーっとする超絶品ミステリー集!※後ろから読むの禁止」とある。何を隠そう私もあの番組は欠かさず、とまでは言えないけれど結構昔から好きである。番組と同様5話から構成されている。ミステリー書評家の村上貴史さんも「世界の異様さ、息苦しさで読むものの心をとらえ、先の読めない展開でページをめくらせ、その展開について終盤で「なるほど」と納得させる。実に鮮やかで巧妙な読者コントロールだ。そして、それだけでは終わらせない。最後にもう一味。いやはや、恐れ入った。やるせない衝撃に圧倒される。」とあるが、第一話のっけから、衝撃のラスト・・・であった。

 中待合で待つことこれまた1時間。それでも本が面白いので、全く苦にならない。先生から呼んで頂いたのは病院到着から優に2時間を過ぎていた。
 「さて、3週間いかがお過ごしで?」と訊かれ、「19日あたりから胸痛が出て、息苦しさ、空咳等もあり、朝昼晩のロキソニンで足りず、コデインを1,2回飲んだ日が1週間ほどありました。朝が結構辛く、家でゴロゴロしている分にはなんとかなるのですが、仕事となるとなかなか・・・。大分落ち着いてきて、昨日は久しぶりにロキソニンを朝だけでなんとかやり過ごせました。」と言うと、「それは仕事に行きたくないということですかねえ」と茶化される。いやいや、仕事に行きたくなければとっくに退職しているわけで。先生、イケズである。

 「それで、マーカーが上がっているのですよ」と。予想通りである。果たして、と思うと前回比2割増(帰宅して確認すると2008年11月にタキソテール開始に踏み切った時よりも高い数値である。アチャー。)。まあ12月の採血から7週間経っているので、対数グラフにすればそれほど急増ではないけれど、7月から上昇傾向は間違いない。「痛みが出ているわけですし、CTを前倒しで撮りましょう。先延ばしせずに。」と仰る。「はい、そう仰ると思っていました・・・」と応じ、手帳をチェックして2週間後に予約を入れて頂いた。次回3週間後に結果を聞いて治療変更するか判断するということだ。「変更となると即次回3週間後から治療変更になりますか」と問うと、「何をするかによりますね」とのこと。

 これまでの話ではハラヴェンもしくはパージェタ+タキサンということだったが、今日は思いもかけなかった新しい提案があった。というのもホルモン陽性、HER2陰性の患者さんに画期的な効果があるという新薬(分子標的薬)イブランスの名前が出たのだ。「HER2陽性の患者さんは基本ハーセプチンが入るので成り立たなくなるのですが、ハーセプチンを休んでイブランスに行くという選択肢もあります。HER2陽性の患者さんで効く、という結果は出ていないが、ダメという理由もない。」と仰るのだ。
 「私はHER2陰性の患者さん用で、自分には関係ないと思っていました。」とびっくり。内服薬だから、うまくいけば点滴薬の2つの選択肢より負担は軽くなりそうだ。「ただ、白血球が下がるんですよ」と。まあ、これまでも抗がん剤治療では白血球はいつも下がっているので、減量したり期間を調整したり、エコモードに治療してきたわけだから、それは覚悟の上である。

 その場では結論は出なかった。まずはCTの結果次第ということになる。
 そして最近心エコーも行っていないので、とこちらも予約が入った。望むべくは3週間後の診察前に受けられればベストだったが、もう予約が空いていないということで6週間後になった。午前だけというのでCT撮影の午後にセットというわけにいかず、致し方ない。

 いずれにせよ今日は治療続行で、3週間分のアリミデックス、1日3回3週間分のロキソニンが処方された。「今のところ胃は大丈夫ですが、このまま3度3度ロキソニンを飲んで大丈夫ですか。」と問うと、「問題ありませんが、それでは少量、朝だけ胃薬を出しておきますか」とタケプロンが処方された。ご挨拶する前に「もう1年になりますが、相変わらずグラグラと浮いており剥がれそうで剥がれません。」と、足の親指の爪の様子も視て頂いて診察室を後にした。

 化学療法室に入ると、看護師さんたちが忙しなく動き回っている。カーテンはどこも閉まっており、混雑している模様。呼ばれるのを待ちながら夫やお友達に報告LINE。15分ほどして看護助手さんから「リクライニング椅子が一杯で、ひとまず普通の椅子にご案内して、お隣が空いた段階で席を移ります。」と古い固定椅子に案内される。
 お洗いを済ませ態勢を整えて、読書を続ける。30分ほどして「それでは」とお隣のリクライニング椅子に移動。内側の並びで外は見えない。
 10分もしないでOkさんが針刺しに見える。今日はラッキーだ。早業で「痛い!」と思う間もなくもうシッカと針が入っている。お見事である。すぐに薬を準備して待機していたMさんが点滴をセット。

 ハーセプチンと生理食塩水で1時間半弱。イブランスのパンフレットを頂き、一読した後は、スマホで検索してにわか勉強。お友達とのLINEも忙しく、本も読みながらあっという間である。終了間近にKwさんが見えて血圧を測って頂く。114-69、脈拍は68。
 抜針もKwさん。それなりに衝撃もあったが、無事終了。息子さんがセンター試験を終え、受験真っ最中だそうだ。受験生がいると大変ですね、と声をかけてご挨拶して部屋を出た。

 総合受付で会計。とても混雑している。30分ほど待ってようやく番号が出て支払機にIDカードを通し、採血と点滴の3割負担の3万4千円ほどカードで支払う。病院滞在時間は5時間強。
 外は風がないので、思いのほか寒さを感じない。薬局もそこそこ混んでいたが、40分ほどで済んだ。アリミデックスとロキソニン、タケプロン21日分で4,000円弱をカード払い。薬剤師さんに「こちらにお世話になってもう11年になりました。よく保っています。」と言うと、ぶ厚くなった私のファイルを手に「まだまだ頑張りましょう。」と言って頂く。有難いことである。ご挨拶して薬局を後にした。

 病院と薬局の合計滞在時間は6時間ほど。まだそれほど空腹を感じていなかったので、そのままJRに乗って途中駅で下車して、ランチ。ゆっくりたっぷり頂き、本も読み終わった。

 夫が宴会で夕食は不要というので、いつものように乗換駅のスーパーでお弁当を買うことはせず、最寄駅に到着。疲れていたのでタクシー乗り場にご贔屓のタクシー会社を見つけ、そのまま乗って帰宅した。
 生協から配達された食品を運び入れ、一通り収納を済ませる。洗濯物が溜まっていたので洗濯機も廻す。干し終わって、リビングでビデオを見ながらちょっとウトウト。一人適当に冷凍食品の夕飯を済ませた。
 明後日はまた関西だ。今日も早めに休むことにしよう。
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