生き生き箕面通信

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2280 ・「八紘一宇」を聞き流す空気と、日中韓首脳会議

2015-03-22 10:02:04 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信2280(150322)をお届けします。

・「八紘一宇」を聞き流す空気と、日中韓首脳会議

 日中韓外相会議が昨日3月21日、ソウルで開かれ、共同報道発表文が公表されました。これを伝えた本日22日の新聞は、読売の見出しが「日中韓『首脳会談早期に』」、朝日は「中国、歴史問題で日本牽制」でした。

 読売新聞は安倍政権の代弁拡声器ですから、安倍首相が主張している「歴史問題などで合意すべきの条件をつけずに、無条件で会談を開こうではないか」という意向を受けた見出しです。朝日は従来から中国寄りとみなされてきましたが、それをうかがわせるかのように、中国の主張を見出しに取りました。

 肝心なことは、日本人自身の意志ではないでしょうか。日本人自身が、先の大戦の歴史をしっかりととらえ、反省すべきは反省し、その総括の上に立ってこれからの未来をどう展望しようとしてるのか。日本人自身が肝心のその点をあいまいのままに放置しているため、いまだに論議が深まらないといえます。

 「主権在民、民主主義、平和主義、国連中心主義」は、日本人が戦後受け継いできた貴重な財産とされてきました。ところがいま振り返ってみると、それらがいかに脆(もろ)いものであり、ふわふわした”借り物”だったかが明らかになってきています。

 その端的な例が、国会での審議です。民意を無視して進める原発再稼働。シロアリ退治はもちろん官僚天国へのメスを入れることなく実施した消費税増税、さらには閣議決定というお手軽な手続きで憲法9条を無効化し、平和国家を壊す集団的自衛権行使容認、多くの反対を押し切って施行した特定秘密保護法、沖縄の県民の意向を押しつぶして強行する辺野古米軍基地の建設などなど。これらの諸問題について国会審議は充分な機能を果し得ませんでした。

 巨大与党の自民党をバックに、安倍政権は独裁色を強めています。その政治は、「戦後レジームからの脱却」「日本を取り戻す」を合言葉に、戦前回帰的な色合いを強めています。

 ついには、「八紘一宇」まで持ち出される異様な様相をみせる事態にまで至りました。今月16日の参院予算委で、自民党の三原じゅん子議員が、「安倍首相は八紘一宇の理念のもとに、税仕組みの運用法などに関し世界に提案すべきだ」と発言したのです。

 「八紘一宇」とは、日本が中心となりアジアの盟主として諸国を管轄することを正当化するという戦時中の思想です。「世界を日本を中心とした”一つの家”にするという思いあがった発想です。この発想が、日本を誤った道に導いたのでした。戦後はその反省の上に現在の平和を築いてきました。

 恐ろしいのは、この三原議員の発言に対し、国会ではほとんど何の問題視もされていないことです。三原議員の発言を、共産党も社民党もただ黙って見過ごしました。本当に何の疑義も示しませんでした。

 新聞もテレビも、ほとんど問題視しませんでした。パスです。まさか、「八紘一宇」の意味がピンと来なかった。消化不良で対応しようがなかった?

 この「八紘一宇」の言葉に代表されるように、ほとんど過去は「忘れる彼方の世界」に押しやられて、教訓が生きていません。

 日中韓の友好を取り戻し、首脳会談を実現するには、日本人自身が再度の戦中、戦後の総括から始めるほかないと言えそうです。