生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

2146 ・川内原発再稼働に対し、朝日の社説は「否定的」、読売は「全面肯定」

2014-11-08 08:56:49 | 政治

お早うございます。
生き生き箕面通信2146(141108)をお届けします。

・川内原発再稼働に対し、朝日の社説は「否定的」、読売は「全面肯定」

 川内原発再稼働を地元の鹿児島県知事が受け入れたことで、地元同意の手続きが終わったことになり、年明けには原発が再開される見通しが強くなりました。

 東京電力の福島原発であれだけの事故を起こしながら、再稼働を急ぐ。「何という間抜けな国なのか。日本という国は何を考えているんだ」というのが、海外での多くの印象でしょう。

 この再稼働を、日本の新聞はどう論じたか。

 本日11月8日の読売新聞の社説は、「地元同意得るモデルにしたい」という見出し。朝日は「『ひな型』にはなり得ない」を見出しに立てました。原発に関する限り、両紙の論調は真っ二つに割れています。

 読売はのっけから、「他の原発の再稼働を円滑に進めるモデルとしたい」と書き出しました。政府のコメントと瓜二つです。

 地元同意についても、「伊藤(鹿児島県)知事の速やかな決断によって、年明けにも再稼働が実現する道筋がついた意義は大きい」と、手放しのよいしょです。半径30キロ圏内に8市町があり、国は避難計画づくりを義務づけていますが、この伊藤という知事は「原発が立地する薩摩川内市と鹿児島県だけの同意でいい」と、勝手に決めたものです。読売は、充分な地元同意がなくても、「再稼働の形だけ整えばいい」という、再稼働催促丸出しです。

 朝日の本日の紙面は、一面の解説で、「新しい規制基準で審査は進むが、これは『車検』のようなものだ。古い車の車検をいくらきびしくしても、設計から安全性を高めた最新型にはならない」と、川内原発の安全性に根本的な疑問を呈しています。

 さらに、原子力規制委が「100%安全とは言わない」としている点にも触れ、「『日本の原発は世界一安全になった』とはいえない」と、原発全体の安全性に疑問を呈しています。

 朝日の社説は、「住民の安全は不充分」という小見出しで、「原発の過酷事故に対する備えが不十分なまま再稼働に進んでいる」と指摘。不充分な問題点の筆頭が、「まず、避難計画だ」と、避難に必要なバスの確保や渋滞対策に見通しがつけられていない、と明らかにしました。

 なによりも、住民の素朴な不安が解消されていない点や、住民からの提案をすくい取る姿勢に欠ける点も明確にしました。

 「国が責任を持つ」と繰り返している点についても、いったん過酷事故が起きてしまえば、国の責任では対応しきれない打撃を受け、その影響は少なくとも数十年に及ぶ。そんな現実に目をつぶった責任論は空論だろう」と、切って捨てました。

 「使用済み核燃料の貯蔵や放射性廃棄物の処分など、地域と全体が対立しかねない問題が山積している」と、原発再稼働は積み残した問題が山積みになっていると強調しています。

 片や政府の御先棒をかつぐ読売の”おべんちゃら社説”。それに対し朝日の社説は、少なくとも住民の側に立った社説と言えます。

 残念なのは、この対立する二つの新聞を同時に購読している読者は、きわめて稀だということです。読み比べがほとんどされないという現実。そうした中で、日本の「世論」なるものが形成されています。日本の世論というものは、それが形成される土台が弱く、きわめていびつな傾向を帯びがちになっています。

 


2146 ・川内原発再稼働に対し、朝日の社説は「否定的」、読売は「全面肯定」

2014-11-08 08:50:13 | 政治

お早うございます。
生き生き箕面通信2146(141108)をお届けします。

・川内原発再稼働に対し、朝日の社説は「否定的」、読売は「全面肯定」

 川内原発再稼働を地元の鹿児島県知事が受け入れたことで、地元同意の手続きが終わったことになり、年明けには原発が再開される見通しが強くなりました。

 東京電力の福島原発であれだけの事故を起こしながら、再稼働を急ぐ。「何という間抜けな国なのか。日本という国は何を考えているんだ」というのが、海外での多くの印象でしょう。

 この再稼働を、日本の新聞はどう論じたか。

 本日11月8日の読売新聞の社説は、「地元同意得るモデルにしたい」という見出し。朝日は「『ひな型』にはなり得ない」を見出しに立てました。原発に関する限り、両紙の論調は真っ二つに割れています。

 読売はのっけから、「他の原発の再稼働を円滑に進めるモデルとしたい」と書き出しました。政府のコメントと瓜二つです。

 地元同意についても、「伊藤(鹿児島県)知事の速やかな決断によって、年明けにも再稼働が実現する道筋がついた意義は大きい」と、手放しのよいしょです。半径30キロ圏内に8市町があり、国は避難計画づくりを義務づけていますが、この伊藤という知事は「原発が立地する薩摩川内市と鹿児島県だけの同意でいい」と、勝手に決めたものです。読売は、充分な地元同意がなくても、「再稼働の形だけ整えばいい」という、再稼働催促丸出しです。

 朝日の本日の紙面は、一面の解説で、「新しい規制基準で審査は進むが、これは『車検』のようなものだ。古い車の車検をいくらきびしくしても、設計から安全性を高めた最新型にはならない」と、川内原発の安全性に根本的な疑問を呈しています。

 さらに、原子力規制委が「100%安全とは言わない」としている点にも触れ、「『日本の原発は世界一安全になった』とはいえない」と、原発全体の安全性に疑問を呈しています。

 朝日の社説は、「住民の安全は不充分」という小見出しで、「原発の過酷事故に対する備えが不十分なまま再稼働に進んでいる」と指摘。不充分な問題点の筆頭が、「まず、避難計画だ」と、避難に必要なバスの確保や渋滞対策に見通しがつけられていない、と明らかにしました。

 なによりも、住民の素朴な不安が解消されていない点や、住民からの提案をすくい取る姿勢に欠ける点も明確にしました。

 「国が責任を持つ」と繰り返している点についても、いったん過酷事故が起きてしまえば、国の責任では対応しきれない打撃を受け、その影響は少なくとも数十年に及ぶ。そんな現実に目をつぶった責任論は空論だろう」と、切って捨てました。

 「使用済み核燃料の貯蔵や放射性廃棄物の処分など、地域と全体が対立しかねない問題が山積している」と、原発再稼働は積み残した問題が山積みになっていると強調しています。

 片や政府の御先棒をかつぐ読売の”おべんちゃら社説”。それに対し朝日の社説は、少なくとも住民の側に立った社説と言えます。

 残念なのは、この対立する二つの新聞を同時に購読している読者は、きわめて稀だということです。読み比べがほとんどされないという現実。そうした中で、日本の「世論」なるものが形成されています。日本の世論というものは、それが形成される土台が弱く、きわめていびつな傾向を帯びがちです。