おはようございます。
生き生き箕面通信2160(141122)をお届けします。
・「ドアホノミクス」が選挙の争点――安倍という男の政権を退陣へ
安倍という男が記者会見で、「今回選挙の争点はアベノミクスだ」と述べました。「デフレからの脱却に成功した成果を問う」のだそうです。
浜矩子・同志社大大学院教授は、「アベノミクスは、実際はアホノミクスだと思っていた。しかし、本当はそれに『ど』がつくドアホノミクスだ」と、切って捨てました。1年前の講演内容です。
講演から1年後のいま、その内容を検証してみると、1年前に批判していたことがまさしく正鵠(せいこく)を得ていたとうなづかざるを得ません。
浜教授は、まず「アベノミクスの最大の問題は、基本的に人間不在の政策体系であるという点です」と、指摘しました。アベノミクスはそもそも「人間不在」だというのです。
経済活動とは本来、人間のためのものです。ところが、アベノミクスという政策体系は、デフレからの脱却という旗印のもとに企業利益の最大化が優先され、「たとえば、非正規労働者の劣悪な雇用・労働条件や、正規労働者が『ブラック企業』に酷使されるという状況があります」と指摘しています。
浜さんが強調する通り、「本来、『ブラック』であるものは企業であることを許されない。『ブラック』な活動というのは、経済活動ではないと認識すべきだ」と話しています。
黒田バズーカなどと表現される、ジャブジャブとおカネをばらまく政策によって、大企業はうるおい、株高によって富める人はより豊かになる。格差は広がるばかり。
安倍という男の演説の中には、「格差」や「貧困」「非正規雇用」という言葉はほとんど出てきません。安倍演説を注意して聞いてご自分で確かめてください。
出てくるのは、せいぜい「アベノミクスの恩恵が全国津々浦々にまで広がるようにする」という程度で、それも「恩恵を恵んでやるのだ」と言わんばかりの、上から目線です。アベノミクスには、人間の姿が見えません
浜さんは、こう続けます。「人間に目が向いている経済政策の体系であれば、一番焦点となるべき問題は『豊かさの中の貧困問題』です。日本は世界トップクラスの豊かな経済社会を持っているのに貧困問題が深刻であるという現実がもっとも大きな問題なのです」と。
国際比較すると、日本の相対貧困率は16%。デンマークは5.2%。GDPで遥かに大きく豊かに見える日本は、デンマークの3倍の貧困率です。まさしく「豊かさの中の貧困」です。豊かさがある一部の人間に偏り、多くの人が貧困にあえいでいるのです。「全世帯の16%の人々が貧困生活を強いられている状況の中で、デフレ脱却などできるはずはありません」と断言しています。
「いま日本が抱えているデフレ問題は、成長力の不足が原因ではありません。分配がきちんとできていないことが問題なのです。この16%の貧困の中にいる人々がまともな生活をできるようになってこそ、初めてデフレから脱却することが可能になります。逆にいたずらに経済成長を追求すればするほど、成長の成果を上げるために非正規雇用の人達がさらに人間らしく扱われない状態が出てきてしまいます」とも。
そして、安倍という男の危険性については、次のように警鐘を鳴らしています。安倍氏の演説の中で頻繁に繰り返される「世界」という文言。
「再び日本が世界をリードするときが来た」「再び日本が世界の中心に躍り出ることができる」「世界最高水準をめざす日本」「世界一企業が活動しやすい日本をめざす」「世界大競争の中に出て行く日本」「世界で勝つ日本」、ついには「世界を席巻する日本」という言葉まで登場する始末。
こういう言葉を見ていると、要するに安倍政権の成長戦略とはすなわち「世界制覇戦略」であるということが分かります。そして、アベノミクスで富国して、憲法改正で強兵するという富国強兵というわけです。この富国強兵をめざして、安倍政権は進もうとしている。これが安倍政権の根源的なスタンスなのです。
さらに、アベノミクスは、「ドーピングの経済学」「ドーピング大作戦」という感じだと表現しています。「東京オリンピックも含めて次々と得体の知れない薬物を日本経済に注入し、それによって非常に速成的かつ短期的、刹那的に人工的な筋肉増強効果を引っ張り出して、それで日本経済の本来の姿には不似合いなスピードで突っ走らせる」
「そもそも『アベノミクス』という言葉自体が最初の薬物で、『3本の矢』や『異次元金融緩和』が続き、『国家戦略特区』と来て、そしてついに『アベノリンピック』を最後の薬物に使おうとしている」
「ドーピングを続けていった結末は誰もが知っている通りです。人間なら心身ともに破壊されることになるわけですが、日本経済そのものが破壊されてしまう方向に向かって、アベノミクスは突っ走ってしまっているわけです」
浜教授は、1年前にとっくにアベノミクスの本質的なダメさ加減を喝破していました。私たちは1年遅れになりますが、この総選挙という絶好の機会を活かして、アベノミクスへの判断を示したいものです。