生き生き箕面通信

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2144 ・残された2年を「壮大な実験」の期間とできるか――米大統領選の結果を受けて

2014-11-06 09:57:23 | 政治

お早うございます。
生き生き箕面通信2144(141106)をお届けします。

・残された2年を「壮大な実験」の期間とできるか――米大統領選の結果を受けて

 アメリカの中間選挙の結果は、大統領の民主党と、上下両院議会を抑えた共和党との対立構造が極めて鮮明になりました。オバマ大統領に残された2年の任期は、「レームダック」(死に体)の状態が続くという見方が一般的です。

 つまり、大統領と議会が対立したまま、重要な課題が何も決められず、アメリカ政治は漂流し続けるという見方です。政治改革も、財政改革も、経済改革も、そして社会保障改革や格差解消も、何一つ解決できずストップしたままになるという見方です。

 アメリカ国内の政治が前進できないばかりでなく、世界全体に影響の大きい政治課題も停滞しかねないと懸念されています。

 この困った状況を打開する道が、ひとつだけあります。それは、民主主義の理想の形を実行する道です。この「ねじれ」こそ、民主主義の本領を発揮する好機ととらえ、双方の違いを討論で乗り越え、建設的な結論を導き出す「壮大な実験」です。

 本日のジャーナリズムも、ほとんどが「大統領と議会との建設的な妥協による政治の前進」を強調し、期待を示しています。

 期待は実現できるでしょうか。まず、ムリのようです。まっちょなアメリカ。粘り強く討論するより、「やっちまえ」の気風が先立つお国柄です。

 今回の選挙中も、「オバマ氏を止める強い政治家になる」と”公約”した候補者も多かったようです。共和党のキャンペーンは、「反オバマ」で固まり、それが有権者の支持を得ました。オバマ氏の政策に妥協することは、「オバマの手先」と見られるのです。

 アメリカではかつて奴隷制の存廃をめぐって南北戦争という内戦が闘われました。映画「風と共に去りぬ」で描かれた世界であり、時は日本の明治維新前夜の頃でした。

 この時は、大量の労働者を必要とする工業化が進む北部州と、綿花栽培などに奴隷労働が欠かせない南部州との闘いで、結局、工業化推進州側の勝利となったのは、ご承知の通りです。

 現在の対立は、国民福祉などを充実させようとするオバマケアを推進する民主党側に対し、共和党側は「福祉などに税金を使うな。政府は出来るだけ小さい方がいい」という”ほっといてくれ主義”を主張しています。哲学が異なるため、交わる点が見つけにくい。

 地球規模で見ても、恵まれない国を援助してできるだけ多くの国が自立するようにしようとする国際援助の哲学と、貧しい国は「自分たちで努力して這い上がるべきだ」とする放任主義=市場原理主義との対立があります。

 つまり、助け合いによる平和主義か、自力独立に任せる市場原理主義か、の対立です。

 宇宙船地球号は宇宙の目からみれば、それはそれは小さな豆粒ほどの天体に過ぎない。その小さな船のなかで、人類という獰猛な生物は、殺し合いをしても自分の豊かさを確保しようとする。

 しかし、一方で、言葉と知恵をも兼ね備えた生物でもあります。意見が違うことはあっても、そこを粘り強い努力で、建設的な折り合いをつけ、お互いに生き延びる方策を見つけ出す。そうした試みの歴史も少しは持ち合わせています。

 これからの2年は、あまり期待はできないけれど、努力する以外にない2年です。失敗すれば、人類が破滅するだけです。

 人類という生物は、環境汚染をはじめ、食糧、エネルギー、水資源など待ったなしの課題に直面しています。「壮大な実験」に意欲的な取り組みが始まってほしいものです。