お早うございます。
生き生き箕面通信1924(140330)をお届けします。
・ひたすら「天皇制ニッポン」をめざすアベノポリティクス
経済を成長させようとする「アベノミクス」に対し、安倍流の「この国のかたち」を実現しようと政治課題で暴走を始めたのが「アベノポリティクス」というべきものだそうです。
政治学者の御厨貴・放送大教授が、このアベノポリティクスという語で表現する3本の矢とは、「靖国参拝」「歴史認識」「集団的自衛権」にほかならない、と断言しています。
読売新聞の本日3月30日付け朝刊が一面で、御厨氏の「次の『3本の矢』」という論考を載せています。そのなかで気になったのは、靖国参拝に対する若年層の意識変化です。
御厨氏は、「靖国参拝後も安倍首相の支持率は下がらず、若年層には『なぜ日本の首相が靖国神社を参拝することに、他国がとやかく言うのか』『それは内政干渉だ』とする文脈から、中韓や米国に反発する機運が出てきた」と、見ています。
そうした空気が出てきたのは、「歴史的無知のなせる業ではない。歴史を理解したとしても、彼らは気分として納得できない。始めに『内政干渉』ありきなのだ」と、指摘。
若い人々の中から、「他国にとやかく言わせない」「とやかく言われたくない」という気分がふつふつと湧き上がってきているという見方です。ナショナリズムの着実な台頭といえます。ソチ・オリンピックで、日の丸が揚がると、「ニッポン、ニッポン」コールで、いつの間にかナショナリスト気分に染まっています。
他国の人を「出ていけ」「殺すぞ」と激しい言葉で侮蔑するヘイト・スピーチも、若い人が中心です。先日は、サッカーの応援団が「ジャパニーズ・オンリー」(日本人以外は出ていけ)の横断幕を掲げたことで、無観客試合という前代未聞の処分を受けました。
安倍首相には、「よし、いけるぞ」という自信になっているようです。第二次安倍政権発足にあたっては低姿勢でスタート、「戦後レジームからの脱却」という最もやりたいことを我慢してきましたが、いよいよその封印を解くことにしたようです。その端的な現れが、「靖国参拝」でした。
安倍首相の頭の中に、「主権在民」ではなく、「天皇を戴くみずみずしく美しい国」のイメージであることが明瞭になってきました。平成天皇自身は、現在の主権在民、そして象徴天皇であることに徹しようとしているにもかかわらず、安倍首相は天皇の意向など意に介することなく、「天皇制への移行」をもくろんでいるように見えます。
「アベノポリティクス」はあまり大きくは取り上げられていませんが、着実に日本の姿を変えつつあります。中国や韓国などが批判を強め、アメリカも警戒感を隠さなくなってきたのには理由があります。
私たちが問われているのは、「私たち自身が、どんな国柄を望むのか」であり、そこをじっくり考え見る必要があります。