生き生き箕面通信

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生き生き箕面通信659 ・「アジアの盟主は中国」を日本が演出――日米同盟への幻想を捨てるとき

2010-09-25 07:18:17 | 日記
おはようございます。本日未明、中国船船長は釈放され、すでに中国・福建省に戻りました。しかも賠償を求めています。日本の「粛々外交」の全面敗北でした。
生き生き箕面通信659(100925)をお届けします。

・「アジアの盟主は中国」を日本が演出――日米同盟への幻想を捨てるとき

 レアメタルの輸出を止められ、日本人(フジタ建設社員)が拘束されて、中国のごり押しに慌てふためいた菅首相、仙石官房長、前原外相は一気に腰砕けとなりました。その結果が、日本がお得意の「超法規措置」の発動。何のことはない「白旗掲げて釈放」です。

 背景には、アメリカからの圧力があったと推測できます。アメリカは東シナ海で日中両国がもめることは今の時期、何としても避けたいと考えており、国連総会で訪れた菅首相、前原外相に「いい加減におさめてもらいたい」と圧力がかかったのは間違いありません。アメリカは「尖閣は日本の領土」と”お墨付き”を与える一方、「早急な平和的解決」を強く求めました。

 今回は、あっという間に釈放しましたが、これで一見落着とはいかず、今後も同じようなことが起きる可能性は十分あるので、しっかりした検証が欠かせません。

 まず、日本の危機管理能力です。尖閣諸島周辺では中国との紛争が予想される地域ですから、外務、防衛了承を含め国家安全保障関連部局による日ごろからの対応策が必要でした。さまざまなケースを想定して、それぞれにどう対応するか、しっかりした方針が確立していなければなりませんでした。

 ところが、前原外相が強調したように、「国内法にもとづき粛々と対応する」といい、菅首相も、仙石官房長も「粛々」を繰り返すだけのでくのぼう状態でした。


 「尖閣は日本固有の領土である」ことを、世界に強力にアピールする絶好のチャンスでしたが、それも見逃してしまいました。世界を相手とする外交は、宣伝戦、つまり日本の主張を理解してもらう術がきわめて重要です。ところが、中国が「アジアの盟主は中国」といわんばかりの宣伝をしたのに対し、日本はべんべんと時をすごすばかりでほとんど何もできていません。

 本日の新聞は、「だから、日米同盟の深化が重要だ」と改めて主張しています。アメリカの虎の威を借りて日本の存在を守ろうという虫のいい他人便りの考え方です。本日の新聞は、朝日にしろ、読売にしろ、どこを探しても「日本は日本人の手で守る」という自尊自衛の主張は見当たりません。

 今回明確になったのは、日米安保条約が「張り子の虎」にすぎなかったということです。何の役にも立ちませんでした。中国はやりたい放題でした。もうそろそろ、日米同盟への幻想から脱却しなければ、それこそえらいことになりかねません。

 すでに紛争の海となった南シナ海に続いて、東シナ海も「紛争の海」になったと見るべきです。日本がいくら「粛々」と繰り返しても、相手は全く意に介しないのだから、「粛々」を繰り返すのはおやめになったほうがいい。

 中国は、「力で押せば日本は屈服する」という感触を強くしました。同じケースが起きた場合、日本の国内法で「粛々と裁く」ことはできなくなる前例を作ったのです。

 さらに中国は、日本へ賠償も求めてきました。「尖閣は日本の領土」と主張することすら認めない、許さないという国家としての意志を示しています。

 まだこれからも尾を引きます。日本の自立が試され続けます。私たち国民一人ひとりが、国の安全保障について自分の頭で考えた結論を持つ必要があります。そうでなければ、能力の低い日本外交の道連れにされるだけです。