水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・543」

2015-04-20 19:08:49 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(14)

そんな話をしながら、頭に触れていた指が離れた。
離れた時には頭痛は消えていた。
「頭痛が・・・しない」
「本庄さんは反応が早いようですね」
え?何故?・・・何故こんなに簡単に頭痛が無くなるのだろう?
頭が軽くなっている。

「何故ですか?どうして頭痛がしないのですか?」
院長は少し微笑んだ。
「本庄さんは本当に素直ですね。
まるで子供のようです。
まっすぐ、何故?をぶつけてきますね。
実は・・・私にも本当の事は解らないのです。
ですから、本庄さんのまっすぐには困っています」

素直、などと言われたのは初めてだ。
我が強い、と言われるのは慣れているが・・・
「私、素直じゃなくてワガママです。
周りの事も考えず、自分で勝手に決めて行動してしまいます。
離婚したのも、相手は何も落ち度がないのに私のワガママです。
昔からそうでした。
思いついたら、自分で勝手に決めてしまいます」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・542」

2015-04-19 19:31:18 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(13)

「充分特殊な能力です。
先生は普通の人とは明らかに違います」
院長は静かに話した。
「本条さん、今着ている服、毎日食べているお米、私には作れません。
そういう能力が特殊なら、人間は全て特殊な能力を持っています。
そして、それらの能力はお互い支え合って、社会を作っています」

本庄瞳は少し考えてから言った。
「人は皆、それぞれの能力によって支え合っている・・・
お互いが助け合って生きている、という意味でしょうか?」
「そうです。誰もが普通で、誰もが特殊だといえます。
希少価値などと言うのは無い、と私は思っていますよ。
私は経験上、人の身体や身体に現れる心の動きを勝手に解釈しているだけです。
それは農家の人が経験上、作物の声を聞くのと同じです」

そう言われると、本庄瞳はわからなくなった。
あの御主人様が一日で変わったのは事実だ。
普通の治療者が出来るとは思われない。
それなりの多くの人と会っていた社長だったのだ。
それよりも、何故言い訳のように普通を強調するのだろう?

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・541」

2015-04-18 19:06:17 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(12)

マットに仰向けになり、頭を触られた。
「この頭痛はいつもですか?」
院長は触ってから10秒もしないうちにそう言った。
頭痛はある。
だが、誰にも言ったことはない。
元夫も御主人様でさえ知らない事なのに・・・
「はい。時には痛み止めを飲む時も・・・。
でも、どうして判るのですか?」

院長は少し困った顔をした。
「いえ、そんな気がしただけです」
確信をもって言っていたのに、何故か誤魔化している。
「この頭痛は、何か悪い病気ですか?」
「腫瘍があるとか、血管が詰まっているとかという事は無いでしょう。
肉体的には大丈夫だと思いますよ」

「どうして判るのですか?」
本庄瞳は再び同じ質問をした。
院長はまた少し困った顔をした。
そして、諦めたように言った。
「本庄さん、私は心を読むわけでも身体を透視しているわけでもありません。
氣という見えないモノを扱いますが、それだけです。
極普通の人間で、特殊な能力などありません」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・540」

2015-04-17 19:47:41 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(11)

「ここは調子が悪い人だけが来る治療院ではありません。
元気でも健康でも何の問題がなくても、体験したければ歓迎です。
どんな状態でも自分の意思が加わるなら、何かしら変わるでしょう」
院長はそう言ってくれた。
「もう気功が始まっているのかしら?
私、急に身体が軽くなったような気がします。
自分では重いとは思ってもみなかったのですが」

院長はニッコリ笑った。
「ここに入った時から始まっていますよ。
更にその前、ここに予約をした時から始まっています。
もっと正確にいうなら、本庄さんが来たい、と思った時から」
その言葉は俄かには信じられなかった。
だが、決心してからの気持ちの軽さなどを思い出すと、思い当たることもある。
信じられなかったが、疑う気持ちも無かった。

院長はそんな本庄瞳を見て、
「それでいいのです」と言った。
「何がいいのですか?」
「信じない、疑わない、という状態ですよ。
そして確かめに来たのですから」
その言葉を聞いて、恐怖ではない畏れを感じた。
心を読むわけではないようだが、判ってしまうのだろうか?

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・539」

2015-04-16 19:25:04 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(10)

簡単な記入をして、院長は言った。
「何となく調子が悪い、との事ですが、例えばどのような感じですか?」
最初から調子の悪いところはない。
どんな院長なのか、どんな治療をするのか確かめに来たのだから。
何となく調子が悪い、というのなら他人からは確かめられない。
病院の検査で正常値であっても、本人の主張なら嘘でも通用する。
そう思っていたのだが・・・

この院長に会って、本庄瞳は急に不安になった。
嘘を疑われているわけではない。
あまりに自然体なのだ。
こういう相手に自分が芝居をし続けられるのか自信がなくなった。
一見して自分が敵わぬ相手なら、まだいい。
ところが深いところも浅いところも鋭いところも感じられない。

「すいません。調子はいいです。実は単なる体験をしたかったのです」
本庄瞳は、そう答えた。
急にこの院長と治療法に興味が湧いたのは事実だった。
そして、雇い主の辺見豊から紹介された、と正直に答えた。
そのとたん、身体が軽くなるのを感じた。
自分では調子がいいと思い込んでいたが、軽くなると判る。
重かったことが・・・

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・538」

2015-04-15 19:10:21 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(9)

朝早く出て、治療院の位置を確認して、時間まで気ままに周辺をドライブした。
御主人様が言っていた、日帰り温泉の施設も確認した。
登ったという有名な山は、独特な雰囲気があった。
こういう所を御主人様は巡っていたのだな、と納得した。
自分はハウスキーパーだ。
家を守るのが仕事とはいえ、その主人の健康も大きな管理の一つだ。

予約の時間がきたので、治療院まで戻った。
次は御主人様が急に変わった原因の院長を観察する番だ。
今回の事は、最初から御主人様の様子を調べる為だった。
元気で生き生きとしているのだから、問題はないのだろう、と思う。
それでも一応調べさせていただく。
私はプロのハウスキーパーなのだ。

院長は・・・わからない。
通り一遍に判断するなら、穏やかで特徴が無いように見えるだろう。
だが、本庄瞳は天性ともいえる人への観察眼がある。
裕福な家には、かなり怪しい人達が関係を持ちたがる。
全て良い人を装って近づく。
本性を見抜く観察眼が無ければ、家は守れない。
ところが・・・この院長は・・・

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・537」

2015-04-14 19:23:05 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(8)

最近は帰宅するのも遅くなっている。
それも、くたびれて帰ってくるのではなく、元気に帰ってくる。
会社立ち上げの準備が上手くいっているようだ。
人は生き生きとしていると、見た目も若くなっている。
以前の沈んだ面影は、どこにもなくなっていた。
そんなある日、本庄瞳は思い切って御主人様に訊ねた。

「あの・・・以前旦那様が言っていた治療院を教えて下さい」
「どうかしたのかね」
「旦那様がその治療院から帰ってきてからは、とても元気そうです。
最近、私も更年期なのか、いろいろ不調気味でして。
私も一度、その治療院にお世話になろうかと思っています」
「うん、あそこは、いい、とてもいい」
何故か御主人様は嬉しそうだった。

早速教わった番号で連絡する。
そして、2日後に予約を入れた。
本庄瞳はオートバイであれ車であれ、機械を操るのは得意だ。
この仕事になってからは、幾日も休めないので遠出はしないが、ドライブは好きだ。
だから、その治療院のことよりも、一人でドライブできることが楽しみでもあった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・536」

2015-04-13 19:23:06 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(7)

あの時は何かに迷っていた御主人様だった。
だが、ある治療院から帰ってきた時には別人のように晴れやかだった。
そして、以前のように精力的に行動し始めた。
どうやら、また事業を起こすようだ。
それもすごいと思う。
70歳から会社を創るのだ。

本庄瞳は次第に御主人様を一日で元気にさせた治療院が気になりだした。
ある意味、嫉妬も入っていたかもしれない。
一年もふさぎ込んでいたのに、中々元気にさせる事が出来なかった。
徐々に外に出て、身体を動かすようにはなったが、趣味の域だ。
趣味は個人の内部の活動だ。
それが、会社を創るという社会参加に変わったのだ。
その差は大きい。

会社を創って、活動的になってくれるのは嬉しい。
だが・・・僅か一日で・・・
どうして、そんなに簡単に元気に出来るのか・・・
催眠術、マインドコントロール・・・
いや、そんな風にはみえない。
第一、その治療院に入れ込むとか入り浸るとかはない。
とても、気になる。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・535」

2015-04-12 19:20:57 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(6)

「ありがとう」
御主人様はそう言った。
短い言葉だったが、そこには濃い思いが込められていたと感じた。
感じたとたん、本庄瞳にも電撃が走った。
一瞬にして理解できる。
ありがとう、は言われた側も同時に恩恵を受ける。
言われた側も、ありがとう、なのだ。
言われると、感謝しかない。
思いが込められた「ありがとう」には強い力がある。

その日から、本庄瞳は御主人様を今までと違う意識でみるようになった。
肉体的にも頭脳的、精神的にも10歳以上は若いが、御主人様の年齢は70歳だ。
深い信頼があるが、雇い主と従業員の関係だ。
だが、心の中までは違う。
急に今まで、知らなかった感情が目覚めた。
それは、恋とか愛などという薄く浅い感情ではない。

尊敬、敬愛、信頼、安心、深い優しさ。
それらが魅力となっている。
本庄瞳は30歳で結婚してから、異性を意識することはほとんどなかった。
いや、元夫とさえ、異性を意識していたのだろうか、と疑問になる。
あったとしても、真似事としか思えない。
魅力ある異性など出会った事がない、と振り返る。
尊敬できる異性など知らなかった、と振り返る。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・534」

2015-04-11 19:18:28 | Weblog



カルテ番号 ほ・19(5)

その家は夫婦二人で子供はいなかった。
病弱な奥様だった。
活動的な旦那様だった。
性格は違えど、気持ちの良い人柄の夫婦だった。
出過ぎないように気配りはするが、奥様に代わり、屋敷を守るのが仕事であった。
そんな本庄瞳に厚い信頼を置いて、何かと優しい奥様だった。
恵まれた職場といえた。

その奥様が突然のように逝ってしまった。
活動的だった旦那様は別人のように屋敷に引きこもった。
そして、社長を引退した。
一人になった主人から哀願された。
このままハウスキーパーとして、よろしく頼む、と言われた。
本庄瞳は恩返しを含めて承知した。
この暗い状態を回復するのが、家を守るというプロ意識としてあった。

一年もすると、御主人様は次第に外に出るようになっていった。
やがて、本来の活動的な性格もあってか、軽い山登りに魅かれているようだった。
ある日、帰ってきた御主人様が本庄瞳に訊ねた。
何かに迷っているようだった。
本庄瞳も本来は活動的な性格だ。
考えるより行動して生きてきた。
だから、御主人の性格から、そのように話をした。
生き方は向き不向きとか、相性とかで左右するものと思う。

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