「風間陽水の依頼簿（カルテ）・406」

カルテ番号　は・9（2）

原奈緒子の心が揺らぐ。
そう、例えれば嫉妬に近いような感情だ。
自分が教えてあげたのに・・・
自分だって、深い悩みがあるのに・・・
友人は、私を置いて、どんどん明るく変わっていく。
自分も、そこに行って変わりたい・・・
でも、何故か、中々、切り出せないでいた。
理不尽な感情だということは、もちろん理解している。

ある日、友人との会話の中で、思い切って言ってみた。
「ね、私も行ってみようかな。
私、何だか更年期かもしれないし・・・
香織さんの話だと、よくわからないけど、どうだろう？」
友人は、ぱっと顔を輝かせて言った。
「よかったぁ。
奈緒子さんから勧められて行ったでしょ。
奈緒子さんにも体験して欲しかったけど、何だか生意気みたいで。
ぜひ、ぜひ、体験してみて。
私が説明できないことが、解ると思うから」

たった一言、素直に言えば済むのに。
ウジウジしていた自分がバカみたい。
原奈緒子は、いつものサッパリとした自分に戻れた気がした。
「私ね、香織さんがあまりにイキイキしていて、少しうらやましかったの。
自分で勧めておいて、自分は未体験だったので、行きたかったのに気が引けていたわ。
体験してみなければ、どんな感じなのかわからないけど、早速行ってみるわ」

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）


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