「風間陽水の依頼簿（カルテ）・447」

カルテ番号　ひ・7（8）

何百歳生きようと、常に迷いはある。
それが生きている証拠でもある。
どちらが正解なのか、なんてわからない。
良い道を事前に判断できるようなら、今の世界にはなっていない。
未だ争い、苦しみ、弱者を救えない世界にはなっていない。

どんなエラソウな指導者がいても、天国のような国は未だ存在しない。
だが、地獄のような国、あるいは国と国の争いは山ほどある。
現在も赤ちゃんや病人や子供の上に爆弾を落としている。
現在も子供の足を吹き飛ばす地雷だらけの国が山ほどあるのだ。
そして、双方が正しい道を選んだと主張しているのだ。

そんな事を思いながら、院長は樋口新太郎に答えたのだ。
「ということは、迷いの相談をしても無駄なのですね」
院長は少し考えたようだ。
「正しい道を教わるという意味なら、無駄でしょうね。
でも、迷いから抜け出るという目的なら、一歩踏み出せるでしょう」
なるほど、
相談というのは、そういうことか、と樋口新太郎は頷いた。

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）


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