「風間陽水の依頼簿（カルテ）・554」

カルテ番号　あ・28　７度目（1）

「センセー、お土産～」
愛田恵子がそう言って突然訪ねて来た。
愛田恵子は風間陽水より１２０歳年上の長寿族だ。
発動前は京都伏見の寺田屋で、お登勢という女主人をしていた。
かなり年下の坂本龍馬に秘かに恋心を抱いていた。
その為か、龍馬似には弱いという欠点がある。
前回はそこをつかれて、詐欺にかかりそうになった。

「やぁ愛田さん、最近はメンドウを起こしてない？」
「新米が、何エラソウに言ってるのよ。
メンドウを起こさないような人生、つまらないでしょ」
長寿族という隠れて生きていく立場なのに、愛田恵子は目立つ。
銀座のクラブの名物ママなのだ。
それでも、同じ所に何十年もいるわけにはいかない。

「はい、ハワイのお土産、マカダミアンナッツ」
「これまた、ベタな・・・普通にスーパーでも買えるよ」
「センセー、まだまだ修行が足りないぞ。
そう思っても、最大限の喜びを相手に伝えるものよ。
その気配りが、長寿族の身を守る秘訣。
気持ちの良い対応相手に、疑いは薄まるものよ」
「はいはい」

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）

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