カルテ番号 ら・1（15）
風間陽水は良知和尚を見つめ、静かに話し始めた。
「良知さんが、秘伝の書を話してくれたのです。
私も、通常では話さない、話せない内容を話します。
了解していると思いますが、これから話す内容も秘密となります。
秘密にしているのは、世間に知られると困難が起こるからです。
決して、悪だくみとか違法とかではありません。
また、常識的にはありえないとされます。
実は、私を含め、少し変わった体質の人達がいます。
同じ人間なのですが、特徴が一般的ではないのです。
例えば、高跳びのオリンピック選手が2メートルを飛びます。
金メダリストは、2メートル50センチ飛びます。
もちろん普通の人では、どうしても飛べません。
それでも同じ人間です。
そこに、10メートル飛ぶ人が現れたら、どうなるでしょう？
生まれつき、飛ぶことに優れていたのです。
練習で飛べるようになったのではありません。
すると、あまりに違うので、同じ人間とみてくれません。
実は同じ人間なのに、研究材料にされてしまうでしょう。
あまりに違う能力は特異なものとされてしまいます。
そして残念ながら、人は特異なモノを排除迫害する癖があります。
そういう話ですので、秘密扱いとなります」
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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