alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

東京のインフォーマルパブリックライフ

2012年03月06日 | インフォーマルパブリックライフ


 「みきの本が平積みにされてるよ!」と東京の八重洲ブックセンターを
訪れた父が興奮して電話をかけてきた。え?本当??
本当なら写真とってきて!!とお願いし 後でその画像を
みさせてもらうとどうやら本当のことらしい。
喜んだ私は息子を誘って嬉しいダンスを久々に踊ったり。
何でなのだかわからないけど ついに平積みにされる日が
やってきたとは!!本当にうれしい。


 でもそれっていつまでのこと?もしかして一週間後には
終わってる?自分の本が本屋で売られているのを一度しか
見たことがない私は(出た直後は出産直後で本屋さんなんて
行けなかった)やっぱりこの目で見てみたい!と
今日は東京まで息子と母と行ってみた。




 そういえば以前取材させてもらったビストロもあったことだし、、、
と思っていたけど どうにかなるかと思っていたら、どうも出る駅を間違えたらしく
これでは息子のお腹も足ももたないだろう。まあいっか、いいとこ
あったらそこにしよう、と思っていたらまさにパリのカフェらしい
お店を発見!ビストロと書いていたのでそこにして
おいしいランチを堪能してから また丸の内を散歩する。


 以前取材に来た時に なんかこの辺ずいぶん素敵なところだなあ!と
思っていたけど 日中に大手町から有楽町にかけて歩いてみると
何があるのかよくわかり いかにあの殺伐としたビル街だった東京が
以前とは違った道を歩もうとして頑張ってるのかがよくわかる。
この緑、あたらしく植えたもの?道路にたくさん置かれている
植物の大きな鉢も?そして新しく並ぶ店にはやたらとカフェっぽいところが多い。
これって浜野さんが『人が集まる』で書いていた ニューヨークの
立ち並ぶ摩天楼の中にもグラウンド面には人間の温かみがあり、、、という
やつと一緒じゃない?並木道がありなんとなく人でにぎわう
人間味の感じられる丸の内、は なんだかニューヨークを思わせる。


 新しく置かれたであろう植物のまわりにはベンチもあって
気軽に休めるようになっていて その隣には彫刻がある。
銀座みたいに立ち並ぶ やたらとセンスのいいブランドの
ショーウインドウも 銀座ほど人を寄せ付けない感じじゃなくて
東京1のセンスの良さを感じていって!この遊び心素敵でしょう?
といった感じで魅せてくる。へーそうか 今どき渋谷とか銀座とか
行かなくっても 東京駅周辺って わざわざ足を運ぶような街になりつつあるわけだ。


 きっと昔は ただの高層ビル!の街 だったのだろう。
私は東京駅周辺を歩くたびに かなりの居心地の悪さを感じていたと思うけど
今は子連れでもなんとか歩いて行けるような 緑だったりグラウンド面にある
入りやすそうなカフェであったり そういうものが溢れてる。
(このカフェ率の高さは関内並み?)




 丸の内のインフォーマルパブリックライフのきわめつけ は
三菱1号館美術館の裏手。ここは知らなかったけど かなりの
高層ビルの1階に面した空き地がパリの公園みたいになっていて
そう大きくない緑地に面してなんと3軒もカフェが作られている!
なんてパリみたいなんだ いや パリには公園に面したカフェはあんまりないかしら?

 なんだかんだいってもちょっと殺伐としたビル街の後
このスクエアに入って私の身体は素直に気持ちがいい!と反応をして
蓮太郎も一気にのびのびとして驚いた。そして納得がいってしまった。
ああだから 私はパリが好きなんだ。だってここまさに
パリみたいなんだもん。三菱1号館美術館のレンガ造りの建物は
私が10年前に住んでいた国際大学都市の建物を思わせて
そこにはやたらと広い緑地があって ピクニックとか ジョギングだとか
スポーツだとかを好きなだけやってよかった。緑で満ちた中にわざわざ作られている
並木道も美しかった。パリにはそんなところがけっこうどこにでも
存在してる。それがやっぱり すごいんだなあ、だって 都市の中なのに!




 都市の中にいるというのに 自然があって 心地よい風や緑のやさしさを
感じられ なんとなくベンチや芝生に寝転んでいる そんなことを
日中も夜もやっていられる。それがパリの良さだった。
「みてみて、ママみたいなの見つけたよ!!」といって息子が
指差した彫刻は 裸の女の人が芝生の上で寝ているもので
私はそんなにセクシーじゃないのでは?と思ったけれど 息子によれば
「ママはぐうたらだから」らしく母によれば「公園で
寝るような子はあんたくらいしかいない」かららしい。
だけどさ、パリは公園で 沢山の人がごろごろしてる。
だって気持ちいいんだもん!本当にあれは至福の時間。
芝生から大地を感じて 見上げると桜があって 気がついたら
桜の花びらが舞っていて、、、 そこにワインやコーヒーなんかが
あったなら?最高!という他ない。パリにはそんな生活が
社会的地位やお金のあるなしに関わらず けっこうごろごろしてるんだ。




 私たちはこの心地よく立ち去りがたい空間でお茶をして
いやー東京もすごいなあ!と思いながらも「でも遠いんだよね、、、」と
言っていた。そう 確かに私が元気だったころ よく息子を連れて
なぜか六本木ヒルズを探検したりもしてたけど 東京は私には遠く
六本木ヒルズや丸の内の真ん中に住めるような人なんてなかなかいない。
ここは素晴らしいとこだけど、「気軽に来れる」かと言われたら
そこで勤めている人はきっとそうだろうけど たいていの人はわざわざだ。
パリの場合はそれがいろんなところに溢れてた。自分がいるのが
高級な地区であっても 移民の多い地区であっても 再開発で
緑が多くて住み心地のいい街がつくられてきた。だからわざわざ
遠くの「そこにしかない!」場所まで1時間かけて行かなくっても
いろんなところに心地よいスクエアが存在していて そこで
バラの匂いを嗅いでみたり ラベンダーが咲いていたり
公園が砂浜みたいになってたり、、、


 「東京にもないわけじゃない」そう思って私は子供を抱えて
いろんなところを訪ねてまわった。だけどそれらは子連れの私には
遠すぎた。代々木公園も気持ちよかった。六本木ヒルズのグラウンド面も
かなり努力をしているだろう。丸の内なんて素晴らしい!
だけどそれらはやっぱりお金持ちで そういうところに
アクセス可能な人には開かれているけど そうじゃない人にとっては
存在しないに等しいような そんな気もしてしまう。


 心地よい街 自然と笑顔になってしまって
かたくなな心もほどけていって リラックスした自分になれる
そんな街ってやっぱり魅力があると思う。そんな街には
人が集まる。そうしてお店もできて やがて経済が活性化する。
パリの街は モンマルトル、モンパルナス、サンジェルマンデプレ、
それから東側の順に栄えて行ったけど それはどこも
もともとは郊外だったり ちょっと田舎っぽいとこで
昔ながらの雰囲気がある家賃の安いところに 居心地の
よさを感じてアーティストたちが移動をしていった。そうして今では
どこも家賃が高いけど はじめから高級な街にくつろげる場所を
つくったわけじゃない。リラックスしてくつろげる街
等身大でいてもいい街 それって一体どこだろう?

京都喫茶物語 カフェでの出会い

2012年03月06日 | パリのカフェ的空間で


 「バーの中ではね、何でもいいから何かやってみると
いつも事件が起こるんだ」従兄弟のジャークが
ボーヴォワールに語った言葉。この日の言葉をきっかけに
彼女はカフェに通い始める。カフェにあった小さな事件、
それは「何でもいいから何か」でよくて
わたしが出会った小さな事件はテレビの取材という事件。

 雑誌にはよく載っているそのカフェも、テレビの取材は
はじめてらしく、1ヶ月も前くらいからマスターはそわそわ
してて、11月17日は取材が来るから絶対来てよと
言われてた。取材の時間はとても早くて朝の6時半かららしく
辛いなーと思いながらも でもマスターと約束したし
それに行ったらサンドイッチを御馳走してあげる、と
事前に約束してくれていたから 行かなきゃーーと思ってた。


 それでもやっぱり6時半はきつくって がんばって6時に
起きて支度したのに到着したのは8時頃。来ると言ってた
友達たちもその日はドタキャンになってしまって
私一人でドアを開けると あれ?予想以上に人が居ない。

 「すみません遅れちゃって、、、もうみんな
帰っちゃったんですか?」と聞いてみる。
「みーんなねえ、来てないのよまだ!!!」とちょっと怒ってるお姉さん。
かなりガランとした店内にテレビ局の人がちらほら。
取材は予想してたより早い時間で、常連さんはまだ来ずに
仕方がないからテレビ局のスタッフをいれて撮影をしたとの
ことで、ごめんなさい、、、、と謝りながらカウンターへ
と足を運ぶ。

 すると奥にはわたしの知らない男性2人。しかも若い。
あれ?この店の若い常連なんて私だけかと思ってたけど
この人も仲良さそうにお姉さんとしゃべってる、、、
こんな人はじめてみたなあ、常連さん、なのかなあ。

 撮影されるかもしれないから、とこの日ばかりは
カウンターの隙間をつめられ、わたしはその人の
隣になった。そこで会話したかどうかは覚えてないけど
ちちんぷいぷいの魔法があって、そこでみんなは
出会って行った。

 放映日は私の誕生日だったから その日ゴゴには
行けずにいたけれど、23日が過ぎてから ひとしきり
それが話題になって 常連さんは皆見てたから
マスターの顔の映りがどうだとか、あんなに撮って
CMよりも短くしか放映されなかったとか
別にテレビ効果でお客は増えてないだとか 
いろんな話が飛び交って ちちんぷいぷいという事件の
お陰で私も話の輪っかに入っていけた。


 あの朝出会った見知らぬ若い常連さんは
あんな早くに店にきちんといたくらいの人だから
いつも来るのは私なんかよりずっと早いということも知る。
9時過ぎに店に来ていた私と9時前には店を出ていた彼と、
出会うことのなかった人が事件を機に出会ってく。

 全然違う世界の人に いとも簡単にあえるカフェ。
全然違う世界の人とも 連帯感の生まれるカフェ。
テレビの取材があったとき 常連さんはあえて姿を
見せずにいたけど でも確かに みんなのなかには
この店に通う事に対する連帯感があったと思う。

 朝カフェをはじめたことで 常連客になってゆく
「僕はカフェはゴゴしか行かない」そう言った彼の
この店に対する確かな想い。みーんなそれを持っている。
同じ店で 同じ時間にコーヒーを飲んで時を過ごす。
ただそれだけのことなのに カフェがもつ威力はすごい。
ゴゴに出会って 自分で体験しなければ
論文は決して書けなかったし自分の言葉で
語れなかったと本当に思う。
(2007年4月)

京都喫茶物語 朝のゴゴ

2012年03月06日 | パリのカフェ的空間で

 京都のことを思い出していたら昔「コーヒー文化学会
ニュース」に書いた原稿が出てきました。
まだ本も形になってなかったころのお話です。

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 今朝思い立って自転車をぐーんとこいでゴゴまで行ったら
久々のモーニングに間に合った。モーニングなんていつ
ぶりだろう?もしかして去年からもう来ていなかったのかも。
あの頃はいつもコーヒーとバナナ、言わなくっても
出してくれてたお姉さん。「ここはねえ そんなあなたたちの
愚痴を聞く場所よ~」と言ってくれてたお姉さんに
会いたくなって 自転車をわざわざこいで向かって行った。

 鴨川沿いには桜が咲いて、悲しい心も少しはましに
なってゆく。昔は桜があんまり好きではなかったけれど
いつも春爛漫の陽気にのりきれない自分がなんだか
嫌だったけど でも今は 少しの桜を見るだけで
ちょっとは気分が明るくなる。京都はそういうとこがいい。




 ゴゴのドアをカランと開けると意外に店は混んでいて
ああそうだ、ここは朝が一番混むのだったと思い出す。
いつものわたしが座る席にも人は居たから、心置きなく
カウンターへと向かって行ってモーニングを注文する。
お姉さんがちょっとかまってくれたから、今大変なんだと
こぼしてみると「すんごい元気なさそうな顔!どうしたの~?」
と言ってくれる。そうなんだ そんなに元気なさそうなんだ。

 ゴゴにはいっつも来ていた訳で お姉さんは色んな顔を
知っているから そして色んな会話を知っているから
なんだか話が通じやすい。しばらくたって 常連さんとの
会話の仲間に入れてもらうと、真ん中の席にいたおじさんと
話が合って、やろうと思って持っていったことも
手につかぬまま、かなり長く語ってしまう。

 ここに来て魅力を感じたことの1つに、常連さんが
京都育ちなことがある。私にとって遠い存在の人達が
ここにはいつも通って来てて 当たり前に京都がある。
そんな彼等に少ーしずつでも京都の世界を教えてもらって
紅葉や花の名所を教えてもらい 会話に参加させてもらう。
そんなことがとても嬉しい。

 そのおじさんは娘さんたちの教育についての話をしてて
最近興味を持ってた「ダム女」と「付属」という私立の
学校の違いを説明してくれる。それから娘さんの留学の
話や受験の話、早稲田の話も出て来たなーと思っていたら
留学中の娘さんが政治学にも興味があるということで
それならば、、、とパリ政治学院についても触れてみた。

 おじさんはそんな情報を得られた事が嬉しいらしく
長い事語った後で店を出る時も「いい話ができてよかった」と
挨拶をしてくれた。お姉さんに愚痴を語りに来たはずなのに
結局おじさんと教育話にあけくれて ちょっと感謝も
されてしまって 自分が出てきて面白かった。
お陰で少し元気になって やっぱりゴゴはいいよなー
こんなにもみんなが触れ合う そんなカフェは
他のどこでも見たことがない。自然な会話 自然な流れ
そしてみんながゆるりとつながってゆく。素敵なカフェだ。

 帰りがてらゴゴの近くにできたカフェを横目に見る。
朝からやってるみたいだけれど、まだお客さんはいないよう。
そうだよな この一帯で朝のゴゴに勝てるには まだまだ
厳しそうだよな。だって朝はゴゴがいい。

 以前ゴゴで話したおばあちゃんは「この辺の喫茶店に
何軒か行ってみたけどねえ ここが一番元気があって
楽しそうだからここに来るんだ」と言っていた。
そんなおばあちゃんと触れ合う若者。私には当たり前の
早稲田の世界はここでは遠くテレビの中で、私には
驚きで満ちた京都の世界がここでの日常ある世界。
そんな中に入って行けて いつでも受け入れてもらえる

 そういう点では 午後のゴゴより 朝のゴゴのが
よっぽどか面白い。人と人との交差点。この店を後にするとき
「さよなら」は「行って来まーす」に変わってる。
(2007年4月)

フランスに行くなら

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