alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

春だから

2015年03月21日 | 子育て


 春だから 眠っていたものが
ようやく芽を出し始める春だから
私の中に抑えてたものも知らずに動き出すようで


 最近息子はだんだんと言うことを聞かなくなって
怒ることが増えていた。ご飯の時はお行儀よくしなさいって
何度いったらわかるんだろう?手で食べないの!
お箸はもっとこっちをもって、お茶碗には左手を・・・!
些細なことの繰り返しだけど 毎日言っても変わらない。
そんなことが山ほどあって さすがに私も疲れてた。
それで先日 もう理由すら覚えてないけど
保育園に送る時 お互いとても嫌な気持になって
バイバイ、とは言ったものの 手を振ることすらなく出て行った。


 嗚呼もう、まったく・・・!そんな思いは日々つのり
それでもその日の私はなんだかいつもと違ってた。
このままではいけないと どこかで深く感じたのか
朝の別れ方が本当に嫌だったのか なんだか非常に
哀しくなった。ママだって、大事にしてないわけじゃない。
いろんなことを頑張っている。朝から蒸篭でサツマイモご飯だって
蒸している、そしてそんなことをして余計疲れていくわけだけど・・・
ママだって 蓮太郎のために何もしていないわけじゃない。
でもできないことだって山ほどある、それは仕方がないじゃないか・・・


 仕事をしながらも何だか頭が息子のことで一杯で
本当にどうしたらいいんだろうと文字通り途方に暮れてしまった。
さすがにもう子育ての本をちゃんと読まないと無理だろう、
3冊くらい続けて読めば何かはつかめてくるだろうか。
そうはいっても・・・そうはいっても
薄々自分でわかっていた。多分構う時間が足りていないんだ。


 正直これ以上どこに?どうやって?と思っていた。
もはや平日は分刻みのスケジュール。この3年間
いかにして自分の効率を上げて仕事をするか そればかりに
とらわれていた。お金もなく、時間もない。限られた時間の中で
お金をかけずにどうにかするには、自分というマシーンの
効率をフルスピードに上げていく以外に道はない。
辿り着いたのはそんな結論であり、ほとんど私は
スーパーウーマンを目指してた。昨年はソムリエ試験もあって
そのお陰で勉強の仕方がなんとなくわかったから
これを応用して他も可能にしてしまおうと思ってた。
そして?将来的には仕事に困らないようになろう
そのための投資と思って今はフランス語も英語もやろう
できないと言っている暇はない・・・
保育園に息子を預けて電車に乗ったら早速英語の
ニュースを聞いて、帰りの電車はフランス語。
ほっと息をつく暇もなく、ある時間を最大限
有効に使うこと。そればかり考えていた。


 そうやってこの3年間、かなり無理矢理動いた中で
手にしてきたものももちろんある。今となっては
私のやっていることを見て羨ましそうな目をする人もいる。
でもその裏には半端じゃない強迫観念や怖れがあり
なんとかしてこの先も生きていくため、息子をなんとか
育てていくため、そう思ってやってきた・・・はずなのだけれど。


 傍らにいた息子にとっては足りてない。母はいつも忙しい。
どこかに連れて行ってはくれても母はベンチで勉強中だ。
遊ぶのは自分一人?それでは淋しかったのだろう。
そう、言うことを聞かなくなった息子は
まず自分が母に言うことを聞いて欲しかったのだろう。
「ちょっと待って!ママ忙しいの」じゃなくて
「あと1分だけね!」じゃなくて
彼の気が済むところまで 彼の気の向くままに
ママと遊んで 構ってほしかったのだろう。
それは保育園の先生に相談したりとか
育児書を読み込むまでもなく 心のどこかで薄々気づいていたことだ。



 だからその日 本屋で育児書を手にする前に
その時間があるなら公園に行こう、とまっすぐに保育園に向かって
息子を迎えに行った。早いお迎えを喜んだ息子に公園に行くことを告げ
ママはね、今日哀しかったんだよ・・・とポロっと漏らしたら
息子も「僕も 僕だって悲しかった・・・」と真顔で答え
もうそこから私は涙が溢れ 初めて園庭で泣いてしまった。


 早く暗闇で涙を隠したい、そんな思いでそこを発ち、
公園に行く途中で涙が本当に溢れてしまった。
私だって辛かった。相談できる人もいない。
お金は稼がなきゃいけない。でも子供はそれでは辛いという。
お金を自分で稼ぐ必要がない専業主婦なら
子供に充分構ってあげられるかもしれないけれど
私にはそういう余裕がない。しかも大したお金なんて稼げてないから
他の働くママたちのように「お金で解決」という方法もなく、
結局は何もかもが手作りになり、そこにはしっかり時間がかかる。
ママだってそれなりに頑張っている、でも子供には「馬鹿!意地悪!」と言われてしまう。
泣きながら息子に説明し、息子の話を聞いてみると
やっぱりもっと遊んで欲しいしいろんなところに行きたいし
そこでゆっくりしたいという。私はやってなかったわけじゃないけど
そこでの関与や時間が到底足りてなかったというわけだ。
公園に行けきさえすればいいだといか、
行ったからすぐ帰ればいいってもんじゃない・・・


 ごめんね・・・と息子に謝り、闇に包まれてもはや誰もいない公園で
久しぶりに一緒に遊ぶ。思えばこの公園に来ても私は
ベンチでフランス語の勉強をしたりで息子と遊んだ記憶は
はるか昔のようだった。今日は遊ぼう、そう思い、
何も考えずに一緒に遊び、ブランコをし、一緒に走って
家に帰ると息子は幸せそうだった。こんな可愛い顔するんだこの子、
それくらい幸せそうで、話し方すら優しくなっていた。
わかったよ、ごめん。これからは週末はちゃんと公園に行こう。
どちらかの日はいつもピクニックしよう。できれば
山にも行ってみよう。もう早く帰って仕事しなきゃ!と
思わずに 1日くらいはかまってあげよう。
3年間ひたすら仕事をしてきたけれど 
だから何だったんだろうと仕事をしながら
思ってしまった。大切なはずの息子とは この先10年以上は
一緒に過ごすであろうというのに ないがしろにしていちゃいけない・・・


 カフェ・ド・フロールという映画を観ながら
どうして私はあんなに泣いてしまったのだろう。
それは母と手をつなぐ幼い息子の姿が
自分と重なって見えたからだろう。
私は必死に生きてきた。多分映画の主人公もそうだろう。
必死な人は余裕がない。一番ないのは自分の姿を
客観的に眺める余裕で それを映画館で意図せずすることになった時
ほんの些細なシーンでも 私は涙が止まらなかった。
それは息子としてきたことだから?それともすべきことだったから?
「早くしなさい!」と子供に言う母。それでも時折
道端で子供と遊んでしまう時。子供を抱きしめ、必死になって
職場に向かう母の姿。1分でも遅れてしまうわけにはいかない。
スケジュールは分刻みなのだから・・・
狭い部屋で肩を寄せ合い、時に「恋人のよう」と言われて過ごす
母と息子。そこには愛情もあるけど憎しみもある。
楽しく笑い合った直後に堪え難いと感じる時もある。
それでも それでも一緒に過ごす そこには切ることなんてできない
親子の絆が存在するわけだから。この映画を観て息子を大切にしたいと思った。
実際には実践できてなかったけど これを機に もっといい関係を
築いていけたらいいと思う。東京の緑や自然の中も街だって
もっと一緒に探検したい。

カフェ・ド・フロール

2015年03月15日 | 女の生き方
 運命に近いように思える偶然というのはあるもので
たまたま職場で鳴った電話をとったのが私だったというだけで
「もしよかったら明日カフェ・ド・フロールという映画の
試写会があるんですが・・・どなたかいらっしゃいませんか?」
とのお言葉に 私、私が行きます!!と即答した。


 カフェ・ド・フロール?あのサン=ジェルマン・デ・プレの
カフェ・ド・フロールという名の映画?それは行かないわけにはいかない、
なんとしてでも行くしかない・・・


 それからというものとても楽しみにで
次の日は職場にも早く行き仕事を早く終わらせて
早速会場に向かっていった。ふたを開けてみると確かに
配給会社のお姉さんが言ったとおりで「カフェ、というより
(いやむしろほとんどカフェではなくて)音楽の
カフェ・ド・フロールという曲」がテーマの映画であった。
つまりサン=ジェルマン・デ・プレのあのカフェとこの映画は
ほとんど関係がないというわけだ。


 それだけだったらガックリきそうなところだけれど
この映画は本当に久々に強い衝撃を与えられた。
映画の最中、些細なシーンで私の涙は止まらなくなり
帰りの電車の中でも頭の中が渦を巻き、家に帰ってからも泣いてしまった。
なんというか 私が偶然にもあの電話を受けたこと、そして
ほとんど無関係な題名につられてこの映画を観たこと自体が
偶然を装った運命というか、観るべくして観させられたような
気がしてしまう。


 この映画の主な舞台はカナダのモントリオールで、
パリも3分の1くらいは登場する。登場人物は言ってみれば
皆何らかの問題があり、パリの主人公の女性は
生まれた子供がダウン症で、それが原因で夫と口論し、
結局女手一つで子供を育てる決心をする。
モントリオールの方はお互いに運命の人だと思っていた
子供もいる夫婦の間に急に一人の女性が現れ
そこから全ての人たちの関係性がぐわっと変っていってしまう。


 運命の出会い、だと思っていたもの、いや確信さえしていたはずのもの・・・
だからそれが壊れるなんて疑ったことすらなかったもの。
そこにある日突然ヒビが入り、瞬く間に人生が変ってしまう。
そんなことが起こるなんて?誰が想像していただろう?
少なくとも 自分自身は そんなこと疑いもしなかった。
けれども人生というのは自分の想いとは裏腹に
思わぬ方向に強く押され、流されてしまう時がある。
この映画に出てきた人たちは、自分なりに決断を下していった。
いいわよ出てって、私が一人で育てるから!という女性。
新たに出会った女性の方こそ運命の人だと確信し、家庭を
壊すことにしたというのに 実際には折に触れて前妻を
思い出してしまう人・・・私がこの映画に共感したのは
ここには人生の苦しみが強く描かれているからだ。
日本ともイスラムとも違う歩み方をした西洋の自由な社会の中には
もはや正しい答えもとるべき道も存在していない。
これが正しい、と信じてみても、そこにはたえず疑念がつきまとう。
決断を下してみたって実際には無意識の中や夢の中では
諦めたはずの誰かや過去を狂おしいまでに追っている。現実はもう違う道のはずなのに
私は幸せなはずなのに?そこに明確な答えはなくて
あるのは自問自答の繰り返し。そして現実の自分が希求するのは、
アルコールやタバコに精神安定剤、少しでも自分の気を楽にさせれくれるもの。


 正しい道はこれなんです。そう言われたら楽だろう。
でも自分が正しいと思った道が、世間とズレてしまっていたら?
直感的に、本能的に、確信できるものというのはあると思う。
人はそれを運命と呼ぼうとするのだろう。でもそれが運命だったなら
どうしてうまくいかなくなる日なんてくるのだろうか?それは誰にもわからないけど
この映画は私にひとつのヒントをくれた気がする。


 他の人と違う道を歩むことになった人には
たえず苦悩がつきまとう。大声で叫びたくなるほどの苦悩や狂気
その中でも 守らなければいけない小さな子供。
私は泣くのを避けてきた。それは私が泣いてしまったら
いつだって傍らに居た私の子供もつられて泣くからだ。
ママが泣くからといって子供が泣いたら
自分に答えなんてなくても抱きしめて「大丈夫だよ」と言うしかない。



 私ががむしゃらに進んだのは前に進む以外に道なんてなかったからだ。
前を見て進まなければそこには涙と狂気と深い後悔しか存在しない。
それでは人は生きられない。だからもう泣くこと自体ができなくなった。
未来なんて信じられなくても信じる意外に道はない。だから私はいつも唱えた。
恐ろしく不安な時に、いつでも自分に言い聞かせてきた。
「大丈夫、全部うまくいっている・・・人生はとても素晴らしい。」
バーバパパの大きな飾りの前を通っては、息子に
「今日もいいことがあるってバーバパパが言ってるよ」と言いきかせてた。
それは私が自分にそう言い聞かせないでは生きられない程不安に満ちていたからだ。
あの道の前を通る度、あの恐ろしく不安定だった精神状態を思い出す。
ベッドから起き、ただ立ちたい、働いていればそんな不安も
忘れられる・・・それからひたすら仕事に明け暮れ、私の涙は枯れてった。
かつての自分とは随分違う世界に行きているけれど、その傍らに
我慢して押し殺してきた自分があった、この映画を見ながらそんなことに気がついた。


 人生に答えはなくて 自分に正直になろうとすればする程
目のはいばらの道に見えてくる。
親になったからといっても、親も一人の人間であり
叫びたくなる時もある。絶望する時もある。
ものを壊したくなる時もある。でも目の前には
それをもの言わずにじっと見ている子供がいる。
いつも答えを与えてくれる宗教があったなら?
それはどんなに楽だろう。けれどその宗教が定めた
正しくて幸せなはずの道と 自分が正しいと思える道に大きな差が生じていたら?
その先に生じる結果を考えるなら どちらがいいか
一概には言えないだろう。


 人生には苦しみがある。けれど時折わずかな喜びがある。
子供に怒るときもある、だけど共に笑える瞬間もある。
人生はエスプレッソの味に似ている。苦い、でも、甘苦い。
その甘苦さがあるが故に やっぱりなんだかいいなと思う。

 「カフェ・ド・フロール」はとても深い。

 それは素晴らしいカフェでの議論のように頭の中に強いモヤモヤを残してくれる。
人生につまづいたという自覚がある人に、是非見て欲しい映画です。

映画 カフェ・ド・フロール
3月28日公開です

フランスに行くなら

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