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パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

アメリカのパリ協定離脱に対するフランス大統領エマニュエル・マクロンの声明

2017年06月04日 |  カフェ的な場で考えたこと


トランプがアメリカ大統領に選ばれた時、私にはまだ
期待があった。トランプを選ぶアメリカ人の気持ちもわかる、
それに彼は何かをやってくれるかもしれない・・・そんな
ささやかな期待があった。そんなささやかな期待があるから
世界のリーダー達もこぞって彼に会ってみたのだろう。
ところがG7の時から彼の態度は最悪だ。パリ協定に
関しては母国に帰って協議してから態度を決めるのかと思いきや、
あっというまに「やっぱりやーめた!そんな馬鹿なことやるもんか!」
ずいぶんと嬉しそうな顔で、よくあんなことが言えるものだ。

さすがにこれには大失望で、これまでのささやかな期待も
全てがふっとんだ。私も失望だけでなく怒りすら覚えてた。
そんな時、フランスの新大統領、エマニュエル・マクロンがいい話をしたという
噂を耳にした。ラジオで聴くとたしかにかっこいいことを言っている。
全文を読もうとしてもルモンドなどには書かれていない。
しかたないので声明をYou Tubeで何度も聴いて、1人で書き取り
全訳してみることにした。

許可をとっているわけでも、誰かに頼まれたわけでもない。
こんなことをしても1円にもならないが、時間だけは大いにかかる。
とはいえマクロン氏は私が留学したパリ政治学院の先輩なのだ。
私があの地に足を踏み入れた2001年に彼は
卒業したという。圧倒的なエリートとそこで1番の落ちこぼれだった
私には何の共通点もない。けれど「先輩」のこの姿勢はとても美しいと思う。
こういう話を環境団体のトップがするのはわかる。
けれど一国の大統領が、すぐにこうした声明を発表するというのは
本当に私の胸を打つ。

私もあの学校で習ったことがある。どんなに長い原稿を書いても、
まっすぐに人の目を見て話しなさい。マクロンの目はまるで
自分に訴えかけているようだ。世界の研究者よフランスに来たれと言われたら、
私も環境配慮都市の研究をしに今すぐ行きたいと思ってしまう。
世の中にはどうしようもない人もいる一方で、こんなことを
言える人もいる。それがほんのすこしの救いになった。

2001年、フランスは環境のことなんてほとんど考えていなかった。
ところがこの15年でフランスはあっという間に変化して、環境配慮型都市の
取り組みも大いに進歩を見せている。

テロの直後に開催されたCOP21では指導者達が本当によく頑張った。
会議中、何度も何度も文面がひっくりかえされ、立ち往生し、
そんな中フランス人たちは本当に粘り強かった。この協定が結ばれたこと、
それはひとえに議長国のすさまじい粘りと努力によるものだろう。
議長だったローランファビウスがどんなに嬉しそうに最後に槌を打ったことか。
そして世界中の代表者たちが総立ちして喜んだ。
その感動はビデオからでも大いに伝わるほどだった。

その感動も想いも一瞬にして崩されたトランプ氏の声明。
それに対してマクロン氏がフランス語で行った声明の全訳を掲載します。
(約2日で9万回視聴されています)

ーーーーーーーーーーー


アメリカ大統領のパリ協定に対する演説の数時間後、
私がこうして声明を発表しようとしたのは、これが重大な問題だからです。
アメリカがパリ協定から離脱するというのは理解しましたが、残念に思います。
私はそれがアメリカやアメリカ人にとっても間違っていると思いますし、
我々の地球の未来にとっても過失だと思います。
先ほどトランブ大統領と話す機会があり、その旨をお伝えしたところです。

気候変動は我々の時代の非常に大きな課題の1つであり、
数年前はまだ議論の対象であったかもしれませんが、
今では私たちにとって明確な問題となっています。
生物多様性は脅かされ、異常気象によって飢饉や大災害が
起こった地域もあり、その地を離れることを余儀なくされた人もいます。
フランスも毎年異常気象による災害に見舞われています。
もし私たちが何もしなければ、より激しい異常気象によって、
私たちの子供たちは移民、戦争、欠乏、島や海岸付近の街の消滅という
世界を目の当たりにするでしょう。そしてそれはもう始まっているのです。

それは私たちが望んでいる未来ではないし、
私たちの子供たちのために望む未来でも、
世界に求める未来像でもありません。
フランスの使命は、すべての人を巻き込むこの問題に
立ち向かっていくことなのです。それが気候変動に関する
戦いで先駆的な立場を示した理由です。
フランスは国際的なすべての交渉に果敢に立ち向かっていきました。
2015年12月、フランスは全力をかけ、パリ協定という共通の書面に
195カ国に署名させることに成功したのです。
だからこそ、私は今夜、多くの力をこめてこう述べます。
いかなる場合においてもパリ協定より野心にかける協定の再協議には応じないのだと。

フランスは今夜、署名した全ての国々に訴えます。
パリ協定の枠組みの中にとどまるべきだと。
私たちの責任の高みにとどまり、何一つ譲歩するべきではありません。
私はアメリカに伝えたい。フランスはアメリカを信じている。
世界はアメリカを信じている。私はアメリカが偉大な国だと
知っています。そしてアメリカが無知や曖昧さではなく、
自由や真実、理性を勝ち取ってつくられた国だということも。

けれどもこれは間違えないでほしい。
気候変動に関しては、代替案、プランBは存在しない。
何故なら地球の代替となる地球Bが存在しないからです。
だからこそ、そう、続けていくべきなのです。
アメリカ大統領の決断に失望した全ての科学者、
エンジニア、起業家、市民に訴えます。
フランスは第二の祖国になるでしょう。
私はあなた方に呼びかけます。
私たちとともにここで働こうではありませんか。
気候変動に対する具体的な解決に向けて動きましょう。
今夜アメリカは世界に対して背を向けました。
しかしフランスはアメリカ人に背を向けません。
私は親愛なる同郷人や、世界のどこであれ今これを聴いている方に保障します。
フランスはこの戦いを諦めません。

もちろん私たちはこの戦いをアメリカとともに行いたかった。
というのも彼らは私たちの同盟国であり、テロや安全保障、工業、
経済など、数多くのテーマについては今後も同盟国であり続けるからです。
でも事情はこの通りです。扉が閉ざされたわけではいし、
私たちを大いに助けてくれたこの国に扉を閉ざすことはないでしょう。
とはいえ、私たちの決断を守るべき者はまだ大いに残っています。
フランスは世界の中でその役割を果たしていくでしょう。
それがフランスに望まれていることだから。

今夜からフランスとイタリアはパリ協定に関する関与を
より確固たるものにしていきます。数分前、ドイツの
メルケル首相と話し、この方向に向かって近いうちに強い
イニシアチブをとっていこうということになりました。
土曜にはパリでインドの首相に合い、パリ協定について話します。
近日中に私はパリ協定に関しる主要なリーダーたちと話ていくつもりです。
フランスは環境配慮型の研究をする研究者や企業に対する協力を
増やすための具体的な行動計画を示し、特にヨーロッパとアフリカにおいて
具体的なイニシアチブをとっていくつもりです。私は政府に対しても
この件に関して活発に動き、来週会合を開くようにと要請しました。
過去の協定を守るというだけでなく、今夜からフランスは
私たちの未来に対してより大志を抱いていくべきなのです。
共和国万歳、フランス万歳。

ーーー

追記

トランプ氏は「私はピッツバーグを代表して選ばれたのであって
パリの代表として選ばれたわけではない」というなんとも馬鹿げた発言を
していましたが、なんとそのことに対してピッツバーグ市民や市長が
怒り、アンチトランプのデモを開催したそうです。
というのもピッツバーグは廃れてしまってたちゆかない工業地帯ではなく、
新らしい技術を生み出している、現在かなりうまくいっている街であり、
勘違いも甚だしい、というわけです。ニューヨーク前市長やパリ市長だけでなく
当のピッツバーク市長までもパリ協定を応援する!と言っているところが
なんとも素晴らしいと思います。



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