alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

京都喫茶物語 カフェでの出会い

2012年03月06日 | パリのカフェ的空間で


 「バーの中ではね、何でもいいから何かやってみると
いつも事件が起こるんだ」従兄弟のジャークが
ボーヴォワールに語った言葉。この日の言葉をきっかけに
彼女はカフェに通い始める。カフェにあった小さな事件、
それは「何でもいいから何か」でよくて
わたしが出会った小さな事件はテレビの取材という事件。

 雑誌にはよく載っているそのカフェも、テレビの取材は
はじめてらしく、1ヶ月も前くらいからマスターはそわそわ
してて、11月17日は取材が来るから絶対来てよと
言われてた。取材の時間はとても早くて朝の6時半かららしく
辛いなーと思いながらも でもマスターと約束したし
それに行ったらサンドイッチを御馳走してあげる、と
事前に約束してくれていたから 行かなきゃーーと思ってた。


 それでもやっぱり6時半はきつくって がんばって6時に
起きて支度したのに到着したのは8時頃。来ると言ってた
友達たちもその日はドタキャンになってしまって
私一人でドアを開けると あれ?予想以上に人が居ない。

 「すみません遅れちゃって、、、もうみんな
帰っちゃったんですか?」と聞いてみる。
「みーんなねえ、来てないのよまだ!!!」とちょっと怒ってるお姉さん。
かなりガランとした店内にテレビ局の人がちらほら。
取材は予想してたより早い時間で、常連さんはまだ来ずに
仕方がないからテレビ局のスタッフをいれて撮影をしたとの
ことで、ごめんなさい、、、、と謝りながらカウンターへ
と足を運ぶ。

 すると奥にはわたしの知らない男性2人。しかも若い。
あれ?この店の若い常連なんて私だけかと思ってたけど
この人も仲良さそうにお姉さんとしゃべってる、、、
こんな人はじめてみたなあ、常連さん、なのかなあ。

 撮影されるかもしれないから、とこの日ばかりは
カウンターの隙間をつめられ、わたしはその人の
隣になった。そこで会話したかどうかは覚えてないけど
ちちんぷいぷいの魔法があって、そこでみんなは
出会って行った。

 放映日は私の誕生日だったから その日ゴゴには
行けずにいたけれど、23日が過ぎてから ひとしきり
それが話題になって 常連さんは皆見てたから
マスターの顔の映りがどうだとか、あんなに撮って
CMよりも短くしか放映されなかったとか
別にテレビ効果でお客は増えてないだとか 
いろんな話が飛び交って ちちんぷいぷいという事件の
お陰で私も話の輪っかに入っていけた。


 あの朝出会った見知らぬ若い常連さんは
あんな早くに店にきちんといたくらいの人だから
いつも来るのは私なんかよりずっと早いということも知る。
9時過ぎに店に来ていた私と9時前には店を出ていた彼と、
出会うことのなかった人が事件を機に出会ってく。

 全然違う世界の人に いとも簡単にあえるカフェ。
全然違う世界の人とも 連帯感の生まれるカフェ。
テレビの取材があったとき 常連さんはあえて姿を
見せずにいたけど でも確かに みんなのなかには
この店に通う事に対する連帯感があったと思う。

 朝カフェをはじめたことで 常連客になってゆく
「僕はカフェはゴゴしか行かない」そう言った彼の
この店に対する確かな想い。みーんなそれを持っている。
同じ店で 同じ時間にコーヒーを飲んで時を過ごす。
ただそれだけのことなのに カフェがもつ威力はすごい。
ゴゴに出会って 自分で体験しなければ
論文は決して書けなかったし自分の言葉で
語れなかったと本当に思う。
(2007年4月)

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