伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

師走も半ばが過ぎ、冬至にクリスマス、大晦日、そして甲午(きのえうま)の新年へと・・・。  

2013年12月18日 | 随筆・雑感・回想など
今秋、外宮前に新築オープンした「赤福」(交叉点の手前左)と、その向こうの「せきや本店」(関谷食品)

 師走も瞬く間に半ばが過ぎ、今年も年の瀬が押し迫って来ました。伊勢の町も年末・年始に向けて、装いを新たにしているところです。市街地の目抜き通りも模様替えをし、秋の御遷宮の後、一端は落ち着いたものの、特に内宮前は例年に無く観光バスがひっきりなしで、新年はさらに全国からの人出の波に晒され、あわただしさが一段と増すものと思います。
 この年末に、寒波の合間を縫って伊勢神宮や市街地を少し歩いてみました。特に御遷宮を境に、風景が一変したのがJRの伊勢市駅前の外宮参道です。大きなビルの解体後の跡地には、伊勢ならではの、木造づくりの真新しい和風(一部は切妻風)の店舗が、幾つか居並ぶようになりました。
伊勢市駅前から500m程続く「外宮参道」
 又、外宮・内宮神苑内の幾つかの建物も、御遷宮に合わせて刷新され、真新しい参集殿など檜の香がほのかに残っています。苑内の参道には、大晦日から正月に向けての「どんど火」や篝火用の薪が積まれており、奉納された酒樽などもたくさん飾られています。  両神宮門前の道路沿いの店舗や民家でも、所々に門松が飾られ、注連縄飾り(しめかざり)の張り変えも成されつつあります。伊勢の市街も、冬至にクリスマス、大晦日を経て、間もなくお正月を向かえようとしています。 さて、来年は甲午(きのえうま)の年、やはり歳のせいか、暦上の運勢が気になるところです。参拝客で賑わう内宮の宇治橋~晴れた冬至の日には、この橋の真正面から日の出が遥拝出来る


 
宮川上流の古い観光案内図  寒波の谷間となった15日の日曜日、今月も鉱物好きのY氏からドライヴのお声がかかった。彼のランクルに便乗し、水石と鉱物の採れる宮川の上流へと車を走らせた。伊勢から約1時間、国道42号線に出て、三瀬谷から宮川左岸の舗装道路を宮川貯水池へと向かう。少し遡ると、穿入蛇行する宮川の渓流がV字谷となって、深々と山あいを抉り、点在する村落間の一部では、今だに数年前の土石流跡の復旧工事が続けられている。この道路は、終始山側の急斜面と、川沿いの崖っぷちの連続である。  宮川の上流と言えば、三重県では熊野の那智黒石と共に、今も銘石の産地として広く知れわたっている。随所に盗石防止の立札が立っている。 昭和半ばの水石ブームの頃には、旧宮川村(現在は、多気郡大台町に合併)の至る所から、鎧石や五色石など数々銘石を世に出し、三重県きっての水石の一大産地であった。上載地図の部分拡大~父ヶ谷の付近に鉱山マークがあり、 「銀山」とある 今も時折、探石や採集目的の来訪者を見るが、この付近一帯の台高山地は、北の三波川変成帯と南の秩父累帯を跨いでおり、マンガン鉱や硫化鉄鉱の鉱床帯でもある。宮川貯水池奥の父ヶ谷にはスカルン鉱床もあって、結晶質石灰岩が散乱し、数々の接触鉱物(スカルン鉱物)も見られる。古い観光案内図には、鉱山マークが記され、「銀山」とある。
 さて、積雪を被った急峻な尾根から吹き下ろす冷たい川風の中、貯水池手前の滝谷(たきや)にまで行き、そこの小広い川原に下りて、一時間ばかり探石と採集を試みた。Y氏も少し大き宮川上流の滝谷の川原
い目の龍眼石や鎧石、硫化鉄鉱の団塊の入った珪質岩などを集め、黄鉄鉱の粒塊と共に「宮川石」(水石)も幾つか手にし吟味していた。 我輩もいろいろと探石を試みたが、かつての「宮川梅林」や「宮川桜」、「宮川五色」などの佳形の秀石は見当たらず、あちこちに見られるのは、白っぽいチャートと梅林石や龍眼石、紫雲石のゴロタ石ばかりである。 そんな中で、何とか二つきりでよいからと手にしたのが、掲載写真の水石である。 2石とも准名石ぐらいの石で、ひとつは鎧石系の灰褐色チャートの化け石で、キャベツほどの塊に細い滝が三本懸かっている。他の一つは、これも左右15㎝程の龍眼石系の化け石で、テラスのある段石風ではあるが、背景にちょっとした山があって、小物水石ながら、それなりの変化とまとまりのある逸品である。細い3条の滝の懸かる、鎧石風の「宮川石」 宮川の上流は、産地が産地だけに物足りなさは拭えず、名石のゲットを年に10石と決めた目標には、何とか到達したものの、一末の未練を背負いながら帰途についた。

テラスのある、龍眼系「宮川石」の山水景石




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