伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

お伊勢さんの名物食品

2010年09月23日 | 伊勢

朝熊山・金剛証寺 門前「野間萬金丹本舗」

 

伊勢参宮のお土産

 伊勢の街も、最近は昔からの繁華街が斜陽化し、名物店も数少なくなった。しかし、食物屋(たべものや)だけはいつの時代にも無くならない。昔ながらの伝統的な「味」を受け継ぐかどうかは別として、老舗が店をたためば、新店舗がオープンする。

近鉄宇治山田駅構内のショー・ケース  伊勢参宮のお土産のナンバー・ワンはと言うと、昔も今もお餅であり、江戸時代から続く赤福餅(宇治)の知名度はダントツである。他にも御福餅(二見)や大福餅、神代餅、太閤出世餅、二軒茶屋餅、へんば餅(明野)、くうや餅(二見)など幾らでもあげられる。この内、「赤福」と「御福」は見てくれも味もよく似ている。両者の知名度以外の違いは、それぞれの創業地(本店の場所)と暖簾(銘柄)だけであろう。あとは、近年における資本力とか、生産・販売システムや流通販路の差であろうか・・・。

 お餅に続くのは、昔なら「生姜糖」に春慶塗の各製品(伊勢春慶)、今はと言うと、高味なものなら「参宮あわび」(関谷食品)であり、庶民的なものなら「伊勢うどん」の真空パックかも・・・。他にも、「真珠漬」や「沢庵漬」、「利休饅頭」や「糸印煎餅」、「伊勢音頭煎餅」、「真珠煎餅」、「神宮スギ」、「神宮白石クッキー」、「はちみつぱんじゅう」(宇治山田駅前・明倫商店街入口の「松やぱんじゅう」、他)などがあげられるが、新興食品も含めていろんな土産ものがあり、参詣者や観光客の目を楽しませている。「ぱんじゅう」と言えば、今は無くなった伊勢市駅前の「七越ぱんじゅう」のほっかほかの芳味が懐かしい。

 

伊勢の特産品について

 さて、食べ物で、伊勢の特産品となると何だろう。あるのか無いのかちょっと考えてみた。昔、朝熊山の金剛証寺の門前に、万病の妙薬である丸薬「萬金丹」を売る「萬金丹屋」(野間萬金丹本舗)があり、朝熊の名物であった。今はこの店はなくなったが、伊勢市内に別の老舗、「小西萬金丹」(八日市場町)が残っていて営業を続けている。少年の頃、「ラッパのマークのセイロ丸」(腹痛薬)が盛んに売り出され、それに便乗して、この萬金丹の事を、学童らが面白おかしく呪文を唱えるように言い放っていたのを思い出す。「朝熊の丸薬マンキンタン、鼻くそ丸めて萬金丹・・・。」「目クソ耳クソ出ベェソ、鼻くそ丸めてマンキンタン・・・。」

 今振り返ると、誠に失礼な話であるが、「 ・・・・・・・、鼻くそ丸めて萬金丹」と、当時流行ったキャッチ・フレーズや適当なかまい文句を頭に付けて、子供らは要するに、「鼻くそ丸めて萬金丹」を叫びたかった訳である。外で遊ぶ事が常であった時代には、子供ららしい何でもかんでも遊びの材料にしてしまう楽しさがあった。

 話が飛んでしまったが、当地では、「伊勢たくあん」が広く知れ渡っている。伊勢の漬物や干ものは何処に行っても定評だし、昆布をはじめ各種の佃煮なども豊富にあり、みやげ物屋や名店街を見回れば、まだ色々とたくさんあると思う。

 ちなみに、近鉄宇治山田駅構内のショー・ケースに、伊勢の特産品が展示されている。

 

伊勢の名物は、何と言っても「伊勢うどん」

「伊勢の名物、数々あれど、うどんに勝るものはなし」

 こんなキャッチ・フレーズがあったかどうかは知らないが、伊勢の庶民味と言えば、「伊勢うどん」を知らない人はいない。濃厚な醤油をベースに味付けをした独特の濃い口汁(つゆ)のうどんは、うどんそのものも、一段と図太くて歯ごたえがある。特に、真っ黒なトロ味のあるうどん汁は、見た目は良くないが、食べ慣れると、他では味わえない風味が脳裏に記憶される。この各店秘伝の「うどんつゆ」につられて、又、食べたくなる。

 さて、「伊勢うどん」のおいしい店を伊勢市内で探すのは、いとも容易い。今は、グルメ専門のガイド・ブックもあれば、数多く出版されている伊勢志摩の観光ガイド書には必ず載っている。又、当地の職業別電話帳を見れば、「うどん・そば店」の欄にずらりと並んでいる。

 

「伊勢すずめ」の食べた、伊勢うどんのお店

 食べ物の「おいしさ」は、その人の主観であり、舌の持つ微妙な味覚芽(味細胞)のデリケートさによって異なるのは当然のこと。又、風土によっても、天気によっても、気分によっても若干違ってくる。我輩、「いせすずめ」の舌はどうであろうか。残念ながら味に対しては、特別うるさく出来ていない。但し、いい感じの店は幾つか知っている。これも全くの主観であるが、人に薦められる「いいお店」となると、美味しいという「味」以外に、店主や従業員らの人柄や接客態度も含め、その店の雰囲気が大きな要素となってくる。食べに入ったその店の間取りやフロアのスペース、テーブルの高さや椅子の座り心地、窓や照明の適度の明るさ、壁の色や店内のインテリア、それに客質や値段、そしてオーダーからの待ち時間など、チェック項目はかなりになる。

 しかし、「味」だけに絞ると、昔よく行った店は、度会橋近くの「大野木屋」と八日市場の「朝日屋」、新道商店街の「槁本屋」である。今は無くなったり移転した店もあるが、とにかく安くておいしかった。 グルメ諸兄の言われる伊勢の名物店とは、ちょっと違うかも知れないが、かく言う我輩の祖父(昭和52年に91歳で病没)は、戦前に岩渕の箕曲社(みのやしろ)の西隣りで「吾妻屋」(あづまや)という屋号の「うどん屋」をやっており、幼少の頃、何度も自慢のおいしいうどんを食べさせてくれたものだ。この祖父の店の味を知る人は、もう八十歳を超えたごく一部の高齢者の方しかいない。

 

今、「伊勢すずめ」がお薦めできるお店

肝っ玉かあさんの家庭料理「いちし」  上記の「いいお店」とは別に、伊勢に来た人に特別にお薦めできるお店は、まず、横輪町の「郷の恵・風輪」である。ここの横輪芋を下ろしてかけた「とろろ伊勢うどん」は格別で、食べ心地があり、風味も最高である。ぜひ食体験をして頂きたいものだ。次に、肝っ玉かあさんの家庭料理というか、手作りのいい味付けをしたお店に「麺菜レスト いちし」がある。ここの伊勢うどんがおいしいのかどうか、とにかく、伊勢のオリジナル・メニューの御饌丼(みけどん)にも参加しながら、庶民向けの家庭味には気合を入れてこだわってみえる。場所は伊勢の街のど真ん中で、外宮前から続くメイン道路に面し、道路を隔てた厚生小学校の向い側(伊勢市一志町)にあるゆえ、一度入ってみて下さい。

 庶民派のいいお店をもう一つ紹介しよう。近鉄宇治山田駅に隣接する高架下の宇治山田ショッピングセンターの中にある「まんぷく」である。先代が考案したと言うオリジナルメニューの「唐揚げ丼」は、この店が元祖であり、大変好評である。和・洋食を色々と賄う小じんまりしたお店であるが、サラリーマンや学生達には人気度ナンバー・ワンの大衆食堂である。

 最後に、「うどん」ではないが、もう一つだけお薦めできるとっておきのお店に、最近オープンしたばかりの鰻屋がある。

最近オープンしたばかりの「うな嘉」  伊勢市岡本三丁目の「うな嘉」(うなよし)である。伊勢の街には幾つか有名な老舗の鰻屋があり、それぞれ自慢の味を披露しているが、我輩も鰻は好物で結構食い歩いた。新参の「うな嘉」はやや濃口(こくち)の甘ダレであるが、修行と研究を積んだ若主人の腕は確かで、実に芳ばしい。場所が住宅街の中なので少し解りにくいが、御木本道路沿いにある衣料スーパー「ナカミチ」のすぐ裏である。正に「うな嘉、味も良し」である。

 

写真は上から

  • 昔、朝熊山・金剛証寺の門前にあった「野間萬金丹  本舗」の古い絵葉書
  • 近鉄宇治山田駅構内のショー・ケース
  • 芳味豊かな「麺菜レスト いちし」(伊勢市一志町  9-3) Tel 0596-24-0809
  • 開店真新しい「うな嘉」(伊勢市岡本3丁目17-5)
    Tel 0596-28-3358
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