その1.南伊勢町田曽白浜~志摩市浜島町・南張海岸の漂着軽石
弧状に伸びる綺麗な汀のライン
南志摩、浜島町の西方には、田曽浦(南伊勢町)へと続くリアス式海岸の岬角(こうかく)間に、断続的に小磯や砂浜が連なっている。特に、田曽浦の東方には弧状に伸びる汀線の綺麗な大きな砂浜が、小さな岬を挟んで2つ続いているが、西方のビーチが「田曽白浜」、その東が当地最大規模(全長約600m)の南張海岸である。両海岸とも夏季にはキャンパーやサーファー、海水浴客らで賑わう。
浜に漂着、火山の小石
この内、田曽白浜の一部には、礫浜海岸特有の微地形であるビーチカスプが形成されている。又、当地も含め付近一帯の砂浜海岸には、ここ数年来、大小の軽石が漂着し話題となっている。現在では多くが砂に埋没してしまったが、流木や漁具、生活廃品等、様々な漂着物の密集した場所(ゴミ溜まり)を探せば、こぶし大以下の小塊を採集することができる。
黒潮に乗って
この軽石の由来は定かではないが、最近噴火した火山と言えば、富士火山帯の三宅島が最有力と考えられる。黒潮に乗って、はるか彼方から流れ着いた可能性が高い。
夕焼けの熊野灘
なお、晴れていれば、広々とした熊野灘の素晴らしい夕焼けの海が眺められる。
その2.志摩市大王町・名田の大野浜海岸の断層の入った小礫
的矢層群という中生代の地層に由来
大王岬の北方にある小さな小礫の浜の一つに、名田の大野浜がある。ここは在所の北はずれにあり、舗装道路のすぐ前で、最近護岸の強化工事等が成され、行きやすくなった。波切の周辺には、似たような小規模の小礫の浜が幾つかあり、浜を見下ろす小高い岬には的矢層群という中生代の地層が露出し、志摩地方のリアス式海岸の海食崖や海食台、離れ岩(岩礁・暗礁)等を形成している。この地層を構成する泥岩(頁岩)や砂岩、チャート等が海食の結果漂礫(ひょうれき)となり、寄せては返す磯波によって程よく淘汰され、きれいに磨かれて大小の浜砂利となって、ビーチカスプを形成して堆積している。
断層入りの小石は、名田の大野浜に集中
特に大野浜では、この浜砂利の中の小礫に縞目のきれいな小石があり、それらの中には層内断層(そうないだんそう)を伴うものがかなりの頻度で混在している。目が慣れてくるに従い、探せばいくらでも見つかるので採集するとよい。なぜ、このような珍しい小礫が大野浜に集中しているのかは、定かではない。
案外、『地震の御守り』になるかも ・・・・・ 。