北大ボートblog

北大ボート部部員によるほぼ定期更新ブログ。

医学的エルゴ戦略

2021-12-26 21:15:16 | 大会
こんにちは1年目漕手の阿部です。
先日のクリスマス2000TTで冬練の1ターム目が終了したので、その期間私がどのような事を考えて練習していたかを書いていこうかと思います。

私は学部の授業の都合上、人より練習時間が取れない中でどのように効率よく自分の能力を伸ばそうか考えたときに、逆に学部の授業で習った知識を使おうと考えました。具体的にいうと前期に習った解剖学の知識です。解剖学というのは、体の構造を理解する学問のことで、アスリートにとっては必須の学問です。特段、前知識はいらない上に、練習効率が飛躍的に上がるのでボート部のみなさんにもぜひ学んでいただきたいと思っています。以下は私が自分なりに考えたことなので間違いもあるかもしれませんがご了承ください。

まず、私はウエイトにおいて、ボートで使わないなと思った種目に時間を割かないようにしました。例えばレッグエクステンション。レッグエクステンションで鍛えられる大腿四頭筋の作用をご存知でしょうか。意外と知らない人もいるかもしれません。正解は膝関節の伸展や股関節の屈曲です。ここで私阿部泰樹考えました。「ボートにおいて力を出すのは膝の伸展じゃなくて、股関節の伸展だよな。ってことは大腿四頭筋はフォワードの動作に使うだけであって、これはエルゴで自然と鍛えられる遅筋だけでいいな。逆に鍛えるとシートラッシュにつながる上に、無駄に疲れそうだな。」と。そこで冬練が始まってから一ミリも鍛えませんでした。逆に股関節の伸展に関わる大腿二頭筋はバキバキの刃牙になれるように鍛えました。

さらにこの鍛えた筋肉をうまく使えるように、解剖的に無理のない漕ぎを考えました。まず、大腿二頭筋を使うために「膝の伸展でストレッチャーを蹴る」のではなく、「股関節の伸展でストレッチャーを押す」意識に変えました。こうすることで以前は押す時間と押せてない時間があったのが、ずーっと押せるので楽に力が出ます。さらにっこ関節の伸展で押すということは、押すに連れてどんどん上半身が開くので、上半身(特に腰)に負荷がかからない漕ぎになりました。(ただし、下半身の力に耐えうる最低限の上半身の力は必要です。)また、エルゴでよくある怪我の一つに「腰痛」があると思います。例に漏れず私もなりました。「腰痛」と言うと漠然としていますが、腰には骨、筋肉(+神経、血管)しかないので、端的にいうと「これらのうちのどちらかから痛みの情報が伝わっている」ということです。その原因を解決してやれば、腰痛は改善されるわけです。みんな腰痛になると痛いからといって漕ぐのをやめますが、この痛いときにこそ痛みの原因がわかるし、このときに痛くないような動きというのがその人にあった解剖的に正しい動きなんじゃないかななんて思ったりします。私はこの腰痛期間に漕ぎを変えることで練習しながら治すことができました。ただし本当に痛かったら病院行ったほうがいいです。

また漕ぎの戦略にも僕は医学的知識を用いました。人には遅筋が多い人、速筋が多い人がいますが、これを決めるのはACTN3遺伝子というものです。ACTN3がR-R型だと速筋ばかり、逆にX-X型だと遅筋ばかり、R-X型だとその間という感じです。生物を多少習った人ならなんとなくわかると思いますが、一番多いのはR-X型です。X-XやR-Xはマラソンとかの持久力競技向きです。一方R-Rというのは、パワーリフティングと行ったパワー競技型です。私はこのR-R型でした。すなわち速筋がめちゃつきやすい一方遅筋が全然つかないタイプです。エルゴでは2000m漕ぐのにだいたい7分弱動き続ける力が必要です。この時間高いレートで動き続けることは、遅筋が少ない僕には向いていないと思いました。そこで自分の速筋をフル活用できる戦略を考えました。それが以下です。
1,レートを落として、一本一本の出力を出す
2,レンジを短く切って、筋肉が動く時間を短くする
1に関してはそのまんまですね。動き続けるのが無理なら、一本強く漕いでフォワード休んで、一本強く漕いでフォワード休んでと、不連続な動きにすればいいわけです。2に関しては、レンジをとるということはそれだけ筋肉が動く時間が長いわけです。速筋マンとしてはこの時間をいかに短くした上で出力を出せるギリギリのレンジを考えました。また短いレンジということはフォワードも短いため、短い距離をゆっくりフォワードできるためかなり休めます。

以上が私の戦略でした。そういえば、TTの1時間前にカフェインを摂ったことを書き忘れました。カフェインには血管拡張作用があるため、有酸素運動の1時間くらい前に取ることが吉とされています。皆さんもぜひ自分の体についてもっと知った上で、自分なりの戦略を立ててほしいと思います。もし思いついたこととかあれば共有していただきたいです。それでは失礼します。
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