語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月22日 | ●佐藤優
 <実は、哲学者で歴史学者のアーネスト・ゲルナー(1925~95)の著書『民族とナショナリズム』(岩波書店)を読んで、私は初めて「独身制といはこういうことだったのか」とわかりました。それは、権力を抑制するために独身制をとる、ということです。
 権力を持つと、その権力を子どもに継がせたくなる。だから去勢して、物理的に権力を子どもに継げないようにするのですが、この独身制は社会的な去勢をも含みます。仮に実の子がいても、子どもであることを公にできないようにして権力を抑える仕組みが独身制だ、というわけです。
 (中略)
 近代国家においては、独身制も去勢も採用できないでしょう。そこで何を採用するかというと、きわめて難しい公務員選抜試験です。この公務員制度によって事実上の去勢を行っていくのが近代国家だ、というのがゲルナーの見方です。
 (中略)
 逆に、(日本のように)宗教で妻帯が認められるようになるということは、その宗教があまり力を持たなくなったということかもしれません。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「独身であることと権力」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次


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