語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】限りなく不透明に近い「透明ドリンク」

2017年06月25日 | 医療・保健・福祉・介護
  《甲》サントリーフーズ「プレミアムモーニングティー」・・・・カフェインが添加されている。子どもや妊婦は要注意。
  《乙》アサヒ飲料「MITSUYA 新搾りもも」・・・・1本(500ml)に糖類が約55g含まれる。エネルギーは220kcal。毎日飲んでいると、肥満、高血糖になるおそれがある。
  《丙》キリンビバレッジ「キリンメッツプラス レモンスカッシュ」・・・・合成甘味料の①アセスルファムKと②スクラロースを使用している。①は動物実験によれば、肝臓に対するダメージや免疫力低下を招く心配がある。②は有機塩素化合物の一種で、動物実験の結果から免疫力低下を招く心配がある。

 (1)真夏が近づいてくる。水を飲むような感覚で飲める「透明ドリンク」の人気が高まっている。スーパーにはそんな飲み物がずらりと並んでいる。
 しかし、今回取り上げた3製品のように、要注意的ドリンクがある。

 (2)「健康によさそう」「カロリーが低そう」などというイメージから飲む人が増えている透明ドリンク。もも味、ぶどう味、ヨーグルト味、紅茶味などさまざまな種類がある。
 いずれも水や炭酸水に糖類、果汁、紅茶、さらに添加物の香料、酸味料、甘味料を溶かしたもので、水と同様に透明なのが特徴だ。
 その一つの《甲》は、その名のとおりレモンティーの味がする飲料で、むろん透明だ。つまり、水を飲む感覚でレモンティーを味わえるというわけだ。原材料は、糖類、紅茶、有機レモン果汁etc.。それらを水(ナチュラルミネラルウォーター)に溶かし、さらに香料、酸味料、カフイェン、ビタミンCなどの添加物を加えている。
 添加物の仲で香料と酸味料は一括名であり、具体的に何が使われているのかは表示されない。さらに、苦味料として添加されているカフェインについては、注意が必要だ。

 (3)カフェインは天然添加物の一種だ。コーヒー豆、あるいは茶葉から水または二酸化炭素で抽出し、分離・精製して得られたものだ。カフェインは、コーヒーや紅茶、緑茶にも含まれる成分だ。
 カフェインはアルカロイドの一種で、中枢神経を興奮させる作用を持ち、主に大脳皮質に働いて、感覚や精神機能を活発にし、眠気を覚ます。
 ちなみに、アルカロイドとは、植物に含まれる強い生理作用を持つ成分で、コカイン、ニコチン、モルヒネなどもアルカロイドの一種だ。
 「コーヒーは子どもに飲ませないほうがいい」とよく言われるが、これはカフェインが子どもの神経を興奮させて、不眠などの問題を起こすからだ。
 また、妊婦がカフェインを多量に摂取した場合、胎児の発育に影響を及ぼすことがある、とされている。
 こうしたことから、ヨーロッパの国々やカナダでは、カフェインの一日摂取量を制限している。英国では、食品安全庁が、妊婦について悪影響のないカフェインの最大摂取量を1日あたり200mgとしている。
 サントリーのホームページによれば、《甲》100mlには、約10mgのカフェインが含まれるので、1本(550ml)には約55mgのカフェインが含まれることになる。
 よって、これを水を飲むような感覚で1日に2本くらい飲み、さらに緑茶やコーヒーなどを飲んだ場合、200mlを超えてしまう懸念がある。だから、妊婦は《甲》を飲用する際には、カフェインが含まれることを十分に認識した上で飲むようにしなければなるまい。

 (4)《乙》は、収穫後24時間以内に搾った果汁を使用している、という点が売りで、それを強調したテレビCMも流れている。砂糖類やもも果汁を水に溶かして、さらに香料と酸味料を添加し、炭酸(二酸化炭素)を吹き込んで炭酸飲料にしたものだ。
 この製品で注意が必要なのは、糖類が多いためカロリーが高い、という点だ。1本(500ml)あたり約55gの糖類を含んでいる。エネルギーは220kcalある。よって、毎日水感覚で飲んでいると、カロリーの摂り過ぎとなり、肥満や高血糖になるおそれがある。

 (5)《丙》は、「脂肪の吸収を抑える」という機能性表示食品であることに加えて、「ゼロカロリー」が売りだ。糖類を含まず、代わりに合成甘味料の①アセスルファムKと②スクラロースを使用している。
 ①と②については、米国ボストン大学が2017年4月、合成甘味料を含むダイエット飲料を飲む習慣のある人は、飲まない人に比べて脳卒中や認知症になるリスクが高まる、と発表した。
 同大学の研究グループでは、マサチューセッツ州のある町で住民の健康について継続的に調べている。脳卒中は、45歳以上の男女2,888人、認知症は60歳以上の男女1,484人を対象に、10年以内に脳卒中になった97人と認知症になった81人について、食生活などとの関連を分析した。
 その結果、合成甘味料入りのダイエット飲料を1日1回以上飲んでいた人は、まったく飲まない人より脳卒中や認知症になる確率が約3倍も高かった。

 (6)合成甘味料のスクラロースについては、動物実験でそれが脳にまで入り込むことが分かっている。そのことが今回の調査と何らかの関係があるのかもしれない。
 色のついたジュースやコーラよりも健康イメージの高い透明ドリンクだが、以上のような問題点を持つものもあるので、原材料や成分をよく見て選んだほうがよい。

□渡辺雄二「限りなく不透明に近い「透明ドリンク」 ~新買ってはいけない 237~」(「週刊金曜日」2017年6月16日号)
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