語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】明太子やたらこも癌リスクを高める ~亜硝酸Na、タール系色素~

2016年01月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)ハムやソーセージなどの加工肉を食べると大腸癌になるリスクが高まる理由は、
   発色剤として添加されている亜硝酸Naが
   食肉に含まれるアミンと反応して
   発癌性のあるニトロソアミン類に変化するため。
 明太子、たらこ、イクラの場合も、製品が黒っぽく変色するのを防ぐ目的で亜硝酸Naが添加されている。魚卵にはアミンが多く含まれているため、ニトロソアミン類ができやすい。
 よって、明太子、たらこ、イクラを食べ続けると、加工肉と同様に癌になるリスクが高まる。

 (2)(1)を裏付けるデータは、津金昌一郎・国立がん研究センター「がん予防・検診研究センター」長らが行った疫学調査。
  (a)調査・・・・塩蔵魚卵を食べる頻度を①「ほとんど食べない」、②「週に1~2日」、③「週に3~4日」、④「ほとんど毎日」に分類し、それぞれのグループの胃癌発生率を調べた。
  (b)結果・・・・①を1とすると、②が1.58倍、③が2.18倍、④は2.44倍に達した。つまり、塩蔵魚卵をたくさん食べている人ほど胃癌発生率が高くなるという比例関係になっていた。塩蔵魚卵は胃癌の発生率を高めるのだ。
  (c)考察・・・・塩分濃度の高い食品は粘液を溶かし、胃粘膜が強力な酸である胃液によるダメージをもろに受ける。その結果、胃の炎症が進み、ダメージを受けた胃の細胞は分裂しながら再生する。そこに食べ物などと一緒に入ってきた発癌物質が作用して、癌化しやすい環境を作る。【注】

 (3)(2)-(c)で指摘された発癌性物質の一つは、亜硝酸Naが変化してできたニトロソアミン類。これは酸性状態でできやすいため、胃酸が分泌される胃の中でできやすいからだ。
  (a)ニトロソアミン類は10種類以上ある。いずれも動物実験で発癌性が認められている。中でも代表的なN-ニトロソジメチルアミンの発癌性は非常に強く、わずか0.0001~0.0005%を餌や飲料水に混ぜてラットに与えた実験では、肝臓や腎臓に癌が認められた。
  (b)よって、亜硝酸Naが添加された塩蔵魚卵を頻繁に食べていると、胃の中でニトロソアミン類が発生し、その影響で癌ができやすくなる。
  (c)ニトロソアミン類の発生を防ぐために、酸化防止剤のビタミンCが添加されているが、十分には防げない。

 (4)着色された明太子やたらこに含まれるタール系色素(赤色102号、赤色106号、黄色5号)が発癌を助長している(推定)。化学構造や動物実験の結果から、発癌性の疑いが持たれているのだ。
 特に赤106(赤色106号)は、発癌性の疑いが強く、外国では使用がほとんど認められていない。
 なお、イクラの場合、着色されておらず、亜硝酸Naも添加されていない製品が多いので、表示をよく見て選ぶとよい。

 【注】津金昌一郎『がんになる人ならない人 -科学的根拠に基づくがん予防』(講談社ブルーバックス、2004)

□渡辺雄二「「明太子」や「たらこ」でもがんになるリスクが高まる ~新買ってはいけない 第216回~」(「週刊金曜日」2016年1月22日号)
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 【参考】「【食】「加工肉」の危険性に改めて目を向ける ~発癌性~


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