語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】「億万長者激増=景気低迷原因」説 ~日本に5万人の億万長者~

2011年11月21日 | 社会
 福島原発事故を起こした東京電力の社長の報酬は、なんと7,200万円だった。
 国に守られた事実上の官制企業だから、報酬は国家公務員並みに落とすべきだ【注】。

 じつは、日本社会全体が「東電化」している。年間報酬5,000万円以上受け取っている人(数年で億単位の資産を築ける「億万長者」)が、この10年間で急増した。
 給与所得者のうち年間報酬5,000万円以上の人は、1999年には8,000人強だったが、2008年にはその2.5倍の2万人弱に達した(国税庁・源泉徴収申告事績)。
 また、年収5,000万円以上の個人事業者は、1999年にはわずか574人しかいなかったが、2008年には7,589人に激増している(国営庁・確定申告データ)。
 個人投資家は申告の必要がないので国税庁には申告データがない。しかし、企業配当金の額はこの10年間で4倍になっている。その収入を受け取っているはずので個人投資家も相当収入が増えているはずだ。
 これらのデータから推計すれば、日本人全体のなかで億万長者は、10年間に、3倍以上は増えているはずだ。いま、最低5万人いる、と推定される。
 日本に1,400兆円の個人金融資産があるが、その多くを持っているのは、この億万長者たちだ。

 他方、日本の会社員の給料は、この10年間、下がり続けてきた。

 金持ちは、お金に余裕があるので、収入のごく一部しか消費にまわさず、残りは貯蓄(投資を含む)する。
 他方、庶民は、お金に余裕がないので、収入のほとんどを消費にまわす。
 したがって、庶民の収入が減り、金持ちの収入が増えれば、消費が減り、貯蓄が増える。
 つまり、金持ちが増え、格差が広がると、景気は悪化する。
 現に、高額所得者が激増したこの10数年間、日本の消費は減り、貯蓄ばかり増え続けた。その結果、景気は低迷し続けた。

 ちなみに、日本経済が一番強かった時代は、「一億総中流」と言われ、格差が非常に小さかった。
 この時代は、国民全体の収入が増えていたので、消費も伸びた。消費が伸びたので、好景気が続いた。

 日本がしなければならないことは、明らかだ。まずは、金持ちからもっと税金をとることだ。
 野田政権が画策しているように、金持ちにも庶民にも等しく負担させる消費税を増税することではない。

 【注】<枝野幸男経済産業相は26日、原子力損害賠償支援機構の開所式で、「現在の電力会社の構造であれば、公務員や、せめて独立行政法人と横ならびで役員の給料が決まって当たり前だ」と述べ、公益事業を担う電力会社が役員に高額の報酬を払っていることを強く批判した。/枝野経産相は「競争が全くなく、利益がほぼ確実に確保されるのに、役員報酬が民間企業に準じて決められているのは論理矛盾だ」と指摘。今後、東京電力に限らず、他の電力会社を含めた役員報酬制度の見直しにつなげる狙いがあるとみられる。>【記事「枝野氏、電力役員の高額報酬批判「公務員と横ならびに」」(2011年9月26日付け朝日新聞)】

 以上、武田知弘「今、億万長者が激増している! ~数字が見抜く理不尽ニッポン 第1回~」(「週刊金曜日」2011年11月18日号)に拠る。
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