語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発報道>東電を批判するフランス ~海外の場合~

2011年10月20日 | 震災・原発事故
 朝日の新聞週間特集には「『我が国でも起きうるのか』 海外も見つめた」と題する記事もあり、6ヶ国の報道ぶりを伝える。以下、抄。
 なお、国名の右横の引用は、記事の見出しだ。

●米国 <米政府ルートで特報 米メディア>
 <「東京電力は、問題ないと言っています」。大震災発生からまもない米紙ロサンゼルス・タイムズ本社。外報エディターのブルース・ウォラス氏は、原子炉や放射能漏れの状況についてスタッフから報告を受け、逆に懐疑的になった。
 2008年まで東京支局長を務めた経験から、「東電は必要な情報開示を控えてきた歴史がある」と痛感していたからだ。
 (中略)
 米ニューヨーク・タイムズ紙はマーティン・ファクラー東京支局長が発生後間もなく現地入りし、世界に発信を続けた。さらに、東電や当局の見通しの甘さや後手に回る対応に鋭く斬り込む記事を繰り出した。
 米政府に取材した方が情報が出てくる皮肉な状況もあり、同紙の米国発の記事もしばしば日本で話題に。4月5日の電子版では、海水注水による危険性を早くから指摘した米原子力規制委員会(NRC)の報告書を特報した。>

●仏国 <東電に批判集中>
 <電力の8割近くを原子力に頼る原発大国フランス。メディアは地震の被害よりも、原発事故とその後始末に注目した。発生直後は東京電力に批判が集中し、左派系紙リベラシオン(3月15日付)は過去のトラブルにも触れて「怠慢と不透明の10年」とした。
 日本メディアの報道ぶりについては、放射能汚染の不安をあおる情報を抑制しているとする見方がある一方で、大広告主の東電に遠慮して責任追及が甘いとの指摘もあった。>

●独国 <恐怖感を前面に>
 <ドイツのメディアは原発事故に過敏に反応し、「死の恐怖にある東京」「東京で放射性の雲にパニック」などセンセーショナルな見出しが躍った。世論は一気に反原発に傾斜し、政府は2022年までの原発全廃を決めた。
 背景には1970年代以来の反原発運動の積み重ねがある。チェルノブイリ事故の記憶も生々しい。日本人の花粉症マスクを放射能対策であるかのようにとりあげた写真など「恐怖」に焦点を当てた報道は、在日ドイツ人の大量帰国など過剰とも映る反応を招いた。
 半面、パニック回避のために慎重な表現を続ける日本の報道は危機感に欠けると映ったようだ。「日本のメディアはわずかしか権力者をチェックしていない」と報じた新聞もある。>

●露国 <教訓生きず失望>
 <(チェルノブイリの)「教訓」に関しては「ロシアの専門家は原発事故対応に呼ばれていない」(3月17日、ロシアの声)などと、日本の対応に懐疑的な声が目立った。ノーボスチ通信も同19日、「日本側が事態の大きさを隠さず広く援助を求めていたら、このような形の破局は避けられた」との専門家の見方を伝えた。
 「官僚たちが原子炉の沈静化を邪魔している」。同21日付のイズベスチヤ紙はこんな見出しで、チェルノブイリ事故の処理に携わったロシアの専門家のインタビューを載せた。「日本の複雑で硬直的な官僚的運営モデルが、事故対応を遅らせた」との批判だ。>

●中国 <放射能の行方に関心 収束見えず不満>
 <1週間ほどで記事は放射能汚染など原発事故の状況に傾斜し、4月に入ると「日本の原発危機に終点が見えない」(国際先駆導報)と日本へのいら立ちがあらわに。4月4日、日本が低濃度の汚染水を海に放出すると、事前の連絡が不十分だと猛反発し、「日本は独断専行すべきでない」(人民日報)などの批判が相次いだ。>

●韓国 <原発支持変えず>
 <福島第一原発の事故では「消える原発ルネサンス」(朝鮮日報)など、韓国の原発の安全性や原子力政策を検証する記事も掲載されたが、次第に大気中や海洋に放出された放射性物質の影響や、日本製品の輸入規制などに比重が移った。
 総発電量の3割超を21基の原発に頼り、輸出にも意欲的な韓国政府は事故後も原発推進を変えていない。主要メディアも安全性強化を掲げつつ、政府の方針を基本的に支持している。>

 以上、記事「『我が国でも起きうるのか』 海外も見つめた ~前例なき災害伝える 震災と原発事故 その時朝日新聞は~」(2011年10月15日付け朝日新聞)に拠る。
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