語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>東電の手口:賠償を安上がりに済ませる法

2011年10月24日 | 震災・原発事故
 保田行雄・弁護士いわく、東電の賠償に対する態度は許せない。

(1)補償内容を加害者が決めている
 4月、文部科学省研究開発局原子力損害賠償対策室に原子力損害賠償紛争審査会が設置された。ここには、放射能の危険性を過小評価する米倉義晴・放射線医学総合研究所理事長らが名を連ねる。
 8月5日、「審査会」は賠償の中間指針報告書を出した。
 驚くべき文言が書かれていた。
 <本件事故に起因して実際に生じた被害の全てが、原子力損害として賠償の対象になるものではない。>
 <被害者の側においても、本件事故による損害を可能な限り回避し又は減少させる措置を執ることが期待されている。したがって、これが可能であったにもかかわらず、合理的な理由なく当該措置を怠った場合には、損害賠償が制限される場合があり得る点にも留意する必要がある。>

 書類の分厚さや手続きの煩雑さをマスメディアは批判しているが、枝葉末節のことだ。
 地元民をはじめとする原発事故の被害者は、自宅や農地を失い、友人・知人を失い、日々かろうじて生活を保ち、これからの生涯にわたる甚大な被害を受けた。そもそも、こうした被害者に対して、加害者(東京電力)が補償金の請求書類を送りつけ、「この書類に従って請求せよ」などと請求手順や項目を勝手に決めつけることは法律的にあり得ない。非常識だ。
 何を補償請求するかは、被害者が決めることだ。東電が決めることではない。

 「難民」となった被害者は、当面必要な生活資金を得るために、東電に対してこの書類を送りつけてもよい。
 しかし、出るのは見舞金程度の「仮払い」にすぎない。
 ところが、東電の書類には、「請求は1回限り」とか、「これ以降申し立てることはありません」といった文言が並べられている。

(2)被曝による被害の項目がない
 東電が作成した補償金の請求書類には、福島第一原発事故の最大の問題である「放射能によって被曝した被害」の項目がない。
 しかし、福島第一の事故における最大の加害行為は、金額に換算できないほど深刻な身体的被曝にある。
 その項目が入っていない請求書には、一片の意味もない。

 以上、広瀬隆「東電の傲慢さを集団訴訟で裁く時 ~原発破局を阻止せよ30~」(「週刊朝日」2011年10月28日号)に拠る。

 【参考】「【震災】原発>東電は、被爆者がガンに罹っても補償しない ~100人の証言~
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