Vol.11「悪の温室」はこちら。
今回の犯人はフットボールチームのGM(ゼネラルマネージャー)。チームを愛し、スポーツを愛するこの男(ロバート・カルプ再登場)にとって、スポーツの喜びを解しない二代目ボンボンオーナーは目障りな存在だった。事故死に見せかけて彼を排除することでチームの実権をにぎろうとするが……
GMとオーナーの仲が悪いのはどこもいっしょですね(笑)。犯人の計画は一見したところ精緻に思える。自分のチームの試合中に、自分専用の部屋(常に実況中継が流れている)からアイスクリーム販売車で抜け出し(ラジオで試合経過は聴き続けている)、途中でオーナーに電話を入れ(バックにラジオを流す)、プールにいる彼を氷で(アイスクリームの車を選んだわけがここでわかる)撲殺する。凶器は水に流れ、警察は単純に事故死だと判断するはず……
後半にいたって判明するのは、オーナーの電話が盗聴されている事態を利用した犯罪だということだ。これは考えてある。ただ、いくら二日酔いだからといってもオーナーが延々とプールに入っていると確信できる楽天性はうらやましい。
コロンボが事故死ではなくて犯罪ではないかと考えるのは、プールサイドの水をなめてみる(!)という仰天するような行動に出て塩素の有無を確かめたから。彼が不審に思わなければ乾いていただろうから結果的にファインプレー。
決め手になったのはGMがかけた電話に「入っていた音」ではなくて「入っていなかった音」なのはおみごと。しかし、その音がゲームにからんでいればもっと皮肉でよかっただろうに。たとえば“二分前の警告”とか。無理だけど。それに、当時のロス警察は通話記録をチェックするという権利もなかったのかなあ。
Vol.13「ロンドンの傘」につづく。
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