志賀直哉、武者小路実篤、有島武郎……能天気な理想主義者たちと切り捨てられることの多い白樺派を、例によって関川が微妙な距離感を保って描く。
文豪としての確固たる地位を得ているけれど、よく考えてみれば代表作を書いたころ、彼らはみんな若いのだ。教科書に載っている写真や、野菜が描いてある変な色紙がそのイメージをぶちこわしているけれど。武者小路がドンキホーテ的に希求した原始共産制の“村”にしても、その若さの発露なんだろう。当時、彼らこそが誰よりもとんがった存在だったことがよくわかる。明治モノに続き、関川夏央はいい仕事をしている。
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