事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.14「偶像のレクイエム」Requiem for a Falling Star

2010-02-15 | テレビ番組

Anne_baxter02 Vol.13「ロンドンの傘」はこちら

 ロンドン出張から、フランチャイズであるロサンゼルスに帰ったコロンボ。それどころか今回は「刑事コロンボ」が製作されているユニバーサル・スタジオが舞台。

 なにしろ犯人は、子役時代から大スターで、スタジオのボスと結婚したものだから自宅が撮影所内にある女優という設定なのだ。演ずるのはアン・バクスター。「イヴの総て」で上昇志向の強い新人女優を演じ、今は映画の現場から遠ざかってテレビでしのいでいる……ってこれは本人と役柄がシンクロしまくっている。さすが大女優。どんな役でもこなしてみせるってわけだ。役名がノーラ・チャンドラーってあたりは確信犯だな。

 おまけに仲良しのデザイナー、あのイーディス・ヘッドを本人役で特別出演させる余裕。ずらりと並んだオスカー像はきっと本物。それに、「イヴの総て」でマリリン・モンローと共演している関係から、コロンボに部屋を見せるときに「それ、マリリンの自筆だから」いやー大女優。

 ロサンゼルス、そしてハリウッドに殺人はぴったりだ。殺人は一種の演技であり、爛熟した街にお似合いではないか。特に撮影所には世間とは違った常識と権威が存在し、夢の場所でしか生きられない人種もまた数多い。

 今回の犯行は、冷静になればおよそ陰惨で救いのないものだが、被害者がこれまでで最低の人間であることと、撮影所が世界の総てとして育った人間が行った愚行として、ある程度理解できるつくりになっている。

 女優が現在演じているのも犯罪劇。彼女は言ってみせる。

「あほらしいじゃない?手錠をかけられる間、ずっと待ってるなんて」

 コロンボの脚本家がどんな思いで書いたかを考えると笑える。

 倒叙形式なので犯人は最初から明かされている。でも今回は

・犯人は、本当は誰を殺したかったのか

・なぜ、犯人は撮影所から出ようとしないのか

……という二つの謎がしこんであり、ちょっと味わいが違う一編になっている。そのためか、コロンボはこれまででもっとも暗い顔で犯人を逮捕することになる。

Vol.15「溶ける糸」につづく

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