事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

時間ですよ 第二夜

2008-08-04 | テレビ番組

Kuze ……第一夜はこちら

あれは何年前の大みそかだったろう。「8時だヨ!全員集合!」が圧倒的な視聴率を誇り、「時間ですよ」が絶好調だった、いま思えばTBSの黄金時代。その象徴でもあったレコード大賞授賞式でのできごと。

加藤茶と堺正章が観客席でもめ(て見せ)ている。
茶「オレがすわるんだよ!俺たちの視聴率は40%だぞ!」
堺「なに言ってんだ。お前たちは5人で40%だろ?オレはひとりで20%」

共演者が聞いていたら(聞いていただろう)目をむきそうな発言だが、しかし「時間ですよ」の人気が、堺正章を中心にしたバラエティ部分にあったことは確かだった。

 この傾向は、向田~久世コンビの「寺内貫太郎一家」でもつづく。このドラマもまた、予定調和なホームドラマに飽き足りない久世によって
・主人公の職業が縁起の悪い墓石屋
・長女(梶芽衣子)が身体障害者
・ドラマの背骨である寺内貫太郎を、演技はど素人である小林亜星に演じさせる

Mk22 ……などの横紙破りで問題となった。しかしここでも久世は勝利する。お約束のようにくりかえされる貫太郎と長男(西城秀樹)の乱闘、老母を演じる樹木希林が壁に貼ってある沢田研二のポスターに向かって「じゅり~っ!」など、実はかなり暗いドラマの中に軽快で意味のないシーンをぶちこむ久世流は健在。むしろこの流儀のおかげで「寺内貫太郎一家」は名作たり得たのだとも思う。

 その後、同路線の「ムー」「ムー一族」で、郷ひろみというキャラクターを得て久世は(生放送もふくめて)思いのままの演出をみせる。でも、「時間ですよ」ほどの喝采は得られなくなっていた。

出演していたドラマの女優との不倫などもあって(その事実を告発したのは樹木希林だった)、久世はTBSを退社。“戦友”だった向田邦子のスペシャルドラマなどでていねいな仕事をしていたが、すでに久世の時代が去ったことを再認識させられもした。その原因は、“他のドラマもバラエティ化した”ことにつきる。要するに久世ドラマのエッセンスを他のドラマが吸収してしまったのだ。その意味で、久世はまちがいなく『TVをつくった男』だったわけだ。

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