「月の扉」「心臓と左手」につづいて座間味くん再登場!大好きなキャラなのでうれしい。普通の社会人が普通に過ごしているのに、その洞察力で事件を解決してしまう。しかもその場所は飲み屋限定(笑)
なぜなら、石持はこのシリーズに固いルールを例によって持ち込んでいるからだ。フォーマットをここまで確定しなくても……まあ、それが石持らしいところ。列挙しましょう。
・各篇のタイトルは「~の~」で統一→「傘の花」「最強の盾」「襲撃の準備」「玩具店の英雄」「住宅街の迷惑」「警察官の選択」「警察の幸運」
・科学警察研究所(科捜研じゃないですよ)の女性職員・津久井操が検証している、すでに終わった事件がネタ
・大迫警視正と座間味くんが待ち合わせるのは書店のアウトドアマガジン売り場
・その日飲む場所は、すべて大迫の携帯に入っているデータから選択される
・津久井(佐々木譲の道警シリーズの登場人物と同姓なのは偶然だろうか)は、その事件をどうすれば防げたかの観点で話す
・“警官の愚痴を聞かせたら日本一”である座間味くんは、そうであったかもしれないという、もうひとつの真相を話から導き出す
・大迫と津久井が驚嘆しておしまい
……しかしよく考えると、座間味くんが語る真相もどうも危なっかしい。確かに真相はそうかもしれないが、そうじゃない可能性は常に存在し、しかも多くは検証されずに終わっている。表題作の玩具店の英雄にしても、そんな動機で人間はその種のアクションを起こしたりは……まあそれも石持らしい味でございます。
名作「月の扉」や短編も数多くたまったことだし、映画化やドラマ化されてもいい頃合いかな。主役は……高良健吾はいかがでしょう。大迫は中井貴一、津久井は黒木メイサ。
あ、そうそう、このシリーズにおいては、座間味くんの奥さんは「月の扉」以外は、いや、あの作品でも徹底的に存在感なく描かれている。そして座間味くん自身も、まるで人間じゃないみたい。名探偵という純粋な天使である宿命か。
玩具店の英雄 座間味くんの推理 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2012-04-18 |
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